リードジェネレーションとABMの違い

lead generation ビジネス

ABM(Account Based Marketing)という手法はリードジェネレーションの手法の一つ、これまでのリードジェネレーションのスコアリングに修正を加えるものと認識されていることがありますが、目的・ゴールは同じだとしても重要視するKPI、プロセスなどに大きな違いがあります。

リードジェネレーションとABMの違いと、ABM導入を成功させるためのアプローチを整理します。

 

ABMをベースにしたリードマネージメントの特徴

salesmanトラディショナルなリードマネージメントは、ABMではなくデマンドジェネレーションと言われる考え方から構成されています。そこで、デマンドジェネレーションとABMの違いを理解する必要があります。

2つの手法のコンセプトの違い

デマンドジェネレーションでは、コミュニケーションを通じて質の高いリードを発掘・育成して、そのリードをセールスチームに引き継ぐという仕組みです。

ABMの考え方では、デマンドジェネレーションを担当するマーケティングとセールスはひとつのチームとして協同することが意図されています。チームとしてターゲットとなるアカウント・企業を選定し、そのアカウントを攻略するためにパーソナライズドされたメッセージ、最適なコミュニケーション手法を利用して、需要を作りトップアカウントとして育成することを目的としています。

比較的ロングテールを意図したデマンドジェネレーションと、ターゲットした企業・アカウントのレベニューを最大化するためのABMではスタート地点から違いがあります。

チームの構成方法・ゴールの違い

トラディショナルなデマンドジェネレーションでは、マーケティング担当は機械的・工場のようにプロセスを回して需要のあるリードを育成することを目指します。そのプロセスの中で、認知・商品理解・ベネフィットの理解などステップを経て、セールスチームに手渡されます。この独立したマーケティングとセールスでの機械的な受け渡しの結果、デマンドジェネレーションで育成された要望を満たす商品と、セールスが売りたい商品・プッシュしている商品が違うことで、セールス側に手渡された後にリードとのすれ違いが起きることがあります。

一方でABMの考え方では、チームやワークショップというアプローチをするため、特定の需要を創造することをチームとして取り組み、スケールする可能性のある高い価値のリードを創造していくため、機械的なプロセスによる機会損失は発生しません。デマンドを作る段階でも、ナーチャリングで育成する段階でも、セールスピッチの段階でも、マーケティングとセールスが協同し同じ立ち位置でアカウントを育成するため、どのステップにおいてもチームとして決定をしていきます。

 

リードマネージメントのフレームワーク上の差

frameworkリードジェネレーションがセールスにハンドオーバーできるリードを開発するのにたいして、ABMではターゲットアカウントを開発するという考え方の違いがあります。結果的にリードマネージメントのプロセスについても変化します。

#1:起点はセールスがリード

デマンド・ジェネレーションのアプローチはリードが中心にあり、ABMではアカウントが中心になるという説明を聞いても、大きな違いがないように感じるかもしれません。しかし、この違いは大きなオペレーションの違いを生みます。

デマンド・ジェネレーションにおいて、通常最初の第1歩はセールスチームが相対することができる潜在顧客を発見し、育成することです。このプロセスでは、デモグラフィックデータやオンライン上での行動をもとに行われ、潜在顧客としての定義や妥当なリードかの判断などはセールスチームが提供しますが、通常はマーケティングチームがリードして行う作業です。結果的に、リードマネージメントの方向性、ITシステムやツールなどデマンド・ジェネレーションのオペレーションはマーケティングの考えが基軸となります。

一方で、ABMの場合はターゲットとして意味のあるアカウント・企業・クライアントを選定することが第1歩になります。そして、この作業はセールスがリードをするプロセスです。結果的に、リードマネージメントの方向性、ITシステムやツールなどABMのオペレーションはセールスの考え方が基軸となります。

#2:1種類のファネル

マーケティングとセールスが協業するリードマネージメントにおいては、リードに自社のサービスを認知、理解などをすすめていくマーケティングのファネルと、顧客に機能の理解や関係値などをベースにしたセールスのファネルの2つの管理手法が混在する領域になります。マーケティングの主眼はどれだけの情報を提供・摂取・理解してもらったのかになり、セールスはどれだけのサービスをコンバートしたのか、顧客内シェアなどより関係と製品利用・売上についてのものと、一貫したプロセスとして機能しません。

ABMの場合は、当初からセールスのコンセプトが支配的に動くため、セールスのファネルにマーケティングのファネルが自動的に接合されていきます。結果として、マーケティングとセールスがばらばらに動くのではなく、チームとして協業できるベースを作ることが可能となります。

