リスニングが上達しない、リスニングにかける時間がない、この頃リスニングのレベルが変わっていないという方向けの独学での英会話、特にリスニング上達の方法を紹介します。
英会話スクールに行って、オンライン英会話をやっても英会話はできないし、電話会議で早口で話される言葉はまったく聞き取れないという方がいます。
英会話・リスニングの上達には、地道な努力と継続が必要です。とはいえ、時間やお金をかけただけでは上達スピードは遅いです。なぜ上手くいかないのか理由を理解して、効率的な方法があり効果的な方法で上達スピードを高めることができます。
英会話・リスニングが上達しない理由
もし1年間に1000時間リスニングに時間を使えば少々方法が間違っていてもリスニング・スキルは向上すると思います。
多くの場合、リスニングに十分時間を使っていると言っている方でも、1週間に1−2本映画やドラマを英語で見る、1週間に3−4回リスニングに集中している、毎日15分リスニングのアプリを開いているという時間になります。
この程度の量では正直リスニングが短期間に上達することは残念ながらありません。毎日15分リスニングの勉強を継続して1年したとすると、蓄積すると結構な時間になると想うかもしれません。
実際には、15分を365日継続しても、1年間の勉強量はたったの91時間です。毎日15分を継続して1000時間に到達するには、10年以上の時間がかかります。しかも、毎日続かず、一定期間やって、やめてしまい、また復活。このような方法は効率が悪いです。
1000時間は、毎日3時間やって1年、毎日2時間で1年半、毎日1時間で2年間かかる勉強量です。
とはいっても、毎日2時間リスニングの勉強するのは、忙しい仕事や他の趣味や遊びの時間を考えると現実的ではありません。
さらに、最初の1週間は毎日2時間継続すること一気にリスニングが上達したとしても、初期学習効果が見えなくなってくると毎日2時間勉強するということは結局続かず、結果的にそれほどのスキルは身につかず終わってしまいます。
高いモチベーションを持った人ほど大量の時間を投入して、早々に飽きてしまうという失敗をすることがあります。毎日2時間を2週間続けても効果は限定的で、それよりも毎日1時間を3年間継続したほうが効果的です。
実際には毎日1時間通勤・通学の際に勉強することを1年間継続すると、英会話・リスニングが上達したことを強く感じられます。
毎日1時間は継続しやすいものの、それでも忙しい方にはなかなか確保できないですし、転職や海外転勤のために英会話を上達させようというのに、睡眠時間が足らず仕事でミスして評価が下がっては本末転倒です。
毎日1時間を目標にしつつ、日によって30分、40分など時間の取れない日があっても効果が実感できる効率的・効果的な方法が必要になります。
時間がなくてもリスニング・スキルを上達する方法
スマホに多くの素材を入れる
どんな教材・素材をスマートフォンに入れるべきかと言うと、ポッドキャストが種類も多くおすすめです。ポッドキャストは日本ではオワコンで、作っている人も少ないですが英語圏ではまだまだ多くのポッドキャストが運営されています。iTunes Music, Pocket Castなどポッドキャストに対応したアプリを通して、さまざまなポッドキャストを検索することができます。ビジネス、趣味など自分の興味のある領域のポッドキャストを使うことがおすすめです。
もしくは、AmazonのKindle Unlimitedに登録をすると、月額定額でスマホから大量の書籍にアクセスすることができます。Kindleのアプリでは本を読み上げる機能があるので、それを利用することもできます。よく映画やドラマを見るのであれば、その原作の小説を聞くのも効率的です。その場合でもあまりに長い小説よりも、短編小説がおすすめです。
集中しなくて良い作業時間をリスニング学習に使う
車の運転、電車の中、ランニング、洗濯・掃除、宅配が届くのを待つなど、定期的に発生する隙間の時間でスマホ上のコンテンツを聞きましょう。仕事中、ラインやメールを書いているなど集中したり、考える必要がある状態は避けましょう。ラインの返事を書くことはそれほど集中していないように思えますが、リスニングへの意識は簡単にはずれて、文章を日本語で考えるモードになってしまいます。
リスニング上達にはポッドキャスト
リスニング教材、英会話アプリ、TED、映画、ドラマなども効果的な素材ですが、自分にあったモノを探してスマホに登録するのが手間だったり、アプリ内のボリュームが少なかったりと、気にしなければいけないことが多いです。
ポッドキャストは簡単に検索してダウンロードできるので、手間のかからない方法としておすすめです。英語の勉強に時間を使うべきで、準備にかかる時間は最低限にすることが1年以上の継続に重要です。
