スピーキングの学習は少し前まではシャドウイング、ネイティブと話す、オンラインチャットなどの方法しかありませんでした。シャドウイングはいまだにもっとも効果的な方法のひとつですがリスニングの難易度が高く正しいのか正しくないのか判断がつきにくい。ネイティブ・オンラインチャットでの会話では、カジュアルな会話が主流で、ビジネスミーティングやプレゼンテーションのようなパブリックスピーキングのスキル上達は長い長い道のりでした。
モバイルアプリと人工知能の発展によってこの状況がかわっています。話した言葉を録音し、それを人工知能が分析してパブリックにとってわかりやすい内容か分析、アドバイスしてくれるといったアプリが次々と発表されています。
Authentic Speakerを目指す
スピーキングに自信がない期間の長かった僕は(いまでも自信ないですが)、プレゼンテーションを英語でする場合、スクリプトを書いて、大枠を記憶して、本番に望んでいました。ある時、僕のプレゼンテーションは丁寧でわかりやすいかもしれないけど、君自信の言葉で話しているように感じないと同僚から言われました。そこからAuthentic Speaker(自分らしいスピーチをする)を目指して挑戦が始まりました。
当時僕がプレゼンテーションのスクリプトとして書いていたのは、教科書の文面か作文のようなセールストークです。
There are several challenges to grow your business. Today, I would like to emphasise just one thing: advocacy is key to grow your customer base……………… I am convinced that all of you understand the role of influencers to communicate with millennials and it is not marketing or advertising, we have to build relationship with our customer………………
このようなスクリプトを、あまり強弱がないフラットな英語で話をしていたので、個性もなく退屈に聞こえるという指摘は妥当だと思います。
そこで、もう少しパーソナリティを感じさせるようにすればいいだろう?冒頭の課題感を感じてもらうには?などと試行錯誤を繰り返しました。
Hip and cool, it is our brand.
Every marketers admire our brand perception,
but, in fact, we are facing challenges.
Challenge of sales volume, challenges of resale value, challenges………..
Why?
Strong young hip brand makes some hesitation. We are forcing our customer graduate us. Do we really want to………..
短いセンテンス、疑問を投げて回答するスタイル、強弱を明確につけて、文法としては正しくない表現が増えてとなっていきます。正しい英語で退屈なプレゼンテーションをするよりも、ダイレクトに、自信を持って、聞き手に語りかけるようにしたところ、少し改善したかなと。
当然フォーマルな挨拶をしなければ行けないときもありますが、多くのプレゼンテーションは、注意を引いて、一緒に課題を共有して、ソリューションを見出すことの方が重要です。このような練習は文法や発音を練習しても効果は少ないです。
Authentic Speakerになる道はまだまだ遠いですが、その中で試した人工知能を利用したアプリを紹介します。
Orai
Basic:無料 Orai Pro:$9.9/月
英語は第二外国語のパブリック・スピーキングがとても苦手な2人の理系学生が作ったアプリです。その中で2人は、コミュニケーションとパブリックスピーキングを支援するクラブに入部して、克服していったそうです。そして、この体験を他の人にも提供できないかと考えてできたアプリがOraiです。
Oraiは「自信を持って英語で話すこと」のトレーニングをAIがサポートして見える化してくれるアプリです。具体的にどんなことができるかと言うと、アプリはまず「あなたの好きなことを話して、例えば食事、レストラン、金曜日の夜に遊びに行くところ」と表示されて録音できるボタンがでてきます。
録音が終わると、そのスピーチを評価してくれます。僕の場合は、クリアでわかりやすいと評価され、1分間に140ワードはちょうどよいスピード、ただ「Ummm」や「Well…」などの意味のないFiller wordが8回出てくるのはNG、強調も足らず少しフラットという評価でした。
このように仕事の面接などさまざまなシチュエーションが提示され、録音して、分析するということを繰り返す中で、自信をもって話すことができるようになっていくという仕組みです。日本人はシャイでなかなか自信を持って話ができないという指摘がされることが多い中で、話をしてEncourageされるこのAppはスピーキングの練習ツールとしてとても効果的でした。
ELSA
ダウンロード無料 1ヶ月:$3.99/月 3ヶ月:$8.99/月
2015年にサンフランシスコでスタートしたELSAは「English Language Speech Assistant」の略で、文法や単語の機能はなく発音だけに集中し人工知能を利用してプロナウンシエーションを改善するサポートをしてくれるアプリです。ベトナム出身の女性がMBAを取得するためにスタンフォード大学に入学したものの、英語力の問題で正確に言いたいことを言えないし理解してくれない。一方で、スピーキングを改善しようとするとOne On Oneのトレーニングなど非常に高い費用がかかるということで作成されたアプリ、ドメな日本人として共感します。
起動すると5分間のテストが行われます。テストは家族・仕事・旅行などのテーマが表示されて、それに関して話をして録音するという形式です。このテストをもとに発音の正確性をレビューして改善ポイントを設定し、個人ごとの状況や能力に合わせたトレーニングコースを自動生成します。たとえば単語は言えているけどセンテンスになるとつながっていない、単語自体の発音ができていない、特定のアルファベットの発音ができていないなど、文章の最後の発音ができていない、複数形のSが発音できていない、Uの音が違うなど自分の状況にあわせたレッスンを提案してくれるのでそれを受けていきます。
トレーニングは1回あたり2分間、いろいろなテーマでアプリが質問します。それに回答する形で自分の言葉を録音すると、発音が間違っている部分、改善できる部分の色が変わって表示されます。それぞれの改善ポイントにはどう改善するべきなのかヒントやネイティブの発音が聞ける機能が用意されています。