比較的やりやすいグローバル学歴ロンダリング

Universityビジネス

学歴は一部の学閥が跋扈する会社を除けば社会人になってしまえば意味がないというのが新卒一括採用・終身雇用においての真理でした。しかし、キャリア作りに転職を活用する場合には、経験とともに学歴も重要な要素です。学歴ロンダリングの方法を紹介します。

 

 

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学歴は無駄にはならない

もしあなたが東大・早慶など一流大学を卒業しているのであれば、以下を読む意味はありません。これは僕のような2流・3流の大学を卒業した人向けの方法です。

もしあなたがまだ20代であれば、情報系や科学などSTEMと言われる領域の修士号をアメリカに取りに行きましょう。勉強が楽しくなる教授法があるアメリカの大学での経験は絶対に無駄になりません。

MBAの価値が下がっているのは間違いないですが、パッとしない大学を出て、30歳を過ぎて今後のキャリアに悩んでいるのであれば、外資系・日系どちらのキャリアに進むとしても、MBAを持つ価値はあります。この記事も読む価値があるかもしれません。

 

MBAの意味と効果

MBAは最近価値が下がっていると言われています。国内外でMBAを提供する学校が増えたこと、経済・経営の情報がネット上に充分存在していることなどが相対的にMBAの価値を下げて、MBAというだけで経営企画に異動という時代でもありません。しかし、MBAを持っていることが転職やポジション獲得の助けになることは確かです。

たとえば、Major SchoolのMBAやその他修士を持っている人が、Linkedinに登録すると毎週のようにヘッドハンターから連絡がきます。ヘッドハンターはリストづくりのためだけに連絡してきているため、それだけで仕事を紹介されるわけではないです。しかし、In-personで会って、具体的な興味、キャリアの希望を伝えるとその後継続的に面白そうな仕事を紹介してくれます。

Linkedinは大量にヘッドハンターがアクセスをしてくるので相手をするのがめんどくさいと思う方もいらっしゃるかもしれません。ヘッドハンターは産業ごとに守備範囲を明確に持っていますので、どのヘッドハンターがどのような関係を企業と持っているのか理解しておくこと、常日頃からどのようなニーズが存在するのか知っておくことは、自分のキャリアの選択肢を広めてくれます。

高騰するMBA投資金額

欧米でフルタイムのMBAに行くと2年という「時間」と2000万近い「学費」のため、実質5000万以上の投資になります。また、入学のためにGMAT、TOEFLやEssey準備のための勉強時間やエッセイの添削費用などもかかってきます。

一方、日本のMBAはパートタイムのスクールもあり取得のハードルは低くなりますが、英語力を証明するものにもなりませんし、MBAと認定機関に認められていない経営学修士が多く、どこでも通用するというものにはなりません。なによりも、MBAの価値の半分は同級生、卒業生ネットワークや人間関係。しっかりとしたネットワークを持っている欧米系メジャースクールがこの面でも一日の長があります。

なによりも、どうせ学歴ロンダリングをするのであれば、中途半端な大学よりも誰にも文句を言われない学歴を用意したいですよね。いずれの大学に行ったとしても、あなたが投資するお金や時間は莫大なものになります。時間という有限の資源を大量に投資する以上は、できるだけ良いリターンを求めるべきです。

MBAではなくEMBAを目指すべき

欧米のMBAスクールに入ってくる学生の多くは、学部を出てすぐの人や社会人歴2−3年目という人が大半を占めます。日本人が自費でMBAを取りに行くと思うタイミングは30歳前後ということを考えると、MBAに行くと同期・同級生の多くがキャリアをスタートした「お子様」というのが実態です。

一方で、ある程度キャリアを積んだ人向けにExecutive MBA(EMBA)というコースが用意されています。EMBAに入学する人の多くは30−35歳以上でディレクター以上のタイトルを持った人、つまり同級生が著名企業、スタートアップや自分の会社で活躍している人となります。クラスの中にはマネージングディレクターやCEOがいることも珍しくなく、EMBA卒業と同時に同級生の会社に入社する人、同級生と起業する人も数多くいます。

