アマゾンの脅威から安全な業界特性「BRIAN」

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投資銀行のモルガン・スタンレーが、アマゾンの脅威から安全な業界特性として、BRIANというフレームワークを紹介しています。アマゾンは、本から始まりファッション、靴、日用品、野菜・肉などの生鮮品など、多くの領域に手を広げており、ナイキもアマゾンに直接ショップを出すことに方針転換するなど、日本を含むグローバルで影響力を増しています。

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BRIANフレームワーク

アマゾンがもたらす混乱や利益率低下という問題に耐えうる企業を投資家が判別するためのフレームワークがBRIANです。

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Bespoke Product

商業主義でない、競合他社との差別化がされている、デザインやフィット感などオーダーメードの要素があるなどで、スーツや高級志向品が該当する。

 

Regulatory hurdles

規制が厳しい製薬・ヘルスケア関連、金融商品などのセクターは、参入障壁が高いとしている。

 

Industry/business model

流通への依存度の低い家具、自動車パーツ、利益率の低い100円ショップなどは、アマゾンが参入しているか参入することが可能だが、維持にコストがかかるためアマゾンが寡占化するインセンティブに乏しいとしています。

 

Attention post-sale

設備の導入サービス、ヘルスケアのアドバイスなど、セールスサポートが必須のものについては、アマゾンのホールセールモデルに対して競争優位だとしています

 

Nuances

保険、医療用医薬品、不動産など、取引に際しての帰省とともにプロシージャが複雑なものについては、アマゾンのシンプルな取引を希求するモデルに合わないとしている。

 

と言ったものの、本当にそうなのか疑問符も多く。すでにオンライン上でサービスが提供されているものについては、アマゾンが参入していくことはできると思いませんか。

旅行、医薬品、一点物などが挙げられているが、すでにオンライン上で取引がされているプラットフォームは存在している。旅行は、楽天と楽天トラベルの例を出すまでもなく参入可能だろうし、医薬品は規制だけの問題ですでに規制緩和されている領域は販売をしている。一点物についても、販売を行うアプリなどは存在しておりマーケットプレース上に構築することは可能となる。

このフレームワークは、現在のアマゾンだけを見ていて、上げた利益の全てを再投資に回して、利益ではなく扱い商品とサービスの拡大に集中しているアマゾンに対する安全ゾーンとは言えないのではないかと。

それよりも、アマゾンを超えるサービスを作り上げることを志向した方が競合優位性をどう確保するのか個別の局面で考えるのが正しいと思う。アマゾンに買収されたザッポスのカスタマーサポートも一つの手法。

オーストラリアのBEST BUY

 

オーストラリアのBEST BUY(ヤマダ電機のような郊外型電気店)は、アマゾンの影響で大きく数字を落としたが、アマゾンと価格を一緒にする、ウェブサイトのユーザビリティを上げる、アマゾンプライムと同等の配送サービスを提供するなど基本的なベースを一緒にしつつ、BEST BUY内に、マイクロソフト、サムソン、ソニーなどのショップインショップを誘致して、ブランドごとに専門的に教育された店員をおくことで、商品の理解を進めるという戦略をとった。専門スタッフのアドバイスを聞きながら、購入にあたってはアマゾンと同じ条件なので、店頭で質問をしてアマゾンで買うというこれまでの購買行動から、そのままBEST BUYで買うという仕組を作り、V字回復を成し遂げいている。ショップインショップについては、無料の場合も、出店料を請求している場合もあるようだ。店頭でのインタラクションを実現しつつ、アマゾンで買う必要がないという状態を作るのは、分かりやすい戦略。

 

最後に

投資家のマクロの視点ではセクターとしてて判断するBRIANというスキームは一つの手法とは思いますが、BEST BUYのように典型的なポーターの競争戦略を取り入れた仕組みを作るのは、インダストリーサイドにいる我々としては参考になりますよね。