EC売上拡大のためのAMS活用のTIPS

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日本最大のECサイトとなったアマゾン、従来型のECだけでなく、フレッシュ、プライムナウなどサービスの拡大が著しい状況です。またアマゾンの広告売上が拡大しているというニュースが昨年来聞かれるようになりました。その中でEC売上拡大のための施策としてAMSという広告サービスが提供されています。どんなことができるのか、効果、運用のポイントを紹介します。

 

 

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Amazon Marketing Service(AMS)とは

2017年後半からAMS(Amazon Marketing Service)という広告プラットフォームが外資系のマーケターを中心に大きな注目を集めています。AMSはAmazonが出品しているメーカーや販売店が、商品の売上を増やすために提供している広告のプラットフォームです。

具体的にはアマゾンで商品を検索すると表示される商品一覧のページに、ネイティブアド(コンテンツと同じように表示される広告)として表示される広告です。アマゾンで検索しているということは、特定の商品を購入する意向の高い消費者のため、そこで自社の商品に誘導できるということもあり、高い効率・効果を示す媒体となります。

AMS日本トップページ

 

USでマーケット・シェアを拡大するAMS

日本では2016年にサービスがスタートし、積極的に活用されたのは最近になりますが、USでは検索連動広告のAMSによってGoogleのシェアを侵食し拡大しています。

これはECのプラットフォームとして楽天、Yahoo!がある日本と違い、Amazonが独占的なシェアを持っていること。また、もともとUSでは、ECサイトへのトラフィックを集める方法としてGoogleのProduct Sponsored Ad(PLA)というGoogleの検索結果に表示されクリックすることでECサイトの商品ページへ遷移するという広告がデジタル広告の戦略の中に組み込まれ広く使われていました。AMSのローンチ後、より効率的なAMSに予算がシフトしたことが理由だと言われています。

GoogleのPLA

GoogleのPLA

 

日本でAMSが注目される理由

日本はGoogleのPLAがそのセットアップの難しさから活用が進まなかったこと、そのかわりにCriteoというECをサポートするダイナミック・クリエーティブを活用したバナー広告のプラットフォームがセットアップもシンプルで効率も良かったこと。また、数あるECプラットフォームや自社ECサイトがある中で1チャネルでしかないアマゾンだけに投資することへの躊躇などもあったと言われています。

アマゾンがECとEC関連広告で最適・最大のチャネルに

しかし、アップルがiOSで第3者発行のクッキーを制限したことでモバイルプラットフォーム上でのCriteoの効率が大きく悪化したこと、アマゾンが楽天を抜きECサイトで第1位のポジションを確立しました。

アマゾンの持つデータの魅力

前述のようにAppleがiOSのCookieポリシーを変えたことにより、サードパーティーのデータによる広告ターゲティング効果が減少し、ユーザーがログインした上で行う行動を確実にトラックするプラットフォームの価値が増しています。

さらに、昨今のDMPなどデータへの投資が進む中で、類推や願望が与えるデータの歪みやデータ統合の難しさについて理解した広告主が統合されたデータベースの価値を理解したことも大きいようです。

サーチキーワードやブラウザ・アップ上で行動からの類推によってプロファイルをするGoogle, ソーシャルメディアのデータのため実際の行動よりも願望が多く含まれるFacebookや、多くの販売店が参加するモール型のため統合された消費者行動をデータベースとして利用できない楽天、Yahoo!IDはあるもののデータベースが分散しているYahoo!ジャパンなど競合他社に比べて、アマゾンは自社での販売を主とすることで構築された統合された消費者購買行動のデータベースが活用できることの魅力が認識されたということがありそうです。

 

使い勝手が改善し安定したAMS

2016年にAMSがローンチされた際に、外資系企業からAMSのトライアルを依頼されてサポートしたことがあるのですが、使いにくいインタフェースとAWSを提供している企業とはお思えない遅い・重い・動かないというAMSが、1年経過して利用できるレベルに達したということも昨今注目を集めている理由かもしれません。ローンチ当初に比べると本当に利用しやすくなりました。

 

