マイクロコピーという言葉がグーグル、アマゾンやドロップボックスなどの著名企業がUXライターというタイトルの職種が興味を集めています。マイクロコピーはウェブサイト上のボタンなどの文章のことです、マイクロコピーの良し悪しがユーザーの体験に貢献すると言われています。
シニアスタッフがマイクロコピーを書くことはないと思います。しかし、ユーザーインターフェースのレビューをする立場になる人や、自社のサービスをより良くする提案をするためにも、なにが良いマイクロコピーなのか知っておくことは効果的。ということでマイクロコピーの効果的な書き方について7つのポイントを整理してみました。
マイクロコピーとは?
入力項目やボタンの名前、ボタンや入力項目説明するヘルプ・メッセージ、エラーメッセージなどこれまで事務的・機械的に付けられがちだった文章(コピー)のことです。このマイクロコピーが注目されているのは、ユーザーの行動に直結する部分なので、ウェブサイト上の体験や売上に直結すると言われています。マイクロコピーを見直すことで売上が2倍になった、3倍になったといった事例が紹介されています。例えば、入力フォームの必須入力の項目を赤く色づけしたり、*印で注釈を入れたりというUXは一般的に使われていますが、素直に「必須項目」と書いてあるだけでわかりやすくなります。
オンラインでなにか買おうとしても、自社の人事や経費精算システムでも、なにを入れなければいけないのかわからずに混乱したり、入れたのにエラーが出て入れ直しをしたりという経験がある人は多いのでは?このような「ちょっとした気遣い」で、マーケティングやセールスの結果が変わってくるというのがマイクロコピーの考え方です。
マイクロコピーの7つのポイント
それではマイクロコピーを記述するにあたって考える7つのポイントを整理してみます。
マイクロコピーがどう聞こえるのか?
音声入力やAmazon Echoなどのような音声を利用したサービスが一般的になってきていることもありますが、音声でのウェブサイトの読み上げをマイクロコピーの良し悪しのひとつの基準とするとわかりやすくなると言われています。
先程の必須入力項目の例にもありますが、スクリーン読み上げ機能を利用して読み上げても理解できないことは人間が理解するために時間を使わなければならない状態にあるというテストの方法です。
上から下、右から左に考える
マイクロコピーを考える場合、ユーザーが上から下、右から左に利用することを考えるようにという考え方です。とても当たり前に聞こえますが、実際には実現できていないUI/UXはたくさんあります。
例えば、パスワードの入力項目があります。パスワードというラベルと入力必須という文字があり、入力項目があります。そして入力項目の下には8文字以上などの制限が書いてあるといったサイトは数多くあります。結果として、入力項目に遷移したタイミングでユーザーは入力を開始してしまい、その後8文字以上などという制限に気づくというユーザーも多い仕組みです。ユーザーの目が入力前に制限条項に行くようにコピーが書いて位置が設定してあれば、この手間(マイクロなので、ほんとにちょっとした違いです)が削減されます。
このような小さなヘルプや注釈の位置・内容を上から下、右から左に動くユーザーの視点と意識に合わせて最適化していきます。
かっこつけるのはいいが、基本を伝える
おしゃれなUI/UXが必ずしもわかりやすいわけではないというのは、セブンイレブンのコーヒーマシンに付けられた日本語のテプラで有名ですが、同じようなことがウェブサイトでもたくさん起きています。ただ、テプラを貼られないので管理者やユーザーが気づかないだけです。
ユーザー登録のページのタイトルが「今後も利用するために」というコピーになっていることがありますが、このコピーだけでユーザー登録をするのだと理解できるわけではありません。ユーザー登録と「基本的なメッセージ」をしっかり書くべきという考え方です。
続けて読む、すべて表示するという手法の限界を知る
説明が長い場合、最初の数文字だけ表示して必要に応じてすべて表示できるようにボタンを用意するという仕組みがあります。スッキリした画面と詳細な説明ということを両立してくれる仕組みなので積極的に利用するべきです。
ただし、画面のデザインをする人とコピーを書く人が別々の人の場合、最初の数文字しか表示されないということを意識されておらず、表示されている文字を読んでも意図がわからないということがあります。すべてを表示しなくてもある程度意味がわかり、多くの人はすべて読む必要なく理解できるというコピーを用意するのが理想的です。UI/UXの表現に合わせてコピーを書く事が必要ということを理解する必要があります。
ヘルプはテキストを利用する、ALTをシンプルに書く
ユーザーがサイトを利用しようとしてもわからなかった時に使ってもらうようヘルプやガイドを用意することは重要です。同時にユーザーが必ずしもすべてのそのサイトの情報を利用してくれるわけではありません。わからなければ検索するという人も多いのが現実です。
そのためにもテキストで書き、ALTをシンプルに書いておくことで検索した時にそのサービスのヘルプにリードすることができます。画像を使うなど検索エンジンに対応できない内容にしてしまうことはやめましょう。
入力項目のラベルは常に読めるようにする
入力項目の中に名前、年齢など入力するべきものが書かれていて、項目に遷移すると入力できるというUI/UXがあります。画面はすっきりしますが、入力項目に一度入れてしまった後、なにか他のことに意識が向き、再度入力しようとしたとします。なにを入力するべきか覚えているでしょうか?確認するためにはすべて消す必要があります。わかりやすい位置にわかりやすいコピーを用意することが求められます。
シンプル、シンプル、シンプル
マイクロコピーを意識する結果、できるだけ誰にでもわかるように書くため不必要に長くなるという傾向にあるそうです。必ずしもすべての事象をマイクロコピーで解決できるわけではないので、コピーはシンプルなものを維持し、それでもわからない場合は画面のデザイン自体を変える必要があるということを意識しましょう。
まとめ:マイクロコピーはコピーの書き方ではない
マイクロコピーのガイドラインを読むと、意外と基本的なことが並んでいることが多いです。複雑になりがちなウェブ上のサービスをどうシンプルな体験を維持するのかを意識してコピーを用意して行く必要があるというのが意図だと思います。
デザイナーが画面をデザインし、ビジネス担当者が文字を一定のルールのもとに用意するという分担で進んできた結果、統合的にウェブサイト・アプリやサービスの文字を管理する人がおらず、ユーザーにとってのわかりやすさに責任を持つ人がいなかったというのがマイクロコピーが隆盛した事情のようです。その意味では、マイクロコピーはコピーの書き方というよりも管理責任者をしっかり設置して、ユーザー目線でクオリティを維持することにあるようです。