米国の高配当安定株式を調べてみる

ビジネス

アメリカ株式の情報源を羅列したエントリーを書きましたが、テーマもなく英語を読むのもつらいので、成長株式のセクター、高配当などテーマを持って読んでいくのがおすすめです。

アメリカ株の配当は、配当利回りが4%を超えるものも多く、日本より高い配当性向が一般的なこともあり魅力的な投資基準のひとつです。ただし、調べたその時点での株価をもとに高配当のランキングで購入しても、株価の変動や経営状況によりあっという間に低い配当資産になりかねません。

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インデックスを基準に調べる

高配当株式のランキングをみると、不動産のようなキャピタル・インテンシブな企業が散見されると思います。これらの企業は成長のために借入や新株発行などで資産規模を拡大して投資をしていく必要があるため、高配当により資金を集めるものの、10年間で発行株式数が3倍になるといった希薄化が進むことがあったり、新たな投資先がなくなると途端に配当性向を下げるといった傾向があります。

同時にこのような企業は、健全で安定したマーケット環境で資金調達ができることを投資と成長の前提としているため、マーケットが崩れると大きな影響を受けやすいく、キャピタルゲインではなく安定した配当を目的とした投資とは逆行してしまうこととなります。

基本的にはキャッシュフローの中で配当を支払える株式が長期的な投資には向いています。そこで、安定した大型株であるS&P500に収載されている企業で、5年、10年と一定の期間にわたって配当額を高めてきた企業を高配当安定株式として投資することを多くの識者やアドバイザーが推奨しています。

そして、この基準に適合した高配当株式の基準となるインデックスが2005年に発表されました。S&P 500 Dividend Aristocratsというインデックスで、25年以上にわたって安定して企業規模を維持しつつ、配当性向を高めた企業のパフォーマンスをまとめたものです。

S&P 500 Dividend Aristocratsは、S&P500を過去10年以上アウトパフォームしており、良い投資の基準として使える指標となります。とはいえ、個別株をみていくとビジネス環境や競合優位性に変化はあるということで、S&P 500 Dividend Aristocratsから数社紹介してみます。

S&P 500 Dividend Aristocrats - Wikipedia

高配当安定企業

Caterpillar

キャタピラーは日本でも三菱重工と1963年から2012年までジョイントベンチャーで運営していたり、ロゴマークがファッションに使われていたりと比較的馴染みのある企業だと思いますが、イリノイ州に本拠地を置くMNCで、天然資源と建設機械を製造・販売する企業です。

キャタピラー (企業) - Wikipedia

キャタピラーは1925年に創業しダウ平均株価の銘柄でありS&P500の上位を継続して維持しています。配当という視点では、2018年まで25年連続して配当を増やしてきたことで、S&P 500 Dividend Aristocratsに取り入れられたのはごく最近です。現在の配当利回りは2.5%, 今後も6%以上の成長を続けることをアナリストは予測しています。

キャタピラーのP/E Ratioは11.3、一株あたり利益は$12.25と堅調ですが、建設機械という景気の影響を受けやすいセクターということもあり比較的株価は低調です。Wikiにも言及されていますが経済誌のバロンズが2013年に財務体質で世界5位と高い評価を与えたこともある安定企業ですが、今後の世界経済に懸念がある状態では株価は低調になる可能性がありますが、高い配当性向を維持することで長期的な投資に向いた企業と考えられます。

PPG Industries

PPGは、ペンシルバニア州ピッツバーグを本拠として世界70カ国以上でビジネスを展開する世界第2位のペイント、コーティング素材を販売する企業です。Wikipediaでも触れられていますが、ガラスでできた流麗な本社ビルで著名な企業です。

PPG Industries - Wikipedia

1883年設立後、1899年から一度も欠かさずに4半期ごとに配当を払い、過去46年間にわたって配当性向を高めているというS&P 500 Dividend Aristocrats視点での優良企業です。現在の株価での配当利回りは1.7%とS&P500の平均よりも低いものの、長期的に安定したビジネスで安定した配当が期待できます。

過去5年間7.3%の成長をしており、アナリストは今後5年間も7%近い成長を維持すると予想されています。現在、P/E Ratioは17.4、1株あたり利益は$6.42となっており、7%の成長が予測されている配当性向32%の株式としては低い評価になっています。

塗装、ペイント、コーティングなどは目立たないながらも、精密機器、自動車、宇宙産業から自宅の塗装までなくてはならないビジネスとして安定したビジネスが想定できるセクターです。

People’s United Financial

ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャルは、コネチカット州を本拠地として北アメリカを中心に400店舗を展開する銀行です。過去10年間で地域の拡大、オーガニックの成長、M&Aを通じて資産を2倍以上に拡大し、資産$48 billion、Market Capは6.6 billionという中堅地方銀行。

People's United Financial - Wikipedia

アナリストは今後も数年の間、5%以上の安定した成長を予測しています。過去26年にわたって、少しづつでも配当をあげており、配当利回りは4%になります。安定した成長と過去26年の傾向から、今後も配当性向を向上させていくと予想されます。P/E ratioは12.1, 1株あたり利益は$1.45と成長に比べると低い評価ということになります。

保守的な投資家にとっては安全な投資先と言えますが、今後数年FinTechの発展により大きな金融の変化が起きる可能性があるセクターの株式のため、マーケットが大きく変わるリスクはある状態です。

Chevron

Dividend Aristocratsに同じく名を連ねるExxon Mobileに続いて米国第2位の石油会社のシェブロンは、カリフォルニアに本拠地を置き180カ国以上でビジネスを展開しています。石油の元売り、小売を中心にしつつ、地熱発電では世界第1位の規模を誇るなど代替エナジーにも力を入れています。

シェブロン - Wikipedia

シェブロンは32年にわたって配当を向上させてきた実績を持っています。石油業界の株価は、石油の価格や地政学上の問題によって大きく変動するため、この環境下で継続して配当を伸ばしてきたことは大きなレコードです。

株価と同じように業績も変動が激しく、2016年には大きな損失で終えていますが、それでも配当を継続しています。配当利回りは4.0%でSP500の平均を超えています。アナリストの予測では今後の成長は5%程度となっていますが、中東情勢や南米の産油国が突然安定に向かうなど石油の価格が大きく下がるような場合は、大きく成長にブレーキがかかることが予想されます。

一株あたりの利益は$7.74、P/E ratioは14.7となっています。とはいえ、今後しばらく石油価格が大きく下がることはないという予測も多い中では、5年程度の間は安定的なリターンが期待できる状態です。

最後に

成長株式はアマゾン、アップル、スポティファイなど馴染みな企業が並びますが、上記で紹介した堅実に配当を増やす企業は、ほとんど違う企業になります。また、短期的でも高い配当利回りを提供する企業は5%を超える利回りとなっています。

どの企業に投資するのかは、10-20年という時間軸で検討するのか、1-2年の短期で検討するのか、継続して投資する期間の想定などによって違ってきます。自分の投資スタイルに合わせて投資先を選定する基準を慎重に検討するために、色々な指標・インデックスをみてみるのは面白いです。