デメリットとしては、欧米の大学は近年学費が非常に高くなっていることに加えて、EMBAはさらに学費が高く、例えばノースウェスタン大学ケロッグの場合、学費だけで200,000ドル(2400万)を超えます。

また、EMBAは週末などに行われるパートタイムのプログラムが多いのですが、日本からアメリカやヨーロッパに通うのは現実的ではありません。

比較的安価なサテライトスクールのMBA

日本に住んでいるメリットとして北京・上海が近いということがあげられる時代になりました。どういうことかというと、欧米のトップスクールの多くが中国の大学とジョイントプログラムを提供しているからです。

このようなジョイントプログラムは、

・英語で授業がされること

・パートナーの欧米スクール主導で本校と同じカリキュラム

・本国と同じような学習環境

といったコースを提供しています。

たとえば、復旦大学がワシントン大学セントルイス校と提供しているEMBAのコースは、上海で週末実施、マーケティングで著名なケロッグと香港科技大学のコースも金曜日から週末にかけて授業があり、日本で働きながら欧米トップスクールのEMBAを取得可能です。

また、これらのジョイントプログラムの多くは、実は面接だけで入学することが可能です。

GMAT, TOEFLのスコアを用意して、学校ごとにエッセイを用意するだけで大量の時間を投資しなければなりません。面接だけで入学できるということは、まるまるこの投資を避けられることとなります。

さらに日本人は優位な状況で受験可能です。中国で行われるEMBAは、中国人だけに生徒がならないように欧米・中東・アジアおよび日本など多様性を確保しようとしています。しかし、各校とも日本人生徒のリクルーティングには苦労している状態なので、日本人の申込みというだけで競争なしに決まるという例も多いです。

 

 

ワシントン大学セントルイス校オーリン&復旦大学EMBA

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プログラム概要と特色

プログラムは、18ヶ月間の間に毎月1回金曜日から月曜日にかけて上海にある復旦大学のキャンパス内で実施されます。18ヶ月の最後に2週間ワシントン大学セントルイス校で授業が行われます。学位はワシントン大学セントルイス校オーリンから発行され、復旦大学は学位ではなく卒業証明という認定になります。

EMBAの学費は18ヶ月で97,000ドル(1200万円)と、本校よりもかなり金額が押さえられています。上海までの交通費とホテル代とUSでの2週間の費用を考えると、1500万と42日間の有給が必要になります。通常、日本企業の場合は20日程度の有給があるので2年間であれば、有給だけで対応可能です。ランキングも、EMBAのランキングではグローバルで5位、ワシントン大学セントルイス校はWorld University Rankingで50位と、東京大学の47位以外の日本の大学よりも高いランキングを誇っています。

 

ランキング

ワシントン大学セントルイス校オーリン&復旦大学EMBA FT5位 (2016)

ワシントン大学セントルイス校オーリン  FT 45位(2016)

復旦大学MBA FT 40位(2016)

 

 

 

ノースウェスタン大学ケロッグ&香港科技大学EMBA

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プログラム概要と特色

プログラムは、20ヶ月間の間に毎月1回もしくは2回金曜日から日曜日にかけて香港にある香港科技大学のキャンパス内で実施されます。8月に3週間ノースウェスタン大学ケロッグスクールで授業が行われます。学位はノースウェスタン大学ケロッグと香港科技大学から発行されます。TOEFLかIELTSは必要ですが、GMATの提出義務はなく、会社からの協力を証明する推薦書は必須です。講師は半分がケロッグから、半分が香港科技大学からとなります。

EMBAの学費は20ヶ月で163,000ドル(2000万円)と、結構な金額になります。授業期間中は学内に宿泊できるので、香港までの交通費とUSでの3週間の費用を考えると、2200万と38日間の有給が必要になります。EMBAのランキングでは過去10年間で7回1位をとっており、世界最高峰のEMBAといって間違いがないです。ケロッグは常にトップ5を維持するMBAプログラムですし、ノースウェスタン大学はWorld University Rankingで20位と、日本の大学とは比較にならないランキングです。香港という立地もあり、金融機関に務めるひとがほとんどです。

