FEMTECH(Female – Tech)の拡大

aunt_flowビジネス

スタートアップや投資家の関心が女性のライフスタイルや生活上の課題へ対応することビジネスに注目が集まっています。

 

 

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Femtechのバッググラウンド

FemtechはFemaleとTechの造語で、Healthtech, Fintechなどのようにヘルスケア・金融をテクノロジーを利用して解決していく企業に対して、Femtechは女性特有のニーズに対応したビジネスのことを指します。

アメリカのベンチャー企業において女性の意思決定者は9%しかいません。日本のベンチャー企業の数字はありませんが、内閣府の調査によると女性の就業率が72%ながら幹部に女性を登用している企業の割合は13%と決して高くありません。ハーバード・ビジネス・レビューの2016年の記事でも女性が意思決定幹部として30%を占める企業は、女性がまったく幹部にいない企業に比べて15%以上高い利益率を示しています。男性・女性での視点の違いということもあるとは思いますが、それよりも女性が一定の地位を獲得できるということで人事が能力に対してフェアに行われている企業ということが想定できます。

Study: Firms with More Women in the C-Suite Are More Profitable
According to a survey of nearly 22,000 companies around the world.

 

スタートアップの女性幹部数が少ないということは、女性のニーズが本来存在している需要に比して少ない量しか気にされていない、ビジネス化されていない可能性があります。スタートアップが解決する問題・課題が明確であること、ビジネスの仕組みや取り組みは進みますし、投資家からの資金も受け入れしやすいです。

女性の課題解決に向けたスタートアップに注目が集まるのはこのようなバックグラウンドがあります。そして、女性に関わる問題を解決するスタートアップの成長が目覚ましいというのがFemtechといった言葉が生まれた背景です。

 

Femtechスタートアップ

Aunt Flow

aunt flow trial kitAunt FlowはB2B主体の生理用品ブランドを手がけるソーシャルスタートアップです。オフィスビルや商業施設のトイレに行くとトイレットペーパーは当然無料で設置されています。一部の発展途上国では未だにトイレットペーパーを置くと盗まれるため設置していない場合がありますが、ほとんどの先進国には当然あります。トイレットペーパーが無料で置いてあるのであれば、生理用品(タンポンやパッド)が同じ扱いになっていないのはなぜなのか、オフィスビルで従業員やゲスト向けに100%オーガニックコットンでできた無料の生理用品を提供するビジネスです。

このビジネスはソーシャルビジネスとしての側面もあり、1箱売れると同じ量が生理用品を必要な人に寄付されるというコーズマーケティングの仕組みも持っています。アメリカではフードスタンプ(日本の生活保護のように貧困層に配られるクーポン)の購買対象に生理用品が入っていないため、貧困層にとっては生活必需品の中では比較的高価なものになっていることが背景にあるようです。

Aunt Flow, The Columbus Startup Bringing Tampons To The World
Boxes of tampons line the wall of a small warehouse in west Columbus. T-shirts read, “People helping people, period.” And buttons with cartoons of ovaries…

 

Thinx

ThinxFast CompanyでMost Innovative Companies of 2017に選出されたThinxは、生理にフォーカスした下着を作っているブランドです。生理用品なしで生理に対応できるよう4つのレイヤーがタンポン2本分の経血を吸収する下着です。生理は重い人、軽い人、重い日、軽い日と人と日によって状態が大きく違うので、それにあわせた下着各種をパンツタイプからショーツタイプまで用意したり、軽い日だけは下着だけで過ごすことを提案したりと、これまでの生理用品とはまったく違う製品を提供しています。

Aunt Flowのようにソーシャルスタートアップという位置付けてはいませんが、サポートが必要なママを支援する団体に2セット売れるごとに5ドル寄付する仕組みをもっています。

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Flex

flex-tampon-alternativeFlexも生理用品の会社でタンポンに変わる新しい生理用品の販売に向けて動いています。この商品はディスク上のリングとビニールのような袋状のゴムでできており12時間利用できます。他の生理用品との明確な差別化ポイントは、生理中にセックスをしても経血が飛び散らないということで、製品のテストでは23%のカップルがセックスの回数が増えたと回答しているそうです。同じような商品はSoftCupsなどすでに存在しているのですが、生理中のセックスという明確な差別化ポイントを作ったことで大きな話題となっています。

Flex is a tampon alternative you can wear during sex | TechCrunch
Things can get messy if you have sex on your period, so many couples avoid it. But The Flex Company wants to replace outdated pads and tampons with a

 

Carrot

Carrot service homepageCarrotはオンラインでの妊活支援の会社です。妊娠促進は検査・体調管理など多くのステップで女性に大きな負担を強いることとなります。特に毎週のように医師のところへ行くのは働いている女性への負担は大きなものです。そこで、オンラインのプラットフォームで効率的に妊活をできるようにしようというサービスです。サービス提供は、会社が従業員に提供するかたちになっています。

Fertility startup Carrot raises .6 million to make IVF and egg-freezing more affordable | TechCrunch
Two years ago, at the age of 34, Tammy Sun decided to freeze her eggs. Though larger tech companies like Apple and Facebook had started offering this

女性のヘルスケア領域に特化してオンライン上のサービスを提供する企業は、Modern FertilityやTiaなどがあり、今後も多くのプレイヤーが注目する領域です。

 

Nurx

nurxNurxは医療用医薬品の処方のためのプラットフォームと配送を提供する会社です。消費者がオンラインで医師から処方箋を発行してもらい、ネット通販で処方薬が自宅まで発送されるという仕組みを提供しようという会社は、Zipdrugなどがあります。Nurxは、医療用医薬品の中でもピルやAIDS防止ピルなど妊娠防止のための薬品に特化し、スマホで申し込みすれば数時間後には届くという手軽さで成長しています。コンドームをすぐに届けるという仕組みはネット通販初期からありますが、ピルと処方薬という仕組みに対応するスタートアップということになります。とはいえ、ピルがうつ病の原因になっているというレポートが発表されたり、安全性の問題も残りますが、明確なニッチを捕まえたスタートアップですね。

This startup delivers HIV-prevention pills to your doorstep via an app
Nurx offers a Silicon Valley solution to stopping the spread of HIV

 

StyleSeat

ヘアサロンの予約サービスです。日本で言うとホットペッパー・ビューティーですね。

StyleSeat CEO On Raising M For Beauty Booking Startup Despite Biased VCs
Male venture capitalists readily admitted to being turned off by StyleSeat's hairstylist customer base, which was -- and is -- overwhelmingly female (75%) and r...