心に響く著名人の卒業式スピーチで英語を学ぶ

ビジネス

アメリカの大学の卒業式・学位授与式はCommencementと言います。Commencementは開始するという意味なので卒業ではなく新たなるスタートという意味になります。こういうところがおしゃれです。

このCommencementの華は大学が招待したゲストが行うCommencement Speechというスピーチになります。スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行なったCommencement Speechは非常に有名ですし、ビジネスマンだけでなく政治家・俳優・歌手などが新たなるスタートを切る卒業生へ送る言葉は、とても力強いです。多くのスピーチは録画されてYouTube上で見ることができます。

Commencement Speechは、大きく世の中を動かすようなメッセージとなることもあります。1946年にイギリスの宰相ウィンストンチャーチルは「鉄のカーテン」という言葉をウェストミニスター大学のスピーチで語りました。アメリカ大統領のJFケネディが行なった核廃絶に向けてのスピーチも1963年のアメリカン大学の卒業式で行われています。

そこらへんのビジネス書よりも参考になりますし、5-10分程度とそれほど長くないので英語の勉強もなるということで、著名なスピーチをいくつかご紹介します。

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英語表現に役立つCommencement Speech

イーロン・マスク

電気自動車のテスラ、ロケットのスペースX、超高速交通を作るボーリング・カンパニーなど、もっとも注目される企業家のイーロン・マスクは、工業系大学No1のカリフォルニア工科大学(CALTECH)や南カリフォルニア大学の経営大学であるマーシャルスクール(USC Marshall)でスピーチをしています。

USCでは”So not is the time to do that. Before you have those obligations. So I would encourage you to take risks now, and to do something bold.”とリスクをとってチャレンジすることをすすめており、比較的一般的な内容です。

一方で、2018年のCaltechでは彼がなにを思って勉強をしたのか、Paypalの創業と成長の思い、SpaceXをスタートするときの理想と、未来を作り出すことの思いとジャーニーを語っており、

I think the overreaching point I want to make is you guys are the magicians of the 21th century, don’t let anything hold you back. Imagination is the limit. Go out there and create some magic.”

とまとめています。

ジェフ・ベソス

アマゾンの創業者にして世界一の資産家であるジェフ・ベソス、彼もCommencement Speechをプリンストン大学でしています。そのテーマは、能力と選択です。彼のスピーチは

How will you use your gifts? What choices will you make? Will inertia be your guide, or will you follow your passions? Will you follow dogma, or will you be original?Will you choose a life of ease, or a life of service and adventure?

と問いを続けるものです。

スティーブ・ジョブス

アップルの創業者にして、最も有名なCommencement Speechと言われるのが2005年に彼がスタンフォード大学で行なったスピーチです。ウィンドウズがMacをコピーしなければComputerはこのような状態ではなかったなどジョークを交えつつも、彼の人生のチャレンジを語っています。

ジェリー・ヤン

Yahoo!を創業したジェリー・ヤンはハワイ大学でCommencement Speechを行なっています。アロハで始まるスピーチは、世界を知り、自分の好きなことを探し、追求していくことをすすめています。同時に彼のスピーチの最後のハイライトは、シリアスになりすぎるなというアドバイスです。

And don’t worry — it’s a long life, you don’t need to rush to be or do something. Your job is to walk out into the unknown and see what happens. Take your time, learn and enjoy something from each job, layer it on, and then pass it along so others can benefit from your wisdom.

コナン・オブライエン

コナンはコメンディアン、トーク番組の司会者、脚本家でミュージシャンとマルチタレントで有名な方で、2011年にダートマス大学でCommencement Speechをしており、ジョーク満載でありながら、過去の失敗を紹介しながらキャリアについてのアドバイスをしています。

Today I tell you that whether you fear it or not, disappointment will come. The beauty is that through disappointment you can gain clarity, and with clarity comes conviction and true originality.”

