コンテンツマーケティングがコミュニケーションの主流となってからすでに5年以上が経過しています。次のキーデベロップメントとして、コンテンツマーケティングへの人工知能(‘AI’)を適用することが議論され、コンテンツ・インテリジェンスという名前を与えられました。AIを使うことでコンテンツマーケティングがどのように変わるのか紹介します。
コンテンツ・インテリジェンスの進展
IT技術調査会社フォレスター社のコンテンツ・インテリジェンスの定義は、コンテンツがなにを意味して、どのような口調で、どう効率的にあるゴールに向けてメッセージを伝えるのか自律的に理解するAIを用いた技術としています。
AIという概念の中には多くの手法が含まれています、コンテンツマーケティングで議論されているのは主に自然言語処理とマシーンラーニングを使って、人間が実施すると時間がかかる、ソーシャルメディアでシェアされやすいキーワードの選定や、ブログのトピックの選定、ランディングページの目的別の生成などの処理を効率的に行おうというスタートアップが現れました。こういったスタートアップが大企業に買収されることで、コンテンツマーケティングのソフトウェアにAIを扱う機能が搭載されてはじめました。
たとえば、セールスフォース・ドットコムが何社会のAIスタートアップを買収し、セールスフォース・アインシュタインというサービスを2016年9月にローンチしました。マーケティング・オートメーション王手のマルケトも、プレディクト・コンテンツ・レコメンデーションという機能を搭載しました。ただし、これらの第1世代とも言われ います。ここれで使われているAIはルールベースでのスコアリングという古き良き方法を取っており、過去のデータを元に将来を予測するディープラーニングなどの手法は未だメジャーなプラットフォームでは取り入れられていません。ただし、これらの機能もコンテンツ・インテリジェンスと書かれている場合がありますが、フォレスター社の定義には合いません。
コンテンツ・インテリジェンスとして注目されているのは、モダンなAIを利用した機能です。ひとつは、ナラティブサイエンス社やオートメーテッドインサイト社などが展開している自動記事制作エンジンのコンテンツマーケティングでの活用です。すでに自動記事制作エンジンは、スポーツニュースや決算速報などのニュース制作で活用されている技術です。自社の商品情報やターゲットを理解した上で、ソーシャルメディア上のトレンドをもとに、自動的にフェースブックの広告、ランディングページ、ニュースレターなどを生成するサービスの試行がスタートしています。
コンテンツ・インテリジェンスの機能
現在コンテンツマーケティングはONE-TO-MANYの施策として捉えられています。ONE-TO-ONEほど細分化はされず、広告モデルほど押し付けのメッセージではないという状態です。顧客は、自分で検索する、エキスパートの意見を聞くなどしながら、自分に必要な情報を順番に消費していきます。
コンテンツ・インテリジェンスは、ターゲットのデマンドを理解して、テーラーメードの情報の流れを作って効果的な情報収集を提案することができるになります。また、これまでのコンテンツから新しく制作あれたコンテンツが高い興味を示す場所、順番、顧客属性などを想定して提案してくれるようになります。 また、コンテンツのライブラリーと、ネット上のデータを比較しながら、新しい情報を付加してアップデートするべきコンテンツを提案してくれます。
コンテンツの数が増えていく中で、SKUが多品種少量生産で増えるなどの状態になると、多くの商品情報のアップデートをする必要があるものの、すべてのコンテンツに目が届く範囲を超えていってしまいます。ただ闇雲のアップデートされた商品に記事やリンクを入れ替えればよいかというと、商品特性が変わっている場合もあり、文脈や機能性を理解して更新しなければなりません。
このように、過去の情報をもとに、将来起こるであろうことのうち、もっとも効率が高い方法を提案してくれることで、コンテンツの爆発を避けることができます。
まとめ
現在AIが適用されて解いている問題の多くは、制限条件下での組み合わせ問題といわれるような類のものです。社会的に妥当ではない言葉は使ってはいけない、子供を直接ターゲットしてはいけないなどの制限条件下で、可能性のあるソリューションの組み合わせが多くなっていくと、最適な解を導くことが計算に時間がかかり難しくなります。
コンテンツも同じです。コンテンツは時間とともに増えていきます、同じ内容でも対象とするインダストリーにあわせて少し改変した亜流なども生まれます。 もっとも効率的な情報摂取の順番を、無数にある組み合わせの中で解くのは時間が借ります。サンプリングの手法を取り入れて最適な近そうな解を求めることはかのですが、最適解かどうかはわかりません。さらに、顧客化しやすい、顧客の中でもライフタイムバリューになる良い顧客になりやすいコンテンツ商品の順番やタイミングも、膨大なパターンの中で、すべてを網羅していくことは人間にはできません。
結果的に、いくつかの代表的なカスタマー・ジャーニーに合わせてコンテンツを設計することになります。コンテンツ・インテリジェンスを用いることで、代表的なルートだけでなく、」より綿密なルートに即したコミュニケーションが実施できますね。
では、コンテンツ・マーケターはどう新技術に対応するべきでしょうか?
コンテンツ・インテリジェンスを活用することで、高いコンバージョン率を実現することができと思われますが、AIを独自に実装してテストをして運用することにROIを求めるには、大規模なオペレーション(多くの顧客基盤・グローバルでのオペレーション・大量の蓄積されたコンテンツ)に限定されます。
大多数のコンテンツ・マーケターは、コンテンツ・インテリジェンスという技術が発展していることを知っておき、プラットフォームベンダーに定期的にアップデートを依頼することで、普遍的な機能として搭載された時に確実に利用できるだけの仕組みを用意しておくことをオススメします。
では、準備とはなんのか?
AIは過去のデータをもとに学習していきます。つまり、データの整備を確実に進めることです。リアルとデジタルのデータ統合や名寄せが終わっていなければデータフュージョンを実施する。トランザクションデータが記録されていなければ、補完するデータソースを検討するなど、学習するに足るデータ・セットを用意していくことです。
その投資であれば、たとえAIでなくとも、有効活用できます。AIというと少し前まではおもちゃかSFという感じでしたが、すでにリアルなものになる手元まできています。トレンドを理解しながら、技術の進展のメリットを享受したいですね。