 

ランキング

ノースウェスタン大学ケロッグ&香港科技大学EMBA FT EMBAランキング1位 (2016)

ノースウェスタン大学ケロッグ Forbes EMBAランキング2位(2016)

香港科技大学EMBA FT EMBAランキング15位 (2016)

 

 

 

 

ノースウェスタン大学ケロッグ&北京大学EMBA

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プログラム概要と特色

香港科技大学と同じくケロッグがパートナーとなっているEMBAプログラムです。22ヶ月のプラグラムで北京大学のキャンパス内で授業が行われます。ただし、週によっては上海・西安などで行われることもあり、シカゴにも2週間滞在しての授業があります。学位はノースウェスタン大学ケロッグと北京大学の共同学位として授与され、教授陣はすべてケロッグの講師です。GMATもTOEFLも必要ありません。2ヶ月に1回1週間の授業が行われます。

EMBAの学費は22ヶ月で150,000ドル(1800万円)、北京までの交通費、滞在費とUSでの2週間の費用を考えると、2100万と70日間の有給が必要になります。有給だけでカバーすることはできないため、会社の理解が必要になります。

香港科技大学とのプログラムと違い、製造業やデジタルの会社などのインダストリー側の生徒が多く、政府関係者の多い北京大学光明MBAスクールとの関係もあるため中国政府関係者との関係づくりも可能です。

 

ランキング

ノースウェスタン大学ケロッグ Forbes EMBAランキング2位(2016)

香港科技大学EMBA FT EMBAランキング17位 (2016)

 

 

 

INSEAD&清華大学EMBA

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プログラム概要と特色

MBAランキングでグローバル1位を取ることも多いスペインのINSEADと、北京大学とならぶ中国最高学府の清華大学のジョイントスクールです。18ヶ月のプラグラムで清華大学のキャンパス内で授業が行われ、INSEADの本校での1週間もあります。学位はINSEADと清華大学それぞれのMBAが授与され、教授陣はすべてINSEADの講師です。GMATもしくは清華大学の入学テストを受ける必要があります。

EMBAの学費は22ヶ月で120,000ドル(1500万円)、北京までの交通費、滞在費とUSでの1週間の費用を考えると、1700万と50日間の有給が必要になります。有給休暇でぎりぎりカバー可能という範囲でデザインされています。

18ヶ月という短期間で取得できることと、グローバル最高峰のINSEADということで、ヨーロッパの多様な文化を反映した国際ビジネスについて学ぶことができます。

 

ランキング

INSEAD&清華大学EMBA FT EMBAランキング2位 (2016)

ノースウェスタン大学ケロッグ FT MBAランキング1位(2016)

清華大学EMBA FT EMBAランキング18位 (2016)

 

 

私の体験

2流大学を90年代後半に卒業した僕は就職氷河期の中で学歴フィルターで面接も受けられず、とにかく入社できるところと走り回りました。その後の転職でも、面接までたどり着ければ経歴や知識から会話できるものの、一部の企業からは声もかからないという状態でした。僕がMBAを取りに向かったのは、選択肢を広げるためです。結果的に、

紹介されるポジションはシニアポジションばかりになりました

外資系の企業で書類で蹴られることはほぼありません

日系の会社でもグローバル事業の企画などのポジションでのインタビューが増えます

投資は3年で回収できました

大学を聞いてくる変な社会人には、欧米トップスクール出身というだけで黙ります

ということで、あなたがもし東大など一流大学をでているのであれば、無理にMBAを取りに行く必要ありません。もし、大学名というだけで不利を被っているのであれば、ロンダリングしましょう。

 

学歴ロンダリングのすすめ

比較的日本から近い場所で欧米トップスクールの学位を取れることを紹介すたるために4つのジョイント・プログラムを紹介しました。同時に、ジョイント・プログラムというルートであっても、必ずしも安くはないということもご理解頂けたかと思います。