映画を2時間見るよりも、毎日通勤と家事の時間で聞いた方が最終的に年間リスニングする時間は増えます。
教材としての内容面でも、ポッドキャストはホストがゲストと会話するなど、あるテーマからの会話からなるものが多いです。
リスニングの能力でもっとも鍛えなければいけないのは、説明的な台詞の多い映画やTEDカンファレンスでのプレゼンテーションではなく、自然な会話です。自然な会話の分量が多いポッドキャストはその面でも効果的な素材です。
映画などのコンテンツでは、主人公はささやいたり、叫んだり、小声で独白したりとさまざまな抑揚で感情表現をします。この強い抑揚が初心者どころか中級者でも映画をリスニングするのが難しいと言われる理由です。
加えて、会話の後ろで音楽がなったり効果音が重なることでさらにリスニングの難易度があがります。
実は、ネイティブでも映画でなに言っているかわからなかったということは結構あります。ささやき声や効果音のせいでなにを言っているかわからない!とネイティブが書いているブログが映画批評はThe rising problem of inaudible dialogue、SPEAK UP! Or why mumbling actors are ruining TV dramaなど、たくさん見つかります。
おすすめのポッドキャストは自分のレベルと興味によって違います。このブログでもいくつか紹介していますので、記事を参考にしてみてください。
リスニングの時、わからないことがあった場合
聞き取れなければ、どんなセンテンスなのか、どんな単語なのか確認するのは難しいです。そんな時に、どうするべきかというと・・・・
なにもしない
もし会話の内容の大枠やトピック、テーマが理解できているのであれば、ひとつやふたつのセンテンス、単語が理解できなくとも大きな問題ではありません。
英語の勉強を始めるとわからないことは辞書をひくことと教えられますし、ボキャブラリーを増やすためには単語を理解し綴りを憶えなければいけないと多くの参考書が言っています。
実際には、人間の脳はとても高度な機能を持っていて、コンテキストから単語を音だけで記憶していくことができます。
私達は日本語をそうやって憶えましたし、いまでも新しい単語をコンテキストから類推してボキャブラリーを増やしています。
もし聞き取れない単語やセンテンスがあってもきにしなくとも、同じ単語やセンテンスを別の機会に別のコンテキストで複数回接触することで徐々に脳が記憶していきます。
簡単な素材・教材へ変える
理解できないフレーズや単語を辞書で調べて、何度も何度も理解できるようになるまで聞くという苦痛・苦行をしている方は結構います。
効果がないわけではないですが、インターネット上にこれだけ多くの無料コンテンツがあふれる中で、わざわざ苦行をする必要はありません。
学習向けの素材がリスニングしても理解できないものを利用したり、聞いていてもつまらないコンテンツをリスニングの勉強のためだけに聞きつづけるのはやめましょう。
自分のレベルにあった興味のあるトピックを聞いて。すべて理解できなくても次に行けば良いです。
ボキャブラリーの勉強をする
もし試してみた教材やコンテンツがすべて難しい、なにを言っているのかわらかない!という場合は、一旦リスニングの勉強を中止して、ボキャブラリーを増やすことに集中しましょう。
リスニングの学習と単語の学習を交互に実施するよりも、ボキャブラリーを増やすことだけに集中したほうが結果的にリスニングの上達は早いです。
短いニュースを読む、英語の文法を学ぶなどリーディングの学習をすることで、ボキャブラリーを増やすことができます。
よく使われる単語は憶えているし、それほどスピードの早い素材ではないのに理解できないという場合は、そのトピックで利用されているボキャブラリーの知識が足りていない場合があります。その場合は、まず日本語のウェブページを読むなどして、そのトピックに詳しくなってから英語素材に移ったほうが効率的です。
とにかく無理をしない、苦行をしないというのが継続のためには重要です。
TIPSコンテンツを定期的に消化
リスニングは毎日十分な量を聞くことで上達していきます、リスニングのコツを理解することで毎日の上達スピードを加速できます。
ものすごく早いスピードで話す人の英語を聞く時、同じように聞こえる単語を聞き分ける方法など、ちょっとしたTIPSをおぼえることで、いままで聞けなかったものが聞けるようになることが多くあります。
リスニングTIPSについての動画コンテンツはYouTube上にたくさんアップロードあれています。ポイントは、英語で英語のTIPSを聞くことです。絶対に日本語に戻らないという気合が必要です。