AMSへ広告出稿する効果

アマゾンだけに広告を出するよりも多くの流通で購入してもらうために、アマゾンよりもGoogleやFecebookでチャネル・ニュートラルに広告活用したい。という意識はは、広告主としては必ず考えますし、社内からも指摘を受けることかと思います。では、なぜ多くの選択肢の中から、広告主がAMSへの出稿を拡大しているのかというと、AMSにより正の循環を構築できるということになります。

アマゾンだけではない出稿効果

AMSの効果ひとつにAMSに出稿することで、アクセス数アップ、レビュー数拡大、オーガニックの商品検索結果やレコメンドが上位になり売上拡大、検索エンジンでも表示順位が上がる、アマゾン外での購買者も参考とするレビューにより他のECサイト・流通での売上拡大という循環が機体できます。

アマゾンは検索やレコメンドのロジックを公開していませんが、アクセス数・レビューの数や星の数が大きく影響していることは間違いありません。表示される機会が増えれば増えるほど購買される機会も増えます。

ECへの消費行動変化・成長を享受

既存流通からアマゾン・楽天などECへの移行は年々引き続きゆっくりと進んでいます。EC化比率の高い商材だとしても、現時点のECでの購入率は30%前後にとどまりますが、毎年徐々に徐々に拡大していきます。

未だにEC売上比率が低いカテゴリーの商品だったとしても、拡大するチャネル上で大きなプレゼンスを作ることに成功すると、拡大するECチャネルの恩恵を確実に享受することができます。

ROASを可視化できるプラットフォーム

モバイルゲームや映画・アニメなどのようにオンライン上だけで認知から購買までの消費行動が完結する商材は別として、広告の投資効果(ROAS:Return Of Advertising Investment)を計測することはとても複雑な作業です。デジタル広告だけに絞っても、GoogleやFacebookへの広告がいくらの売上に貢献したのかは明確に数値として計算することはできません。アマゾンは広告と購買が同時に発生するプラットフォームのため、アマゾンに投資した広告でいくらの商品が買われたのか、ダイレクトな効果をROASとして把握できます。

大きな広告主は広告効果を計測・算出する統計サービスの会社へ依頼してROASを算出しています。多くの場合ROASは1倍もしくは1倍を切る場合が多く、長期的に消費者とブランドの関係を作ることで投資を回収していくことが必要になります。AMSは購買の瞬間をとらえていることもあり、多くの広告主がROAS5倍、10倍などの高い投資対効果や、販売数量の大きな増加など、高効率で効果が実感できる投資となります。

 

AMSで出稿できる広告の種類

AMSでは現在スポンサープロダクト広告、ヘッドライン検索広告、商品ディスプレイ広告の3種類の広告が提供されています。具体的な表示位置は次のスクリーンショットで表示されるスペースやクリエーティブがわかると思います。このスクリーンショットはデスクトップですが、同じ考え方でモバイルにも掲載されます。

AMSの広告種別

スポンサープロダクト広告

スポンサープロダクト広告という名前だけではどこに広告がどのように表示されるのか理解できませんが、商品名などを検索した際に表示される検索結果の一番上のラインと一番下のラインが広告スペースになっています。

商品名の上にスポンサードという広告表記がありますが、商品の写真、商品名、価格など他の検索結果と同じ構成のため広告と気づかずにクリックする人も多いと思います。

具体的には検索キーワードに対して表示したい商品を指定すると、広告が商品ページの内容から自動生成されて表示されます。課金はクリックされるごとにチャージされます。

  • 単一の商品のみ登録可能
  • 表示される場所は検索結果ページの下部もしくは上部、入札する価格によっても表示される位置は変わる
  • 対象となる検索キーワードは自動ターゲティングと手動ターゲティングの2種類、手動で設定する場合には、Googleのようにブロードマッチ(一部が適合)、完全マッチ、フレーズマッチが選択でき、ネガティブキーワードは一部と完全の両方を設定できる
  • 登録できる商品数に限界はないようですが、あまりに多いと管理できないので3つ程度の商品に限定して開始することが推奨されているようです
  • ひとつのキーワードに対して10個の商品でスポンサープロダクト広告を設定したとしても、同じ広告主から同時に表示される広告は2つ程度で、キーワードを独占することは出来ない設定になっているようです

