拡大するエンタープライズ・イーサリアムのユースケース

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暗号通貨として話題になるビットコインやイーサリアム。仮想通貨をいかがわしいと思っている方もイーサリアムの嵐からは逃れられないかもしれません。日本企業も多く参加しているイーサリアム・エンタープライズという仕組みが拡大しています。新たに加わったユースケースを紹介します。

 

 

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Enterprise Ethereum

EthereumはBitcoinに次ぐ大きさを持つ仮想通貨です。同時に、仮想通貨の中で単なる通貨ではなく、企業がビジネスに取り入れる仕組みとして機能する仮想通貨としてEthereumはスタートアップから巨大企業まで広く受け入れたEnterprise Ethereum Allianceという仕組みの元でスタンダードな仕組みと情報共有を目指しています。

エンタープライズ・イーサリアムとは?目的や活動、そしてインパクトについて
暗号通貨として話題になるビットコインやイーサリアムですが、仮想通貨をいかがわしいと思っている方もイーサリアムの嵐からは逃れられないかもしれません。ブロックチェーン・スマートコントラクトをビジネスで活用するための仕組みとして日本企業も多く参加しているイーサリアム・エンタープライズという仕組みがあります。イーサリアム・エンタープライズの活動を通して、スマートコントラクトのビジネス利用の現状を見てみます。

実際の仮想通貨とビジネスへの実装(ユースケース)は徐々に拡大しており、地方公共団体による交渉実験も開始されています。同時に毎月新しいメンバーをむかえつつ、ユースケースが拡大しています。そんなユースケースを紹介します。

イリノイ州のブロックチェーンによる公的証明書実験
米国イリノイ州はブロックチェーンを使った住民台帳の実験を始めます。ブロックチェーンを使うことで、住民に出生証明などの公的証明書へより良い管理、アクセスと安全性を提供しようという実験です。この動きは、イギリス、ブラジルなどでも始まっており、アイデンティティのブロックチェーン管理が進みそうです。

 

CarFix

若者の自動車離れなどと騒がれていますが、本質的に自動車は高い買い物です。本体価格よりもメンテナンスにかかる手間と費用を考えると手が出ないことも当然かと。CarFixは、イーサリウムの仕組みを使って、車体の登記、保険、中古車の販売などトラディショナルな仕組みをデジタル化することを実現する会社です。

CarFixは、モスクワで創業したロシアの会社でVehicle Lifecycle Blockchain (VLB)というブロックチェーンのトークンを発行します。そしてこのトークンに、クルマ本体の情報を登録し、自動車の登録を担当する地方自治体の機関、保険会社、修理工場などが情報を参照の上で追記していきます。現在紙で運用されている修理記録などは改竄することも難しくなく、透明性がないとされています。今後はBlockcainとSmartcontractを利用することで透明性の高い自動車管理を目指しています。

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日本でも、自動車の整備市場は5.5兆円、自動車保険は8兆円と大きな市場です。業務用自動車のように法定車検が1年毎に必要な自動車も含めると、利用記録などによって改竄が難しい走行距離、積載量合計などが実現されると安全性なども高まりそうです。関係機関が多いものの、一度スタンダート化してしまうと大きな市場になりそうです。

CarFixは11月27日にICOによる300,000ETHの資金調達を予定しています。VLBに関するホームページはちゃんと英語で用意されています。

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VOISE

Ethereumのビジネス利用を拡大するEnterprise Ethereum Allianceに参加したVoiseは音楽の著作権および主入管理にBlockchainとSmart Contractを利用するための仕組みを提供しています。

voise

音楽はインターネットの登場以降、海賊版との戦いを経て、Spotifyなどディストリビューションの仕組みがようやく整理されてきたという段階です。さらに、PCだけでなくモバイルデバイスの拡大により音楽の消費・配信は年率60%以上で拡大していますが、著作権者が管理するには広大な仕組みということもあり、マネタイズには引き続き苦労しているというのが現状です。

Blockchainを音楽に適用しようという企業はそれなりの数があります。ただし、既存プラットフォームのアドホックとして開発されているものが多く、著作権者やユーザー向けに作らるようなシンプルな仕組みがないというのが課題でした。

そこで、Enterprise Ethereumを利用して、シンプルな仕組みで著作権者がチャージする金額を決めて自動的に契約・支払いが行われるような仕組みを想定しています。

 

Zim Integrated Shipping Services

Zimはイスラエルのハリファを拠点とする海運会社です。ZimはBlockchainを利用したペーパーレスの貿易関連書類の運用試験に成功したと発表しました。

今回の実験は、17世紀から基本的なフォーマットとしては変わっていない海運関連の書類の電子化とBlockchainによる分散管理を、アメリカの海運会社Sparx LogisticsとイスラエルのBlockchain関連スタートアップのWave Ltdの3社で実験を行ったとのこと。

試験は3つのコンテナがカナダから中国に発送され、Waveが構築したBlockchainのアプリケーションを使って、荷主・購入者・開運会社の関連するすべての会社がアプルーブをすることでプロセスが進む仕組みを構築。多くの関係者が関連するプロセスにおいて、非集中型でありながらセキュアな環境で情報の更新・管理が行われたとのことです。

wave homepage

イスラエルを含め日本でも港湾EDI(税関関連の電子情報処理)の仕組みは1990年代より存在しているものの、世界的に統一した仕組みとは言い難かったこと、集中管理されている仕組みにアクセスする必要があることなど、課題が多かったとZim社は述べています。

 

実際に使ってみて理解する

頭の出来が違うスマートな方は、記事を読んだり仕組みを理解することでその可能性や意味を理解できるようですが、僕のような経験からしか理解できない凡夫は実際に経験してみるしかありません。

投機に興味はないのですが、投資と経験をして、理解してみようということで、本当に少額買って、それがどのような挙動を示すのか見てみています。暗号通貨バブルと言われる状態なのは間違いなく、Ethereumも今年3700%値が上がっています。一方で200億円以上がシステム上でのミスで使えなくなくなる事件が起きたり、ICOをした会社が4200万円の調達資金を持ち逃げする、70%以上のICOは詐欺案件とレポートされるなど、まだまだ成熟していません。

存在も未成熟、プラットフォームも胡散臭いところも多いという状態ですので、安全性が高いプラットフォームでとりあえず買ってみるというのがおすすめです。他の暗号通貨などに換金などをしながら、利用用途が予想以上にある、ないなど実際に理解してみることが良いかと思います。