ハーバード・ビジネススクール教授が必読と推奨する3冊

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University

DotStik / Pixabay

アメリカの大学やMBAと聞くと、多くの人が思い浮かべるのはハーバード大学だと思います。学部・大学院のランキング上位の常連で、ハーバード・ビジネススクールはビジネススクールの現在ほとんどのMBA教育のベースとなっているケースメソッドを開発したことで有名です。

ケースメソッドは、さまざまな企業の事例についてディスカッションによって、企業の直面するチャレンジにどのように対応するべきなのか学習する手法です。ケースは、企業戦略だけでなく、ネゴシエーションや人事評価などビジネス上直面する事例などさまざまな課題をもとに実施していきます。ケース自体はどれもA4で数ページの短いものですが、ディスカッションにあたっては、さまざまなデータやケース外の情報を調べていく必要があること、同時にチーム内でのディスカッションによる様々な同級生の知見を得られるという優れた手法です。

ハーバード・ビジネススクールでMBAの学位をとるとすると、現在2年間の時間、1600万の学費、2年間のボストンでの生活費と大きな投資が必要になります。私はギリギリTOP20のMBAにいったのでハーバード卒業生ではありませんが、MBAは、同級生や同窓生などのネットワークの価値が大きいです、卒業後もさまざまなイベントでつながることことができますし、ニューヨークなど主要都市にあるクラブの利用など、生涯に渡って付加価値がつく投資になります。評価にあたっても、ペーパーテストのスコアや授業への貢献は当然として、著名なビジネスマンであることの多い教授陣と議論しながら、ビジネスプランを作って、教授から投資やコネクションを引き出すところまで期待されています。

したがって、知識として教えられる事自体はそれほど重視されていませんが、知識面も意味がないわけではありません。日本企業では、専門領域にしてもマネージメントについても、統合された教育を受けるよりも現場のOJTで覚えていくことが多いです。私も実務上の知識・経験としてマーケティング、会計、イノベーション、リーダーシップなどを担当している際に学んだものの、それぞれが統合された知識になっていませんでした。それを統合されたマネージメントの体系の中で知識と経験を棚卸しして、整理する機会になりました。

とはいえ、この知識の統合・再整理については、OJTという実務で経験したことを、時々立ち止まって理論として整理するということをすることで、わざわざMBAへ投資しなくとも実現可能です。 そこで、ハーバード・ビジネススクールの卒業生や教授が授業で利用し、ビジネスで有効だったと言っている書籍を紹介します。

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リーダーへの旅路―本当の自分、キャリア、価値観の探求 ピーター・シムズ、ビル・ジョージ

The True North by Peter Sims, Bill George

MBAで学ぶ知識という意味では、多くの日本人ビジネスパーソンはジェネラリストとしての動きをすることが多いため、広い知識をすでに獲得している場合が多いです。ただし、日本よりも欧米MBAが圧倒的に優れているのは、リーダーシップとネゴシエーションの教育です。

リーダーへの旅路は、リーダーシップの手法として、オーセンティック・リーダーシップというものを紹介した本になります。リーダーシップにおいて、少し前までは、ステレオタイプに累計された、いくつかのリーダースタイルに合わせていく事が理想とされていまいた。当時は、リーダーシップは演劇のようにリーダーという役割を演じることという考え方が学術としては常識となっていました。実際のビジネスでは、多くのCEOが精神異常だという調査もありますし、スティーブ・ジョブズなど個人としては、理想的とほど遠い、本当に嫌な人だったようです。

そのような環境の中で、個人の本来持っているパーソナリティを最大活用していくリーダーシップのスタイルとして提案されたのが、オーセンティック・リーダーシップというスタイルです。そのために、弱みをカバーするのではなく自信の強みと限界を理解した上で、組織のミッションと結果にコミットしていくために自分の強みを活用して人に影響を与えていくこと、その際に情熱を演じるのではなく、自分が本当に信じる思いや感情で社員に影響を与えるということになります。

特に、リーダーは常に冷静であるべきだと言われていた昔のリーダーシップに対して、感情や情熱を見せていくというところはリーダーシップの手法として大きく違います。自分のオーセンティックなリーダーシップ手法を見つめ直すとともに、部下のリーダーシップについてもその人の本質にあったリーダーシップの仕方にあわせてアドバイスをするなど、プラクティカルに活用できる手法です。

巨大政府機関の変貌―初の民間出身長官が挑んだアメリカ税務行政改革 チャールズ・ロソッティ

Many Unhappy Returns: One Man’s Quest To Turn Around The Most Unpopular Organization In America by Charles O. Rossotti

同じくリーダーシップの一部として推薦されている本です。リーダーをやっていると、目の前に解決できないと思ってしまうような困難なチャレンジ直面することが多くあります。解決できないと思うような課題でも、 常日頃、問題解決をするためにやってきたメソッドにあてはめて、課題を整理して、人を動かしていくと解決できる場合が多いので、問題に振り回されないことが重要です。

この本は、全米の公共機関で最低の評価を受けていた、歳入庁(税務機関)に民間初の長官になった著者が大改革に挑んでいく回顧録です。歳入庁で発生する問題はマネージャーにとって悪夢のような環境で、内に外に問題と敵だらけという環境を、著者が解決していきます。日本語版の題名も原題もものものしい題名ですが、ユーモアをまじえながら、巨大な問題に直面し解決していくとともに、生活者側の評価や意識を改善するという内容で、とても読みやすい物語です。

そして、なにより、この悪夢のような環境に比べれば、たいていの自分の直面している問題はたいしたことはないのです。歳入庁の問題は解決に向かっています。であれば、目の前の課題も解決可能と思えてきます。ワーストケースを理解しておくのは、問題に振り回されず指揮を取る際に精神安定の礎になります。

Scaling up Excellence by Robert I. Sutton, Hayagreeva Rao

できるだけ和訳がある本を紹介しているのですが、この本は邦訳が出版されていないのですが、英語で読んでも理解しやすく、実践に使える組織論の本になります。スタンフォードの教授がシリコンバレーを中心に10年間の企業調査をまとめて、組織をどうスケール(大きく)していくのかというトピックに集中して分析した本になります。

世の中には様々な効果的で有効な組織体系、経営手法、管理手法が存在しています。ただし、それぞれの手法は機能的で効果的だったとしても、その施策を組織全体に拡大する時や、組織が拡大する環境変化などによって機能していた手法が機能しなくなるということは往々に発生します。そして、うまくいく場合と失敗する場合で、明確な差があると語っています。成功のための7か条として、

・手法を広げるのではなく、意識改革を行う

・5感を使って施策を理解させ、変化を体感させる

・短期課題と長期的なゴールをリンクさせて意識を改革する

・成功したルールに固執せず、スケールする際には追加・修正を実施すること

・説明責任を果たさせる

・スケールする段階では透明性を担保して、悪い状態を発見できるようにする

・スケールするためにスケールするスピードを遅くすることを恐れない

多くのケーススタディを使って以上の考え方を説明しています。部下になんらかのイニシアティブを試行させ、それを拡大していくというのは多くのマネージャーが経験することと思います。その際に、マネージメントとして、どうアドバイスをチームに送るべきかの指針を与えてくれます。

まとめ

アメリカのリーダーシップというのは、日本の環境でそのまま使えるわけではないですが、多様なバックグラウンドをまとめていくことで培われたリーダーシップの理論はとても参考になります。スピーチの仕方などテクニックもMBAでは習いますが、本質的なリーダーのあり方を学ぶことが重要だと思います。

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