アカウントをリード化するファネルの定義、ステータスなどは、マーケティングからセールスまで一貫してアカウントに紐付いています。ただし、マーケティング担当とセールス担当では同じものを見ていても注視する部分が違ってくるというプロセスになります。

#3:リード管理プロセス

リードマネージメントにおいて、スコアリングは重要な位置をしめます。スコアには、リードの価値を定めるスコアとともにリードをどの程度育成してたのか進捗を管理し、それにあわせて責任を持つ担当者がアクションを起こすすることも大きなスコアの役割です。

このルーティング・ルールについても、ABMをベースにする場合はトラディショナルな方法を見直す必要があります。トラディショナルな方法とABMを利用した場合で、育成スコアの定義と実施事項を示すプロセスには変化はありません。

しかし、育成スコアの管理が個別のリード単位であるリード・ジェネレーションに対して、ABMの場合はアカウント単位になります。たとえば、リード・ジェネレーションでは個別の育成スコアが100になった時点でセールスにハンドオーバーするルーティング・ルールになります。一方で、アカウント視点では個別のリードのスコアは60点程度と低くとも、同じアカウント内に100点の人間がすでにいたり、60点が数名育った時点でセールスへハンドオーバーして、フェーストゥフェースで自社紹介を行ったほうが効率的に育成が行なえます。

商品や営業組織の形によってスコアの扱いはかわりますが、マーケティングからセールスへのハンドオーバーをするためのルーティング・ルールではなく、アカウントの育成を視点にプロセスを再定義することで、リードマネージメントは大きな違い生むこととなります。

#4:スコアリング

トラディショナルなリード・ジェネレーションとABMではスコアリングの算出方法は、リード単位で管理されるものと、アカウント単位で管理されるもので変わります。アカウント単位でスコアリングすることで、個別のリードが貢献するスコアはトラディショナルな手法に比べて少なくなりますが、アカウントとして合計値により効果的なリードマネージメントができているのかを把握できます。

アカウント単位のスコアリングは、各種プロセスだけでなく、利用するITシステムにも実装されます。結果として、ABMによるスコアリングの変化は多くのシステムでも対応されていますし、ABMを導入すると言ってスコアリングだけを導入している場合が多いです。実際にはスコアリングは4番目に挙げられるように、コンセプト自体が違うため、スコアリングだけをABM化しても効果は限定的です。

#5:KPIの定義

5番目の要素としはリードマネージメントに関わる人のロール&レスポンシビリティとそれに付随するKPIになります。マーケティングが主導するリード・ジェネレーションでは、KPIはマーケティング管理のプロセス管理のものでした。結果的に、もっとも重要なKPIは、マーケティングチームがどれだけのリードを発掘し、セールスにハンドオーバーしたのかという数になり、リードの数を追求する結果になってしまうことも。

ABMの場合はセールスとマーケティングが協同で最終的なゴールとなるKPIに責任を持ち、そのKPIに関わる要素をチームの責任者が持つこととなります。最終的な利益へと活動をつなげることとなります。

#6:スコアカード

スコアカードはリードを評価する各種要素を整理したものです。各種データベースやツールによってスコアカードが管理されますが、マーケティングチームがプロセスを管理し、セールスに最終的に全情報をハンドオーバーするリード・ジェネレーションに対して、ABMではセールス・マーケティングの両方の視点で役に立つスコアカードが必要になります。

ABM対応のCRMやリードマネージメントツールではベストプラクティスが用意されていますが、リード・ジェネレーションのままのスコアカードで運用するのではなく、新たな視点で最適な数値を管理する必要があります。一般的にABMにおいて重要なスコアカード上の指標は以下の5点です。

カバレッジ:アカウントあたり十分なリードにコンタクトしているのかカバー率

認知:プロダクトやそのベネフィットの理解度

エンゲージメント:関係の深さを数値化するため便宜的にウェブサイトの閲覧時間・ミーティングの合計時間など

リーチ:メール、セミナーなどコミュニケーション・チャネル別にアカウントへどの程度効果的に接触したのか

インフルエンス:リード育成がアカウント内でどのように影響を与えているのかアカウント内の紹介など

 

まとめ

successリードマネージメントは、B2Bの企業においてもっとも重要なプロセスなマーケティングになります。同時に、プロダクト、マーケティング、セールスなど関係する領域が広いため、多くの時間とコストがかかる領域です。

トラディショナルなリード・ジェネレーションからABMへの変化が、たんにスコアリングの仕組みが変化してマーケティングチームだけが管理しているのであれば、トラディショナルなリード・ジェネレーションを行うほうが合理的です。ABMを導入し成功をおさめるには、コンセプトの違いを理解して導入することが重要なようです。