とはいえ、このスピーチのハイライトは、例えば「誤解して欲しくないけど、僕はこのスピーチをとても大学の重要なレポート提出のように、真剣に受け止めています。2ヶ月前にこのスピーチを行うことを決断して・・・昨夜スピーチを書き出しました。レッドブルを飲んで・・やる気なくしてゲームしちゃった」といった、地域・大学・世相・政治・経済について満載のジョークです。楽しめます。

J・K・ローリング

ハリーポッターの著者は、2008年にハーバード大学でCommencement Speechをしています。彼女が育ってきた中で貧困で苦しんだことなどを通して、失敗が与えてくれる価値、イマジネーションの重要性について語っています。

We do not need magic to transform our world, we carry everything we need inside ourselves already, we have the power to imagine better.

ナターリー・ポートマン

ナタリー・ポートマンはレオン、スターウォーズ、ブラックスワンでアカデミー主演女優賞受賞などで言わずと知れた大女優ですが、2003年にハーバード大学を卒業し、6ヶ国語を操るインテリでもあります。自分の子供、高校生のころ、スターウォーズ・エピソード1に出演しつつハーバードに入学したことなどの個人的なストーリーを語りつつ、経験が足りなくても、知識が足りなくても、チャレンジしていくことを伝えています。

Helping others ends up helping you more than anyone.

ウィル・ファレル

コメディアンであり、オースティンパワーズに出演するなど俳優としても有名なウィル・ファレルは、ナタリー・ポートマンが卒業した2003年のハーバード大学のスピーチでもとても有名です。とにかく、登場から終わりまでひたすらジョークです。2017年には卒業した南カリフォルニア大学でもスピーチをしています。こちらは少し落ち着いていますが、内容は同じくジョーク、ジョーク、ジョーク。加えて、Always Love Youを歌ったりとなんでもありです。

マット・デイモン

ボーンアイデンティティなどに出演した俳優のマット・デイモンは2016年にマサチューセッツ工科大学(MIT)でスピーチをしています。MITはノーベル賞受賞者などがスピーチをすることが多いのですが、過去MITで掃除夫としてモップがけをしていたというマット・デイモンを招いています。世界には多くの問題があり、それを解消していこうと語っています。

This world has some problems that we need you to drop everything and solve, so go ahead take your pick from the world’s worst buffet: economic inequality that’s a problem, how about the refugee crisis, massive global insecurity, climate change, pandemics, institutional racism.”

ジェニファー・リー

ディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」の共同監督・脚本で知られるジェニファー・リーは、2014年に自身が卒業したニューハンプシャー大学でスピーチをしています。ディズニーのアニメ長編では初めての女性監督をつとめたジェニファーは、クリエティブにおいて失敗から学んで進むことを、自分の大学時代などの個人的なストーリーを語っています。エモーショナルな語りが印象的です。

When you are free from self-doubt, you fail better, because you don’t have your defenses up, you can accept the criticism. You don’t become so preoccupied with that failure that you forget how to learn from it, you forget how to grow. When you believe in yourself, you succeed better. Hours spent questioning, doubting, fearing, can be given over to working, exploring, living .

大きな影響を与えた外国人卒業生の英語表現

著名人だけがスピーチをするのではなく、大学のプレジデントや卒業生の代表もスピーチをします。その中で、大きな反響・影響を与えるものもあります。

楊徐平

メリーランド大学の卒業生としてスピーチをした楊は、中国の大気汚染について触れ、言論の自由の重要性、民主主義などについて語り、中国の国営メディア、言論の自由などについて触れて、

Democracy and free speech should not be taken for granted. Democracy and freedom are the fresh air that is worth fighting for. Freedom is oxygen. Freedom is passion. Freedom is love. And as a French philosopher Jean-Paul Sarter once said, ‘freedom is a choice.’ Our future is dependent on the choices we make, today and tomorrow. We are all playwrights of the next chapters of our lives. Together we write the human history. My friends, enjoy the fresh air and never ever let it go.”

と、まとめました。この結果、メリーランド大学の中国人学生は中国に対する侮辱だとコメント、中国の国営メディアは反中国的だと非難、彼女のソーシャルメディアは非難と怒りのコメントで溢れる結果となり、最終的に楊が謝罪を公にする結果となりました。