ヘッドライン検索広告

ヘッドライン広告は検索結果の最上部に表示されます。もっとも目立つ場所ということもあり効果が期待できるスペースです。スポンサープロダクト広告と同じようにスポンサードという広告表記がされます。

表示される場所以外の違いは、必ず3つ以上の商品をまとめてカテゴリーやラインアップ訴求をするための広告スペースとされています。またある程度大口の顧客としてアマゾンに認められていないと利用できないスペースになります。

メーカーが既存ブランドの拡張として新しいフレーバー、色など新商品を発売した時に、指名買いの人に新商品を知ってもらう効果。スピーカー、洗濯洗剤などカテゴリーのキーワードで検索した人に自社のラインアップを知ってもらうなど認知拡大を目指せることも大きな違いです。

  • 100までのグループ化した商品を対象としたランディングページをアマゾン内に作成することで、3つ以上100までの商品をヘッドライン広告の対象として登録可能
  • クリエーティブはヒーローイメージと3つの商品を設定可能
  • ヒーローイメージをクリックするとグループ化されたランディングページに、個別の3つの商品のイメージをクリックした場合はそれぞれの商品ページへ移動
  • 100までの商品を登録できるが、ランディングページを作る労力を考えると10ー15商品が現実的な利用範囲、実際数が多いとランディングページ上の選択肢が多すぎて次のアクションにつながりにくく購買につながらないとアドバイスされています

商品ディスプレイ広告

商品ディスプレイ広告は、商品の詳細ページ上のバナー広告です。スポンサープロダクト広告やヘッドライン広告がネイティブアドと呼ばれる、検索結果の一部のように表示されるのに対して、商品ディスプレイ広告は明確にバナーとわかる広告です。また、検索キーワードに関連して表示されるのではなく、自社の商品ページに表示されます。

  • 商品ディスプレイ広告は検索結果ではなく、商品やカテゴリーをターゲットする広告
  • ターゲットに登録できる商品数は限定されているので、自社商品や競合などテストを何度か繰り返して最適な対象商品を選定することが必要
  • まずはカテゴリーをターゲットに高めの入札価格と少し多めの予算で出稿し、効果的な商品を探しその後ターゲットの商品を選択するのがおすすめとのこと
  • 競合他社の商品にも出稿できるので、ブランドスイッチを目指す場合には効果的

出稿のプライオリティ

アマゾンやAMSの運用をサポートしている会社ではそれぞれ効果の違う3つを組わせて最大の効率を狙うと書かれています。投資額を最大化したい広告会社やアマゾンがそう言うのは理解できますが、実務上はまず徹底的にスポンサープロダクト広告に投資することをおすすめします。自分の経験からも、USのAMS運用ブログからも、AMSはGoogleなど他のプラットフォームの知見がそのまま利用できるわけではないと言われています。そこで、比較的安価に出稿できるスポンサープロダクト広告を予算最大まで利用し、AMSの知見を蓄積。これ以上のキーワードに入札しても効率が上がらないという金額までスポンサープロダクト広告へ投資をしたら、より広くリーチできるヘッドライン広告やクロスセル・アップセルを狙える商品ディスプレイ広告への投資を進めるのが現実的だと思います。

 

効果的にAMSを活用するためのTIPS

効果的に活用することでアマゾンでの売上や自社EC、流通への影響も期待できるAMSをどう運用すればいいのか、ポイントをいくつかまとめました。

AMSは開始時は外部委託・専門家のサポートを

GoogleやFacebookが使いやすいインタフェースと自動的に効率化してくれる仕組みに比べると、シンプルだけどわかりにくいインタフェースやまだまだマニュアルで設定しなければ結果がでないというプラットフォームになります。

そもそも、トップページのAMSの紹介でさえ、外国人が訳したような「変な日本語」が使われていて、とにかくわかりにくいです。例えば、本国アメリカのホームページで、

Invest Wisely (賢く投資しましょう)
Pay only for performance (パフォーマンスの結果にだけ支払いが必要)Results matter for your business. (あなたのビジネスに必要なのは結果です)

