マネージメントの基礎:4つのポイントで効果的なフィードバック

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geralt / Pixabay

フィードバックはリーダーシップにおいて重要なスキルと言われています。フィードバックが的確にされている企業は方向性が共有され、人が育っていく。なぜフィードバックが重要なのか、どのようにすれば効果的なフィードバックができるのか方法をまとめました。

フィードバックは、個人もしくは組織がとった行動や態度に対して改善に役立つ助言もしくは批判のことで、個人・組織はその助言・批判をもとに現状や未来を改善することと定義されています。なんらかの活動を前提に行われる会話については、建設的なものだろうと、悪意があるものだろうとフィードバックという行動になります。ということは、人事面談やプロジェクトの方向などのフォーマルな場面以外にも、職場でのほとんどの会話がフォードバックということですね。

面白い調査があります。インタラクト社がアメリカ人を対象にフィードバックについて調査をしました。37%の管理職がフィードバックを与えることについて心地よくないと答えており、驚くことに69%の管理職が部下と会話することが心地よくないと答えています。ストレートに話をするというイメージのアメリカ人がこの調査結果というのは、驚くとともに、ちょっと安心しますね。

 

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なぜフィードバックは重要なのか

適切なフィードバックなしでは、組織や従業員はスキルや効率を改善する機会を失います。フィードバックを行わない、具体性のないフォードバックを与えるということは、従業員にとって会社の方針や上司の方向性が理解することができない、これでは良いパフォーマンスを発揮するというのを期待するのは難しいです。

アメリカ人でも、”well done”とか”great job”程度のフィードバックをする人がいます。日本人だと、「ありがとう、お疲れ様」程度でしょうか。これは残念ながらフォードバックではありません。なぜなら、次の機会に同じパフォーマンスを発揮できる可能性がわからないからです。より具体的に、「ミーティングで仕事に入る前にパーソナルな話をしたのは良かった、結果として発言しやすい雰囲気がでて、最後の議論が活発になった。今日の目的は、議論をもとに各部署の意見を吸い上げることだったから」と言えば、従業員は次の機会にも成功体験を活かすことができます。

 

フィードバックの基本はシンプルです。「明確にする」、「具体的にする」、「機能を伝える」という3点です。では、なにに気をつければフィードバックの基礎を実現できるかという手法としてCOREという考え方があります。COREはCONTEXT, OBSERVATION, RESULT, EXPECTATIONからなります。

 

CONTEXT

ここでのコンテキストとは、文脈というよりも属性という意味です。より具体的には、いつ、どこの事象に対してのフィードバックなのか明確にするということです。どこで発生した行動・態度に対してのフィードバックなのか、いつその行動・態度がおきたのか、誰がその行動・態度をしたのかということを明確にする事になります。

 

明確なフィードバックを管理職がためらう理由は、個人のパーソナリティや個性を攻撃するような結果に終わった、フォードバックによって感情的なリアクションが発生した経験があるためと言われています。誰でも人格を否定されるのは気分が良くないですよね。CONTEXTを明確にすることで、性格や人格ではなく、行動と態度に対してのフォードバックを行うことができます。

 

これはネガティブなフィードバックだけではく、ポジティブなフィードバックをする際にも重要です。チームにフォードバックをするのか、個人をフィードバックするのか明確にすることで、意図をはっきり伝えられます。

 

OBSERVATION

オブザーブとは、観察のことです。どのような行動・態度、なにが起きたのか、あなたが観察した内容をフォードバックすることで、思い違いや理解のずれを防ぐことができます。

 

社会人、忙しいです。いろいろなトラブルが起きます。たまに思い違いをします。とはいえ、フィードバックを受ける側は、すべての人が反論できるタイプの人ではありません。観察した事象ということを明確にすることで、自分にとってどう見えたのか、どうとらえられたのかを理解する機会を与えてくれます。

 

悪いフィードバックの典型例は、OBSERVATIONをすっとばして結論を伝えてしまうことです。仕事においては、結論を最初に言うことと教育を受けることがありますが、報告では正しいと思います。フィードバックを、「さっきのミーティング、○○さん良かった・悪かった」から開始してしまうと、客観的に見た結果の正当な評価という会話になりません。ネガティブのフィードバックの時は、攻撃される!と受け手が構えてしまい、その後の内容が耳に入っていかないことも多いです。

