サインポスト・フレーズでアメリカ人に伝わる英語プレゼンへレベルアップ

道標プレゼンテーション
MikesPhotos / Pixabay

アメリカ人のプレゼンテーションは、論旨が明確でポイントが整理されている一方で、日本人のプレゼンは良いアイディアだったとしても理解しづらいと評価されることが多いと言われます。なぜでしょうか?

 

アメリカ人のプレゼンテーションは、わかりきっていることも、前提条件として簡易に整理してあります。そのために、全体の論旨が明確で、提案がどこに位置づけられているのか明確です。多民族文化で背景の違う人々がいて暗黙知の共有度が低い社会において、全体のロジックを整理する訓練や経験が多いのでしょう、ロジックで明確に構造的に記述して、説明する方法が備わっています。

 

日本人の暗黙知を前提とした文化では、説明しなくてもわかるだろうという前提がある場合が多く、論旨の中で共有されているとみなされていることはスキップしてしまうため、ロジックが明確でなく、思いつきのアイディアに感じる場合が往々にしてあります。構造された記述になっていないため、プレゼンテーションにおいてもレイヤーの違う話が混在するため、順番に読んでいっても理解ができないという結果になります。

 

さらに英語でのプレゼンテーションとなると、第2言語ということもあり、順番に読むのに精一杯で、ストーリーの構造がつかめずに聞き手が置いてきぼりになることも往々にしてあります。

 

そこで、サインポスト・フレーズ、サインポスト・ラングゲージと言われるフレーズを意識することをおすすめします。

 

サインポスト・フレーズとはロジックを整理するためにサインポスト(道標)を設定する言葉です。定型的な単語・文章がきまっており、ロジックを整理すること、文章のつながりを明確化すること、プレゼンテーションでどの段階にいるのか理解を支援することなど、意識して使うことで、わかりやすいプレゼンテーションをすることができます。

 

同時に、サインポスト・フレーズに習熟することで、プレゼンテーションや会話をしている際に、前後のつながりが理解しやすくなる、聞くべきところだけに集中できるなど、ヒアリング能力構造にも役立ちます。

 

 

 

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基礎的なサインポスト・フレーズ

 

サインポスト・フレーズとして代表的なのは、プレゼンテーション、資料や文章の構造を明確にする単語です。無理に長い文章を書くよりも、サインポスト・フレーズを使って順番に説明していくのが、わかりやすい説明や文章を書くポイントとなります。

 

ただし、同じ文章で同じサインポスト・フレーズを使うことは避けたほうが良いので、同じ意味で違う言葉を使ったほうがわかりやすくなります。また、日本人はとかく”but”を使うのが好きですが、ネガティブに聞こえる場合が多いので、however, on the other handなど否定的な意味合いがない方がポジティブにとらえられます。

 

 

[icon name=”sort-numeric-asc” class=”” unprefixed_class=””]  順番を指し示す言葉

first(ly), … / second(ly), … / finally, … /

 

[icon name=”plus-square” class=”” unprefixed_class=””]  付け加えて説明する

also, … / besides, … / in addition, … / furthermore, … / as well / similarly, …

 

[icon name=”themeisle” class=”” unprefixed_class=””]  反対の例や議題を示す

however, … / nevertheless, … / on the other hand, … /

 

[icon name=”balance-scale” class=”” unprefixed_class=””]  理由を述べる

for this reason, … / because … / because of …/ due to …

 

[icon name=”connectdevelop” class=”” unprefixed_class=””]  まとめる

therefore, … / thus, … / as a result, … / consequently, …

 

[icon name=”briefcase” class=”” unprefixed_class=””]  事例を述べる

for example, … / for instance, … / to exemplify, …

 

 

 

プレゼンテーションの目的別のサインポスト・フレーズ

Logic

PIRO4D / Pixabay

 

プレゼンテーションは、30分、60分と長くなればなるほど、どの部分について話をしているのか、受け手がフォローして、理解するのが難しくなっていきます。オーディエンスが理解しやすい構造で話をすること、同時にサインポスト・フレーズを利用して、今どの部分を話しているのか指し示すことをが、わかりやすい英語プレゼンをすることができます。

 