と、利用者にとって興味が有ることが書かれているのに対して、日本語のホームページの同じ箇所は、主語さえ不明確・・・意味不明です。アマゾンにはもう少しクオリティの高いトランスレーター雇うことを期待したいです。

販売促進
高い費用対効果を目指す
広告による販売実績が重要です。

YouTubeにAMSの紹介や設定のビデオもあるのですが、同じくひどい日本語で、聞いているだけで混乱。さらに日々インタフェースが改善されていっているので、ビデオで見た画面と実際の画面が違うなど、敷居の高さは抜群です。効果はあるので、使って慣れてくださいと突き放されているような気がします。

ITに詳しくないメーカーがAMSを開始して、インタフェースや単語が複雑で、1ヶ月で諦めたという話を聞いたことがあります。ということで、自社で運営するつもりであっても、よほど時間が余っているのでないかぎりは、最初の設定と初期の運用は広告会社に依頼したほうが現実的です。

Facebookの運用や広告出稿は自社でやっているから大丈夫などと考えて、自社運用を上司に提案するなんてことすると頭を抱えるハメになります。痛い目を見る前に専門家の力を借りましょう。

Google、Facebookなどと同じように、AWSは公式には運用サポートをするサービスを提供していません。出稿がなんらかの事情で停止した時に問合せをしても具体的な理由は説明されません。問題点の概要から問題点と解決策を自分で探す必要があります。救いとしてはオンラインのヘルプデスクの方は日本人のようで、コミュニケーションには困らないですし、変な日本語のメールで返ってくることもありません。初期運用まで外部のサポート得て終えることができれば、ヘルプデスクを活用しながら運用することができます。

商品ページを充実・更新する

スポンサープロダクト広告には出稿するキーワードを自動的に決定することができる仕組みがあります。この仕組は商品ページに書かれている内容から生成されるため、タイトル、商品の説明などを充実させるのはもちろんのこと、誰に適した商品なのかターゲットを記載すること、商品説明に出稿したいキーワードを含むように書き直すことなどが必要です。

そして、一度広告をスタートしたらその結果を見ながら商品ページを更新する必要があります。自動的に生成されたキーワードはアマゾンがさらに拡張したキーワードに出稿してくれます。その結果、とても効果的なキーワードが見つかった場合には、確実に出稿されるように商品ページの内容を更新します。

AMSはキーワードに入札をして勝った場合に広告が表示されるオークションの仕組みで取引がされ、最終的な費用はクリックされた時に発生します。このオークションはGoogleの仕組みと同じように、単に入札価格が高いと勝てるわけではなく、キーワードと商品の関連性が高いほど入札に勝って表示される確率が高くなる仕組みがあるそうです。キーワードと関連性の高い広告は低いコストで表示できるとともに、消費者がクリックする確率(CTR)も上がり、結果的にパフォーマンスが向上します。

キーワードの入札結果をもとに商品ページを更新することが重要です。

時間に余裕をもって作業をする

AMSを運用するには広い心、綿密な計画、そして余裕をみた時間で作業することが必要です。

まず、ユーザーインターフェースの反応が非情に悪い時があります、気にせず待ちましょう。耐えましょう。

次に、一度スタートしたキャンペーンは入札価格以外ほとんどの広告は変更できません。ちょっとキャンペーン名を後から整理しようとしても変更できません。検索広告はAMSにかぎらずトライアル&エラーが必要なのですが、繰り返しているとキャンペーンで一杯になり、なにをトライしているのかまったくわからなくなります。事前に命名規則など整理してスタートする必要があります。

さらに、レポーティングの遅延を考慮して運用する忍耐が必要です。他のプラットフォームでは通常1日前の数字は見れますし、リアルタイムでも大枠の状況は把握できます。AMSは改善してきていますが、レポートが出稿日から3日間程度かかる場合があります。毎日細かく見てどんどん最適化を!と考えていると、レポートが出ないことでスケジュールが合わなくなります。広い心で余裕のある作業をしましょう。