ただし、日本のMBAに行ったとしても、学費は年間200万程度かかります。いずれにしても大きな投資をするのであれば、最高の学位を目指すことで最終的なリターンを最大化しましょう。

採用側としては日本のMBAを取りに行くという熱意を評価しますが、能力を保証するものとは考えません。日本の大学での教授職や講師などのポジションを引退前後に目指すのであれば、日系MBAと思います。それ以外の場合は、学歴ロンダリングの方法としては、投資対効果が悪いと思います。

 

2000万投資しても、2流・3流の大学から欧米のトップスクールを出ているというCVは、それだけで語れるストーリーになります。また、2000万程度であれば、学歴ロンダリング後に給料差として回収することが確実な範囲に収まります。

中国国内には欧米MBAとのジョイントプログラムは、他にもたくさんあります。欧米のMBAというだけでなく、ジョイントプログラムは中国という多くの企業にとっての最大市場の知見や知人がいるということを証明することになり、高い評価を獲得できる要素となります。

 

大学入試の時に真剣に勉強しなかった方、入試のような試験は苦手だけど仕事は得意という方、そんな方にはGMATなども必要なく、気合英語と日本人という希少性だけでアドミッションを突破して、欧米トップスクールの学位を取得するチャンスです。

 

 

最後に

学歴ロンダリングと露悪的な言葉は個人的には好きなのですが、気分を害する方もいらっしゃるかもしれません。そもそも学歴ロンダリングなどという言葉が生まれる日本は問題です。大学受験の時、新卒の時に、自分の能力や経験がわかっていて、しっかり努力の上で最適な道を選んでいるのは理想だと思います。ただ、すべての人がそうだと思いません。

 

「ロンダリング」という言葉は、マネーロンダリングから来ており、不正な意味合いを感じさせる。学歴ロンダリングという言葉自体、圧倒的に、差別的な(悪い)意味で使われることが多いようだ。しかし、学歴ロンダリングをして学歴を変えようとする姿勢には賛成だ。学ぶ機会が多様化し、大学院が増設され、社会人になってから進学する人も増えてきた。今までの日本では、「学歴を変える」という発想自体が珍しかったが、大学改革の一環として、大学・大学院が身近になってきた。社会人が仕事を続けながら進学する環境も整いつつあり、今後、社会人の大学・大学院進学者は増えるだろう。アメリカで会計事務所を経営する友人に、日本で起きている学歴ロンダリングの話をしたところ、興味深い答えが返ってきた。「むしろ、そういった行為はすばらしいことだと思うよ。努力して学歴を変えようとしているんだから。私も人を採用する時、履歴書で学歴をチェックするが、いわゆる無名大学から、有名大学院に進学した人がいると、『努力したんだな』と良い印象を受ける。」

出典:https://allabout.co.jp/gm/gc/313466/

 

マッキンゼーなどの戦略コンサルティングファームなど、学部からきれいなバックグラウンドでなければ入れない会社もあります。ただし、多くの企業は、最終学歴を見ています。

採用をしている側としては、大学の名前に価値はそれほど感じません。ただし、本人が成長のための努力をした成果としてDegreeを評価します。

僕もITからマーケティングというキャリアチェンジを経験しています。WEB制作からCFOになった人、ITから事業会社など、ITからベンチャーキャピタルなど夢を実現させた人は同級生にたくさんいます。

キャリアチェンジという大きな変化を実現することで、自分の能力を最大化して、仕事を楽しめること。そして、自分の能力に対応した給料をもらうために努力をすることは当然です。キャリアはリニアなものではありません、非連続の線を紡いでいくことで出来上がるからこそ面白いのです。

自分なりのストーリーを作り上げましょう。自分のキャリアにMBAなどの学位が役に立つかわからなければ、キャリアコンサルタントと会話してみましょう。情報を集め、専門家のアドバイスを聞いて、自分で決めるのが重要です。