YouTubeのチャネルなどいくつかこのブログでも紹介していますので参考にしてみてください。
誤解をしないでほしいことは、TIPSだけを知っても効率的ではないということです。
毎日ポッドキャストを聞いているうちに、知らずすらずのうちに気になっている部分が蓄積されていって、その解決方法としてTIPSを受け入れることでリスニング力がぐっと上達します。
英会話はテスト勉強ではないので、TIPSを暗記するよりも毎日継続してポッドキャストを聞いて、週末などいつもより時間がとれる時にTIPSにふれるというリズムが効果的です。
上級者のしてるコツ①:リズムとしてリスニング
強調される動詞、強くはっきり発音されるセンテンスなど、英語の強弱をリズムとして理解することで、内容を理解しやすくなります。重要なことは強調されます。重要な部分ははっきり発音されます。この音程の上下をリズムとして聞くことになれましょう。
日本語は比較的フラットな言語なので、ひとつひとつの単語が明確に切り分けられて発音されます。
一方で英語は単語と単語がつながって発音するため、同じ単語でもフレーズによって音が変わっていく言語です。ひとつひとつの単語をクリアに聞き取ろうとしても聞こえない場合も多いです。
リズムとしてフレーズをリスニング、同じリズムを何回か違う文脈や教材で聞くことで、リズムとして英語の発音が記憶されていきます。これに慣れるとフレーズの理解がスムーズになりますし、スピーキングにも効果があります。
上級者のしてるコツ②:イメージで理解する
リスニング上達には英語を英語で理解する、日本語に翻訳して理解していると英会話は成り立たちません。といっても日本語が浮かんでしまうことは止められないと思います。
英語を英語で理解すると言った時に、英英時点で英語の説明として暗記するのは非効率です。英単語をビジュアル・絵・イメージとして記憶することが効果的なリスニング上達の方法です。
単語を説明・文章として記憶するのではなく、イメージ・グラフィックとして理解してくことを英語で理解することで効率的に英語で聞く能力をつくることができます。
例えば、The Huffington Postの創業者の言葉があったとして、
Fearlessness is like a muscle. I know from my own life that the more I exercise it, the more natural it becomes to not let my fears run me.
「勇敢であることは・・」と翻訳するのはやめましょう。さらにFearlessnessを英語の文章で記憶する必要もありません。
Fearlessnessという単語をイメージで理解する場合は、なんとなく勇敢な騎士のような恐れを抱かない人をイメージします。このように記憶しておくとビジュアルとしてリスニングした内容が脳内に描くことができるようになります。
Fearlessnessの後、Isと聞くとこの後に続く言葉はFearlessnessを説明するのだなと理解。Like a muscleで力を発揮する原動力のような筋繊維がイメージされます。すると、勇敢な人=筋肉というイメージが脳内に描けます。
このように先頭からビジュアル・イメージとして情景を思い浮かべていくことで、英語を日本語に翻訳せずに理解していくことができます。
このような脳内イメージは、人によってイメージするものや内容・比喩は違うと思います。自分の身近なもの、自分がイメージしやすいものとして記憶することで、ボキャブラリーを増やす作業も楽になっていきます。イメージでボキャブラリーをおぼえる方法は以下のエントリーで紹介しています。
中級者の壁を突破する方法
継続が重要なリスニング上達ですが、継続のためには上達しているという実感を感じつづけることが一番効きます。
ただし、中級者以上の方でリスニングを継続的に勉強している多くの人が、上達を実感できず同じレベルにずっといることが多いそうです。
僕も途中で思ったより上達しない、変わらないというつらい時期がありましたが、ちょっとしたアドバイスをもらって勉強方法を少し変えたところ、またリスニングの能力が上達していくことを感じられるようになりました。
上達を感じなくなる理由
上達を感じない時期になった場合、同じ教材・素材を長い間利用し続けていないか見直してみてください。
生活のルーチンに組み込むには、準備に手間をかけないことは重要です。ただし、教材を変えたり・見直しをせずに、ず〜〜っと同じ人の声、同じテーマ、同じ発行元の教材だけ使っているのは効果的ではありません。