広告レポートを再計算するエクセルを用意しておく

AMSのレポートでは表示回数、クリック数などがデジタル広告では定番のデータが表示されますが、ユニークな指標として「売上」と「ACoS(売上高広告費比率)」という2つの指標があります。

売上は商品売上の合計です。広告に投じている金額に対して売上が大きければ広告効果が大きいと言えますが、AMSでは自社の利益率は管理されていません。したがって、必ずしも高い売上を示したものが効率的なわけではないということになります。データをダウンロードして、利益率をかけ合わせて本当の効率を求める作業をすることが必要です。

ACoSは、売上に占める広告費の割合です。AMSのベスト・プラクティスとしては10%が望ましいとされています。ただし、定期購入、クロスセル・アップセルによる購買などが期待できる商品の場合は初回の購買へのACoSは100%を超えても構わないことがあります。商品ごとに違うACoSの違いを別途エクセルで管理して、キャンペーンレポートの結果から商品ごとにACoSが範囲内なのか判断する必要があります。

 

AWS運用でやってはいけないこと

AWSのような運用が必要な広告プラットフォームにおいては、ベストプラクティスよりもやってはいけないコト(Don’ts)の方が参考になることがあります。USでAMSのコンサルティングを提供している企業や個人のブログからDon’tsを抽出してみました。

放置してはいけない

UIや難解な日本語を除けばAMSで広告キャンペーンを開始することは難しいことではありません。ただし、投資に対して効果を求めるのであれば、機能しているキーワードと機能しないキーワードなどをレビューして調整することが必須です。キャンペーン・ローンチ後、1週間経過したところから週次でかまわないので、レビューして機能していないキーワードは止める、効果の高いキーワードは予算を追加するなど調整をしましょう。

自動ターゲティングオプションは利用して、その後忘れる

自動ターゲティングを利用するとアマゾンが勝手に効果的なキーワードを探して入札してくれます。初期は効果的なキーワードを選定するために効果的な機能ですが、自動ターゲティングのCPCは自分でキーワードを設定するよりも大幅に高い結果になります。

自動ターゲティングは最適化のオプションとして使うのではなく、キーワードを探す優良ツールとして考え、見つかったキーワードは手動設定で効率的な運用をしましょう。

検索キーワードレポートを積極利用しないことは大きな損

かならずしもわかりやすいレポート機能ではないですが、どのような消費者がどのキーワードをサーチしているのか知ることは重要です。最低限、インプレッションのボリューム、ブランドキーワードとブランド以外のキーワードのボリューム、セールス、CPC、CTRの5点を必ず確認しましょう。

プロダクト・ディスプレイ広告を利用しない

本記事でも優先順位はスポンサープロダクト広告>ヘッドライン広告>プロダクト・ディスプレイ広告としています。ただし、プロダクト・ディスプレイ広告を利用しない方がよいというわけではありません。

アマゾンは自社ブランドの競合商品に対して、プロダクト・ディスプレイ広告を出稿することを許しています。自社ブランドの優位性を伝えるためには非情に効果的な戦術ですので、有効活用をするべきです。

同時に競合他社が同じ戦術をとってくることを想定して、自社商品の商品ページには自社のプロダクト・ディスプレイ広告を出稿しておくこと。もしくはクロスセル・アップセルを目指せるラインアップやサプライを紹介する広告を出すこと。

プロダクト・ディスプレー広告

年間通して出稿する

クリスマスなど商戦期にだけAMSに出稿するというのは一見賢そうな戦術に見えます。ただし、実際には短期間で最大効率を出せるわけではないので、年間を通じて出稿して消費者の興味・効率的なキーワードを理解した上で、最大の投資を商戦期に合わせるのが効果的です。

 

AMSのアトリビューションモデル(広告効果の算出方法)

AMSは広告投資効果(ROAS)をクリックベースで算出しているそうです。例えば、広告がクリックされてそのまま購買した場合や広告がクリックされそのタイミングで購入されなかったとしても2週間以内に購買された場合はROASとして計上されるというものです。

