CFOを目指す人へ:現代的なCFOの役割と理解のための本3冊

ファイナンスおすすめの本
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現代の最高財務責任者(CFO)に求められる役割は大きく変化しています。CFOの本来的な役割は、財務・経理など企業内の数字に責任を持つ役員という理解の人が多いですが、CEOが企業のビジョンを、COOが経営においての売上(トップライン)に責任をそれぞれ持つのに対して、CFOはコスト管理と利益(ボトムライン)に責任を持つ役割ということになります。

 

企業のファイナンス部門というと、会計というと技術的な分野を司る機能と理解している方が多いですが、現代のファイナンス部門は会計のスキルだけでは役割をはたすことはできません。コストと利益の管理以外にどのような役割が求められているのか、世界のCFOから整理してみました。

 

CFOは、CEOやCOOに比べて社外に露出することは少ないですが、ランキングやスタッツが大好きなアメリカ人がしっかり市場別のランキングを作っています。Institutional Investorがセクター別のランキングを作っていますが、日本ではM&Aで有名な日本電産の吉松加雄がセクター1位に選ばれていたりします。

アメリカでは、ツイッターのアンソニー・ノト、オラクルのサフラ・キャッツ、ゼネラルエレクトリックのジェフリー・ボーンスタインなど多くの著名なCFOがおり、アンソニー・ノトがCOO、サフラ・キャッツがCEOに2017年に就任するなど、CFOがより広いビジネスを行うケースが増えています。

 

英語ではCFOのことをBean Counterなどと言って揶揄する言葉があります。安価な豆まで支出の管理のためにひとつひとつ数えるような過度な管理をする人を指します。

もしくは、Number cruncherといった、非人間的な数字を管理する機械という呼び名もあります。この手の英語の表現は多種多様で面白いのですが、著名な CFOは 企業内の数字を判断するだけでなく、優れたリーダーでありストラテジストであるとインタビューで答えており、ストラテジスト、リーダー、アドバイザーの3つの機能を担保することを求められるとまとめています。

 

CFOに求められるストラテジーは、会計年度・四半期以外での会社のパフォーマンスを理解し、企業の中期計画の実現に必要なアクションアイテムのプライオリティを設定していくこと。

また、部門や子会社のパフォーマンスの数字に責任を持って、ビジネス戦略の調整を経営幹部や部門リーダーなどと進めていきます。

 

CFOに求められるリーダーシップは、ファイナンス部門のトップ役割ではなく、CEOの右腕として戦略と執行をリードするとともに、M&Aや戦略的提携などパートナーシップの活用を推進していきます。

 

CFOに求められるアドバイザーの役割というのがもっとも大きく変化したと言われています。これまでファイナンスの知識が必要なかった領域に、ファイナンスの知識やテクニックを利用したサービスや、ファイナンス・サービスがバンドルされた製品が増えています。

これまで投資管理者として制限を加えるアドバイザーとして機能していたCFOが、積極的に自社のキャピタルや金融機関のサービスを活用して、自社のサービスを販売することが求められます。

 

そんなCFOの推薦書籍の中から以下の3冊をピックアップしました。

 

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完訳 7つの習慣 人格主義の回復 スティーブン・コヴィー

7 Habits of Highly Effective People by Stephen Covey

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リーダーシップ研究の第一人者のスティーブン・コヴィーがまとめた、とても厚い本です。

7つの習慣は、主体的であること、ゴールから逆算すること、プライオリティをつけること、互いの利益を考えるなどとても基礎的な、ただし実施することは難しいということを、どのように習慣化するのかということを語っています。

比較的パッシブに動くことの多いファイナンス部門の人間が、セルフ・モチベーテッドなファンクションへと変わることが求められる前の準備として読むことを、多くのCFOが推奨しています。

 

 

ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則 ジム・コリンズ

Good to great by Jim Collins

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ごく普通の企業が、世界有数の経営者に率いられた超一流企業に勝るめざましい業績をあげるまでに変身した。

全米1435社の中から選ばれた傑出した業績を長期間持続させることに成功したジレット、フィリップ・モリス、キンバリー・クラーク、ウェルズ・ファーゴ等の飛躍を遂げた企業11社をそれぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析した結果というのが本書の説明です。

ここで語られる多くは、大きなビジョンや革新的な戦略を語るCEOは出てきません、地道に優秀な人間を採用し、方向づけて、結果を積み上げていくという地味な事例です。

CFOの多くがこの本を薦めているのは興味深いです。同時に、この本でとりあげられたファニー・メイは杜撰な投資で破綻しており、エクセレントカンパニーではなく、Goodを積み上げてGreatを作るという考え方がCFOの思想に合っていると思われます。

 

しあわせ仮説 ジョナサン・ハイト

The Happiness Hypothesis: Finding Modern Truth in Ancient Wisdom by Jonathan Haidt

ザッポスのCEOトニー・シェイも推奨している本です。多様化する企業とビジネスにおいて日々の生活を良くしていくのか考えることができる本と推奨されています。

あるCFOが、現在ファイナンスのディレクターやマネージャーをしている人が、ファイナンスだけでなく、ビジネスだけではない、企業内の多様性を理解して、ファイナンス部門の言葉ではなく、ビジネス・パーソンとしての言葉で語るために読むべきだと言っていたのは印象的でした。

 

 

 

まとめ

 

テクニカルな本も当然推奨されていましたが、テクニカルな知識はネット上の情報でアップデートすれば十分だが、リーダーシップのために書籍を読むべきだという言葉が印象的でした。

一方で、COOの数は減り続けています、詳細はこちらに。

 

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