 

RESULT

RESULTは、行動・態度の結果引き起こされた結果、ビジネスへの影響を説明するとともに、そこに個人としてどう感じたのかを説明します。フィードバックにおいて、感情的になることは良くないと言われます、とはいえ良い結果にはポジティブに、悪い結果にはネガティブな感情を伝えることは効果的です、コミュニケーションにおいて人は情報の55%はボディーランゲージから受け取ります。

 

ポイントは、RESULTに対してどう感じたのかということを明確にすることです。ミーティングで寝ていたことを注意する場合も、CONTEXT, OBSERVATIONでは客観的に徹して、RESULTに感情を含めることで、フォードバックの受け手がしっかりと情報をえて、考える機会を提供できます。また、どう感じたのかを伝えるときにも、「明確に」の基本は変わりません。「質問されたあと考えすぎて黙るのはないと思うわ」と言うよりも、「質問されたあと考えすぎて黙ってしまうのは、準備が足りない」ということが重要です。

 

EXPECTATION

最後はEXPECTATION、なにを期待しているのか伝えるパートです。 フィードバックの際に、RESULTで終わってしまい、期待値を設定しない、自分でどうするのか考えろと突き放してしまうということがあります。評価面談、人事評価などフォーマルなフォードバックでも、EXPECTATIONが存在しない報告というのが多いです。逆に言うと、フォードバックの改善を簡単にできるポイントです。

 

先程の例だと、質問された後黙り込んで変な雰囲気になるのではなく、すぐに答えるか、わからなければ質問を復唱して確認する、上司を振り向いて助けを求めるなど、いくつかのオプションとともに提示することで、従業員はフィードバックを受け止めて、自分の一番良い方法を選択することができます。

選択肢というのも重要です。フィードバックの罠というのがありまして。

マネージャーは部下に行動Aについて期待値Xをフィードバック
次のタイミングで、マネージャーは部下に行動Bについて期待値Yをフィードバック
ただし、部下は行動Aと行動Bを同じものと理解していました
結果として、混乱した部下はその場はわかりましたと答えました
部下は席に戻って、上司は一貫性がないと同僚と陰口をいいました。

なんてこと、けっこう起きてませんか?実際に一貫性がない人も多いのですが・・・それはともかくとして。

同じ行動でも、相手が違えば対応も変わるということを共有できていると思うのは傲慢です。COREを活用したフィードバックをすることで、こんなすれ違いの悲劇を少なくすることはできますが、完全な意思疎通をすることは難しいです。選択肢やオプションを与えることで、相手を追い詰めず、いくつかの選択肢を並べていくことで、行動Aと行動Bの違いに気づくチャンスを与えることができます。

 

 

まとめ

こんなめんどくさい方法を取らなくても、チームとして動いていれば、少々きついフィードバックもわかってもらえる!と考えている方も多いかもしれません。共通の文化的背景がある場合には、実際多くの場合で問題ないです。

しかし、グローバルな環境で、文化的背景の違う人が同じチームで働くことが多くなった現在、文化的な背景を共有できているという環境を期待することはできません。オープンイノベーションが盛んに行われる中、世代的な断絶や、他業界など文化的な背景が共有ではない環境で仕事をする機会も増えています。

異文化環境において、ユニバーサルに機能するフィードバックをする方法を理解しておくことは、とても重要です。

 

さらに、英語でフィードバックしなければならないとなると、さらに論理的である必要があります。ただし、COREに即したフォードバックの常套句というのがあって、これに慣れておいて、フィードバックをする際に脳内で再生することで、適切なフィードバックをすることができます。私の場合は、下のようなフォーマットに沿っています。

Feedback Guideline

This feedback is For…
Here’s what I noticed…(describe the situation/place and the specific behaviour)
This was the impact…(describe the positive or negative results of this behaviour)
My suggestion for next time is ….(what behaviour should continue or change, and why?)
This feedback is From…

 

この程度のシンプルなフレームワークです。あとはセンシティブなフィードバックは個別のミーティングルームや電話で行い、人のいる場所やメールではしないという程度のシンプルなルールを課しているだけですが、問題になったことはありませんし、なにを言っているのかわからないと言われたことも・・・それほどないです(ゼロにするのは難しいですよね)。

 

良いフィードバックで組織を活性化させます、うまく使いたいですね。