このようにLook Back Windowと言われる過去2週間の効果を算出しているため他のプラットフォームがリアルタイムで広告効果を算出しているのに対して、AMSではインプレッションが表示されるまで24時間、セールスや商品ページは3日程度の時間がかかると解説されています。

ハロー効果とラストクリックモデル

セールスはハロー効果を想定したものとなります。例えば、あるシャンプーのスタンダードな容量のものをAMSで出稿した場合、同じブランドのお徳用品など容量違いや香りの違いなどはセールスとして計上されます。また、アマゾンは検索ベースのAMS以外にもAMGというディスプレー広告やビデオ広告を提供していますが、もしユーザーがAMSのヘッドラインをクリックした後にAMGのディスプレー広告をクリックした場合には、AMGの広告へROASが計上されます。

カテゴリーブランドハロー効果

AMSのトリッキーなところとして、検索をベースにしたヘッドライン検索広告とプロダクトディスプレイ広告は、単独のプロダクトのハロー効果だけでなく、そのカテゴリーの購買もROASとして計上します。例えば、あるコンピューターメーカーが高級ノートパソコンと安価なノートパソコンを同じカテゴリーで販売していて、スポンサープロダクト広告を高級ノートパソコンで出稿していた場合、広告をクリックしたユーザーが2週間以内に安価なノートパソコンを購入した場合ROASとして算出されます。同じカテゴリーとは、アマゾンをPCで見た場合に左側に掲載されているメニューの範囲とのことです。

カテゴリーハロー効果は、同じ広告主がシャンプーとノートパソコンなど全く関係ないカテゴリーの広告を販売した場合には適用されません。ヘッドライン検索広告はカテゴリーを訴求するものなので納得できるのですが、プロダクト・ディスプレイ広告はクロスセル・アップセルを目標としている場合にはROASをそのままの資料として利用できないこととなり疑問符もあります。

スポンサープロダクト広告にはカテゴリーブランドハロー効果は適用されないそうです。

 

このようなモデルについては、AMSのウェブサイトには計算式は記載がなく、以下のようなAMS解説サイトにある記述から書いていますので、日本ではローカライズされていてUSと違う可能性があります。

http://amazonppc.com/

 

フリークエンシーの管理

一定の期間に表示される広告の頻度(フリークエンシー)は制限されています。ヘッドライン広告とプロダクトディスプレー広告は1日に同じユーザーに表示される広告の数を限定しており、24時間あたり5回になります。この設定は他のプラットフォームのように変更できる項目はなく、アマゾンが1日に5回と設定している項目です。スポンサードプロダクト広告はフリークエンシーの上限はないようです。

他のプラットフォームでは1日10回以上接触しないと消費者が行動しないという商品などに向けてフリークエンシーを自由に設定できます。カテゴリーについて1日にさまざまな商品を検索してカテゴリーについて学習する消費者を想定して、ヘッドライン広告を5回以上見せたい場合はどうすればいいのでしょうか?

フリークエンシーの制限はキャンペーン単位で管理されているので、同じキーワードで同じ商品を対象にしたランディングページのキャンペーンを複数同時に出稿することで5回以上表示することが可能となります。

 

最後に

友人からアマゾンでのセールス拡大サポートを依頼された時に、AMSの効果や効率は期待できるツールとしてポジティブに紹介したものの、実践のお話になるとネガティブな要素も多くて面白いと思ったことがきっかけです。

上記のように非情に大きなポテンシャルを持ったツールで、USで市場が急激に拡大していることも納得です。一方でまだまだ利用しにくい部分は多いですし、Googleのようにカスタマイズして自分の運用にあわせていくといったことはできませんし、Facebookのようにある程度自動で運用してもらうということもできません。

しかし、効果的に利用すると販売に直結したマーケティング施策としてもっとも効率的なチャネルのひとつとなります。さらに、AMS以外にもアマゾンはアマゾン内の自社商品のページを訪れた消費者に対してリターゲティングをする広告メニューを提供しているなど、アマゾンのデータを活用した広告サービスは拡大を続けています。

長期的には多くの領域でEC化が進んでいく中で、アマゾンの広告サービスをトライして知見をためるのはやるべきことのひとつだと思います。