たとえ同じ素材で全て簡単に理解できる内容でも、勉強したことは無駄ではなく学習効果はあり成長しているそうです。ただし、この方法では自分の上達を感じることは少なくなってしまいます。
効率的にリスニング・スキルに上達するには、同じことを継続するよりも、毎日、毎週自分が上達することが実感できるように、少し違うことをするのが効率的な方法です。
中級者がクイックにリスニング・スキルを上達させる方法
少し難しいなと感じるチャレンジャブルな英語を聞きましょう。
英語リスニングの素材をイージー・ハード・チャレンジと自分のリスニング能力での難しさによって、3段階にわけてみましょう。
ハードな教材・素材とは、聞いていても主に語られているテーマやトピックさえ理解できないものです。これでは、今の自分には難しすぎるため非効率的です。
イージーな教材・素材とは、ほぼすべての単語を理解して会話部分など少し早くなりがちな部分も理解できるという素材です。このレベルの素材を継続して聞いても得るものはありません。
多くの人が効果的だと感じた素材を継続して使う傾向があり、中級者になっても同じ素材を聞いていることがあります。この状態で学ぶことは本当にごく一部だけになるのでこちらも非効率的です。
チャレンジのレベルは、会話や説明のセンテンスや単語すべてが理解できるわけではないが、テーマやトピックを理解できるというコンテンツです。
例えば、会話のスピードが早いインタビュー、聞き慣れない・知らない単語や言い回しが使われる会話、3人が話しているが特定のひとりの発音が聞き取りにくいなどというのがチャレンジレベルです。
このレベルの教材・素材を利用しましょう。
なぜビギナーは学習を開始したときは上達が早いかというのが、世の中のほとんどの英会話教材がビギナーにとってのチャレンジかハードな教材・素材です。どの教材を利用しても能力が向上していきます。
一方で、中級者以上の場合は得意・不得意があるので、自分にあったチャレンジ素材を探す必要があります。同自分にあった素材の探し方は、
- イギリス英語の素材に慣れているのであれば、西海岸のルーズな英語で行われるシリコンバレーのポッドキャストを聞いてみるなど、地域や性別などを変えることで理解出来る英語の幅が広がります。
- ビジネスやオフィスで使われる英語など同じトピックだけを聞くのではなく、心理学のプレゼンテーションなど違うトピックに広げることで自分にとってのチャレンジを発見できます。
- 海外の大学が運営しているポッドキャストを使って、自分の出身学部のポッドキャストから違う学科、違う学部など身近ではないテーマへと変えていく。
まとめ
- 毎日多くの英語を聞かなければリスニング・スキルは向上しません。あまりに多くの時間をリスニングにあてるのは現実的ではないので、ランニング、通勤など集中する必要がないタイミングをリスニングにあてましょう
- テキストやリスニングの素材を買うよりも自分の興味・レベルにあったポッドキャストを聞くのが一番効率的で飽きない
- ビギナーの場合は無理に聞き流しや多聴をせず少しの時間をリスニングにあてて、ボキャブラリーの学習にあてて、理解できる単語数を増やすことに集中する。時に、テーマなど日本語英語で記憶しているものはシームなどヒアリングできるように記憶し直す。
- 中級以上の方で、この頃リスニングのレベルが上がらないという場合は、ニュースなどの少し早めのポッドキャスト、経済系のポッドキャスト、インド英語、ヒスパニック英語など聞き慣れない英語などチャレンジを設定する。自分のレベルより上のコンテンツに触れなければ上達しない。
最後に
もし紹介した内容の一部が自分にはあっていないというのであれば、無視しましょう。自分で効果があると感じること、続けられることを1000時間目指して継続することがゴールです。
現在の僕のリスニング能力だと、映画を英語字幕なしで聞いてもほとんど理解できますし、映画が好きで見ることは苦痛ではないので、映画を教材・素材として利用して学習を継続できると思います。自分の興味・レベルにあった、自分が続けられるチャレンジを続けましょう。
アメリカ英語、イギリス英語、西海岸の英語、インド英語、シングリッシュなど複数の英語ソースを聞くことは効果的です。
ただし、絶対にイギリス英語を憶えたいという方は、アメリカ英語など忘れて、スピーキング・リスニングとすべてイギリス英語の教材・素材に限定するのが効果的です。
他にも通勤方法や通勤時間によってもリスニングの勉強をする時間として使えないという人もいると思います。そういう人は自分のライフスタイルに組み込める方法を探してください。
自分の目的とライフスタイルにあった方法で1−2年間で1000時間を目標にして継続売ると、必ず英会話・リスニングは上達します。