このような言葉に独創性は必要ありません。慣れ親しんだ表現を使うことで、構成をわかりやすくできるので、お決まりのフレーズが来たなということで、次に話すことに備えてもらうのが目的です。

 

用途サインポスト ランゲージの例
テーマの紹介The subject/topic of my talk is …
このセクションで私が話をすることは・・・
I’m going to talk about …
これから話をするのは・・・
My topic today is…
本日のトピックは・・・
My talk is concerned with …
本日のスピーチは・・・に関してです。
構成の説明I’m going to divide this talk into four parts.
4つのセクションに分けて説明します。
There are a number of points I’d like to make.
いくつかのポイントを整理・指摘したいと思います。
Basically/ Briefly, I have three things to say.
端的にいうと、3つのことをお話したいと思います
I’d like to begin/start by …
私は・・・から始めたいと思います。
Let’s begin/start by …
・・・・から始めたいと思います。
First of all, I’ll…
まず第1に、私は・・・
… and then I’ll go on to …
・・・です、私は・・・について説明していきます。
Then/ Next …
では、次に・・・
Finally/ Lastly …
最後に・・
セクションの終了That’s all I have to say about…
ここまでで私が言いたいのは・・・・
We’ve looked at…
我々は・・・について確認してきました。
So much for…
ということで、
新しいセクションの開始Moving on now to …
これから、次に説明するのは・・・
Turning to…
次のトピックは・・・
Let’s turn now to …
次のトピックにいきましょう、・・・
The next issue/topic/area I’d like to focus on …
次にフォーカスする問題・テーマは・・・
I’d like to expand/elaborate on …
もう少し具体的に言うと・・・
Now we’ll move on to…
それでは、次の議題として・・・
I’d like now to discuss…
これから・・・を議論していきたいと思います。
Let’s look now at…
では、これから・・・を確認しましょう。
ポイントや提案をするWhere does that lead us?
これは、我々にとってどんな影響を与えるのでしょうか?
Let’s consider this in more detail…
もう少し具体的に・・・を検討してみましょう。
What does this mean for…?
これは、我々にとってなにを意味するのでしょうか?
Translated into real terms…
具体的には、
Why is this important?
なぜこれが重要かというと・・・
The significance of this is…
これが特徴的なのは・・・
事例を示すFor example,…
例えば・・・
A good example of this is…
これをよく示す事例として・・・
As an illustration,…
具体的な事例を示すと、
To give you several examples,…
いくつか事例を上げたいと思います、
To illustrate this point…
このポイントの示す事例では、
まとめ、結論To sum up …
まとめると・・・
To summarise…
まとめると・・・
It is clear that …
・・・は明確だと言えます。
Right, let’s sum up, shall we?
では、まとめてみましょうか?
Let’s summarise briefly what we’ve looked at…
我々が検討してきたことをサマリーしてみると・・・
If I can just sum up the main points…
キーポイントをまとめるとすると・・・
Finally, let me remind you of some of the issues we’ve covered…
最後に、本日お話をしたポイントをサマリーすると、
To conclude…
まとめると・・・
In conclusion …
結論としては・・・
The strength of such an approach is that …
この方法を取った時の利点は・・・・
In short …
まとめると・・・
So, to remind you of what I’ve covered in this talk, …
では、本日お話した内容をまとめると・・・
Unfortunately, I seem to have run out of time, so I’ll conclude very briefly by saying that …..
残念ながら時間が来たようです。結論として手短にまとめると・・・
I’d like now to recap…
簡単に振り返ると、
別の言葉で言って強調するSimply put…
端的にいうと・・・
In addition to/As well as ….. must be/should be/needs to be established …
・・・に加えて、・・・ということが確認できます
In other words…….
別のいいかたでは・・・
So what I’m saying is….
では、私が言いたいことは・・・
To put it more simply….
よりシンプルに言うと・・
To put it another way….
別の言い方をすると・・・
議論・質問を始めるI’m happy to answer any queries/ questions.
質問はありますか?
Does anyone have any questions or comments?
質問やコメントはありますか?
Please feel free to ask questions.
質問やコメントはありますか?
If you would like me to elaborate on any point, please ask.
なにか不明点が会った場合には質問してください
Would you like to ask any questions?
なにか質問はありますか?
Any questions?
なにか質問は?
コンセプトや議論点を整理するOne aspect which illustrates … can be identified as …
・・・と確認されたことは、・・・・が(解決方法や課題)として考えることができます。
The current debate about … identifies an interesting viewpoint on …
・・・・と議論されたことは、・・・という興味深い視点を示しています。
グラフや表を説明するAs you can see here…
ここにありますように・・・
Here we can see…
この(表・グラフ・絵)にありますように・・・
If we look at this slide…
このスライドを見てみると・・・
This slide shows…
このスライドによりわかるのは・・・
This table/diagram/chart/slide shows…
この表・図・グラフ・スライドでは・・・
I’d like you to look at this…
ここでこの・・・を見てほしいのですが・・・
Let me show you…
これを見てください
On the right/left you can see…
右側・左側にありますように・・・
公知の事実を言うAs you may know,
ご存知とは思いますが・・・
As you may be aware, ….
ご存知のように、
I know many of you are familiar with…
皆さんご存知とは思いますが・・・
Many of you may have performed…
みなさんはご経験があると思いますが・・
I am sure, you are all familiar with …. work on
みなさん・・・についてはよくご存知だと思いますが・・
前段の説明に触れるJust to repeat what I said earlier,
前に申しましたとおり・・
As I mentioned earlier…
前に申しましたとおり・・・
Do you remember I said…?
・・・と説明したことを覚えてますでしょうか?

