CFOがプレディクティブ・マーケティングを理解するべき理由

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CFOの役割はコストの管理者から戦略的なバリュー創造や成長をサポートする機能へと拡大しているとアクセンチュアがレポートしており、73%のCFOは過去2年間で戦略に関わる時間が増えたと回答しています。一方でマーケティングとCFOの関係は理想的な状態とは言えない状態が続いています。今後、CFOがマーケティングについてより知るべきという声が高まっています。

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CFOの役割拡大

COOにかわってCFOがCEOのパートナーとなっていること、そしてその役割は戦略的な価値創造に向かっていることを過去の記事で整理しました。

絶滅危惧種COOと役割が拡大するCFO
CEOに次ぐNo2と見なされ、会社のビジネス・オペレーションに責任を持つとされてきたChief Operating Officer(‘COO’)を絶滅危惧種として指定しなければならない状態になっています。一方で、Chief Financial Officer(‘CFO’)の役割拡大が進んでいます。CEO, COO, CFOというセットから変わる現状と背景
CFOを目指す人へ:現代的なCFOの役割と理解のための本3冊
現代の最高財務責任者(CFO)に求められる役割は大きく変化しています。コスト管理と利益という伝統的な責任を超える役割を負うCFOに必要な知識と哲学をグローバルの著名CFO推薦図書から紹介します。

マーケティング・アナリシスがもたらすもの

フォレスター社のレポートでは、マーケティングとファイナンスの関係を「マーケティングとファイナンスは成長という共通のゴールを持っているにもかかわらず、それぞれ違う問題意識やKPIを持つことが多く、共通認識をつくれている組織は非常に少ない。結果的に企業の総合的なパフォーマンスを示すファイナンスのKPIにマーケティングチームが貢献できていないということが発生している」と紹介しています。

多くの企業でブランドを管理するマーケティングチームは、ファイナンスはマーケティングの貢献をセールスチームに対して低く見ていると考えています。一方で、ファイナンスは、マーケティングは底なしにお金を使うコストセンターとみなしている場合があります。ただし、フォレスター社の調査には、ファイナンスとマーケティングが共有されたゴールを持つことは重要だと78%の人が答えています。ただし、15%の企業のみが現在それを実現できていると回答しました。

これはマーケティング活動の中でブランディングなど多くの部分をファイナンスの利用する言語で説明できていないことが大きな要因となっています。そこで、プレディクティブ・マーケティングと呼ばれる分析手法が両者の溝を埋めると考えられています。

Marketing And Finance Lack Knowledge Of Each Other’s Function

Marketing And Finance Lack Knowledge Of Each Other’s Function – source Forrester

共通言語になるもの

プレディクティブ・マーケティングは、多変量解析によってマーケティング活動が及ぼす効果を分析する手法です。マーケティングではこの結果をコミュニケーションチャネル別のROIやターゲティングやメッセージの効率を高めるために利用していますが、このデータを利用することで、カスタマー・ライフタイム・バリュー(CLV)の増加を算出することが可能です。

CLVによってマーケターはレベニューに貢献する顧客や顧客プロファイルを特定することができますし、マーケティング投資や予算の追加などにおいてもファイナンスと同じ言語で議論することができます。ファイナンスにとって、どこからレベニューが発生しているのか理解することは重要だからです。

同時にマーケティングとファイナンスがCLVをベースに予測することで、これまでのように長期的なブランドの効果など不定形の未来を扱うのではなく、将来的な成長率や投資戦略を数値化できるファイナンスの言語で議論することができます。

本当のLTV(顧客生涯価値)の計算方法とエクセルテンプレート
LTV(顧客生涯価値)はマーケティングを行う上でCRMが一般的になるとともに一般的な概念となっています。同一顧客の継続的な購買やクロスセル・アップセルを行うことでマーケティングによる顧客獲得と利益の最大化を行うためにLTVを算出し、それを最大化する方法を検討することになります。

顧客中心の意思決定

自社の商品ではなく顧客を中心としたビジネスプランニングが重要なことは成熟した先進的な組織であれば取り入れている仕組みで、顧客ロイヤリティやネットプロモートスコア(NPS)などの数字がマーケティング上で管理されてきました。ただし、顧客ロイヤリティやNPSがファイナンスの言語に翻訳されていない結果、ファイナンスが伝統的に管理してきた、コスト・レベニュー・売上などの項目への影響が不明瞭、結果的に即効果が想定されるセールス系の資材開発などに投資されるという結果となっていました。
プレディクティブ・マーケティングの分析手法を取り入れることで、ファイナンスの管理する言語で量的に効果を把握し、より顧客中心のアプローチを実現することができます。

同時に、プレディクト・マーケティングという言葉は誤解を生みやすいです。未来が確定的に予想できるわけではありません、予想が当たるとは限りません。マーケティングにかかわらず、セールス、ITなどの各種プロジェクトも投資対効果という視点では必ずしも確定された成果を予想しているわけではありません。ただし、数値化した目的値を持つことで、他部門と協力して、社内の他の事業体と比較するなどの手法が取りやすくなります。

分散されたデータをロジックで接続する

企業内のデータが分断されてしまっていることが数字的側面とファイナンスの技術から企業の成長を制限してしまっており、2017年の課題のひとつと70%のCFOが同じくフォレスター社の調査に答えています。データのサイロ化は物理的なデータのサイロという問題もありますが、企業内の本来有機的に関連しているデータが、マーケティングデータとファイナンスデータのように分断されてしまっていることが大きな理由です。実際に、プレディクション・マーケティングによる分析プロジェクトの最初のハードルはマーケティングチームが普段アクセスできていないリアルタイム性の高いレベニューなどのデータを入手することです。ファイナンス側も下手にレベニューのデータをマーケティングに共有して牽強付会されたくないという意図があるようです。

ファイナンスはお金の流れや稼ぎ方というビジネスモデルを管理しています。各関連部門やファンクションがどのように機能しているのか、セントラライズされた視点をプレディション・マーケティングによるCLVの分析によって獲得することは今後CFOの管理領域拡大にあわせて重要性が増していくと考えられます。

成長のための投資判断を行えるように

マーケティングを管理するCMOがChief Growth Officerへと切り替えられている状況をみても、企業の中長期的な成長のためにマーケティングの機能は重要です。CFOが成長のための投資判断をするためにはこの分析手法の導入は避けられません。CFOが戦略的な機能を担保しようとすれば、データのサイロを壊し、同じ言語で議論できる環境を導入するべきだと考えられています。

実際、フォレスター社が2017年第二四半期に発表したレポートでは、プレディション・マーケティングによるCLVの分析を導入した企業は、計測可能な結果を実感し活用していると結論付けています。

データ統合のプロジェクト

マーケティングはデータ・マネージメント・プラットフォーム(DMP)というマーケティング活用に関わるデータベースの構築が進んでいます。ただし、多くの場合はコミュニケーションの対象をターゲティングするために使われています。DMPを利用してファイナンスなど他の部署と同じ言語で議論するデータを取得・管理することも考えるべきと考えられています。

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