動画ストリーミンサービスで世界シェアNo1を誇るネットフリックス。株価が今年の年初から75%にも及ぶ急上昇となり時価総額は1520億ドル(約16.7兆円)に到達し、ディズニーを追い抜き、メディア業界で最大の企業となったことで話題をあつめました。
このネットフリックス共同創業者でCEOのリード・ヘイスティングスが毎年1回読み直すという本があり、インタビューでもたびたび言及しています。
ネットフリックスの創業からの変遷
ネットフリックスの歴史は意外と長く創業は1997年にカリフォルニアでオンラインのDVDレンタルサービスを世界で初めて開始しました。
定額制のレンタルサービス、会員の評価に基づいておすすめ作品を提示するレコメンド機能など新しいサービスにより毎日100万枚ものDVDがNetflixを通じてレンタルされる巨大サービスとなりました。
ここまでトラディショナルなDVDの領域で大きな成功を収めながら、2007年にはコアビジネスをストリーミングサービスへと移行しました。
当初は技術的な問題もあり難航したものの、2012年までに3000万人を超えるストリーミングサービスへと育てます。
さらに、ネットフリックス自社制作のオリジナル作品への投資を開始しハウス・オブ・カードなど自社コンテンツでも大きな成功を実現しました。
2015年には日本にも進出、一定のシェアを獲得するとともに、アニメを中心に日本でも独自タイトルを作っています。
ユニークな企業文化
このように大きなビジネスの転換や拡大をしてきたネットフリックスを率いるCEOのグリード・ヘイスティングスは、ユニークな文化をネットフリックスに根付かせていることで知られています。
休暇に関する規定がなく社員は好きなときに好きなだけ休暇を取れるシステム、従業員が属する部門だけでなく全社で行われている様々なプロジェクトを共有・アップデートする情報公開の仕組み、規則よりも従業員の論理や常識に頼るという哲学など、シリコンバレーの哲学に大きな影響を与えてきました。
グリード・ヘイスティングスが毎年読み直す本
グリード・ヘイスティングスが毎年読み直すようにしているという本が、ビジョナリー・カンパニーで有名なジム・コリンズが1992年にウィリアム・C・ラジアーと共著した「Beyond Entrepreneurship: Turning Your Business into an Enduring Great Company」です。
ジム・コリンズの他の著書がビジョナリー・カンパニー2、ビジョナリー・カンパニー3など題名は違うものの邦訳されているのに対して、この本は翻訳されていません。ビジョナリー・カンパニーのような成功した企業をケースとしながら科学的・データから分析した本と違いコンセプト・哲学のみが語られています。
この本を通して伝えられるメッセージは、「リーダーが永続的に成長する企業の基礎を、まだ小さなスタートアップの段階から構築する方法」です。バリュー・ビジョンを設定することの重要性、戦略的な意思決定、組織の運営についてその背景となる哲学と戦略を記しています。
グリード・ヘイスティングスは、最初の2章80ページにこの本のエッセンスは凝縮されていると、すべてのビジネスパーソンに読むことをすすめています。
シリコンバレーから生まれた最高の文書
Beyond Entrepreneurshipは、初期にいくつかの成功をおさめた企業が次の段階の成長を進めるために効果的な哲学・手法を示したクラシックな本と評されています。ただし、日本語訳をされていない本ということもあり、なかなか手が出ないですよね。
そこで、この本のかわりに手を出しやすいドキュメントとして著名なパワーポイントの文書があります。Netflix Culture Deckと題されたグリード・ヘイスティングスがネットフリックスの文化と哲学を示した125ページからなるパワーポイントは、フェースブックのNo.2、COOのシェリル・サンドバーグはこの文書を「シリコンバレーから生まれた最高の文書の一つ」と絶賛しています。
グリード・ヘイスティングスがネット上に公開した結果、このドキュメントは320万回以上読まれ、個人の創造性を信頼し不確実なビジネスにおいて成長を続けることを哲学がまとめられています。125ページとボリュームはありますが無料で読めますしBeyond Entrepreneurshipのエッセンスとそれを活用したネットフリックスの企業文化について理解することができます。