 

 

Q&Aで使うサインポスト・フレーズ

Q&A

Maialisa / Pixabay

 

プレゼンにかかせないQ&Aは日本語で行っても難しいですが、さらに英語で行うということで、質問者の意図がわかっているのか不安になりますよね。しかも、準備をすることができるプレゼンとちがい、その場で当意即妙に英語で答えなければなりません。

 

Q&Aにも、サインポスト・フレーズという定型文があり、サインポスト・フレーズでまず反射的に答えながら、回答を考える時間を稼ぐ 、質問の意図を確認しましょう。サインポスト・フレーズを使って平常心を維持すれば、トリッキーな質問にも回答することができます。

 

とにかく時間をかせぐ

Thank you, it’s great question and we love to answer question.
良い質問ありがとうございます、ぜひ答えさせてください。
Thank you to give us good question, happy to answer it. Let me say…

良い質問ありがとうございます、ぜひ答えさせてください。

質問を自分の言い方で聞き直す

Let me check I understand you clearly. Do you mean…?

So do you mean…?

So are you saying…?

質問を聞き直す、もしくは質問を自分の言い方で聞き直す

Could you repeat that?

I didn’t quite catch that…

I’m not sure I’m following you…

 

 

別の機会に説明させてもらうようお願いする

Thank you… it’s a good question and one we are trying to address in our follow up in offline.

良い質問ありがとうございます、ただしその部分については別の機会で説明したいと思います。

 

 

まとめ

keep calm and carry on

journey-l / Pixabay

 

私のようなドメな日本人にとって、英語プレゼンは、緊張します、怖いです、汗がでます。声のトーンが安定しないこともあります。

 

かといって、Ah…とかWell…とかYou know…とか、誰が聞いても意味のない言葉を発してしまうのは、自信がないとマイナスになります。妙な英語教育を受けた人が、you knowを連発してネイティブみたいだと喜んでいることがありますが、聞き苦しいことこの上でない。

 

サインポスト・フレーズに習熟して、普段からいい慣れた言葉として、ルーチン(習慣)として刷り込むことができます。さらに、英語で複雑な言い回しが難しいレベルの英語力でストレートな単文しか話せなくとも、サインポスト・フレーズと組み合わせることで、格調あるフレーズに聞こえます。

 

加えて、プレゼンテーションにおいては、技術的なトラブル、急な質問、スクリプトを忘れるなど突発的な問題が発生することがありますよね。日本語でプレゼンをしていても対処に困るのを第2外国語でとなると、パニックになりがちです。

 

いつもの気分に戻る、落ち着く、中断されてしまったストーリーを再開するなどする時に、さっとサインポスト・フレーズを入れていくことで、聞き手も集中することが可能になりますし、自分の落ち着きます。