英語学習の参考書はテーマごとに本当に大量に溢れています。その中にはとても良い本もあれば役に立たない本も多いのは事実です。僕のプリンシプルは、初心者であっても英語は英語の教材で学ぶのが効果的だと考えています。
ただ、英語で書かれた英語教材となると日本では「English Grammar In Use」が紹介されるばかり。「English Grammar In Use」は、よく出来たテキストですが、まじめに勉強するための教材なので楽しくないです。もっと気楽に楽しく、読んで勉強になるテキストもたくさんあります。
そこで、英語で書かれたライティング上達に役に立つ書籍をレベル別に何冊かご紹介します。
- 初心者向け
- 中級者向け
- Eats, Shoots & Leaves: The Zero Tolerance Approach to Punctuation by Lynne Truss
- The Big Book of Words You Should Know, by David Olsen, Michelle Bevilacqua, and Justin Cord Hayes
- The Mother Tongue – English, and How It Got That Way by Bill Bryson
- The Art of Fiction: Notes on Craft for Young Writers by John Gardner
- The Elements of Style by William Strunk Jr. and E.B. White
- The Gregg Reference Manual, by William Sabin
- 上級者向け
- まとめ
初心者向け
Words are Categorical series by Brian P. Cleary
子供の英語学習や初級者に向けて間違いのない本です。とても素敵な絵とタイポグラフィーで見ているだけで楽しい絵本です。単なる絵本ではないのは、Hairy, Scary, Ordinary: What Is an Adjective? 、Thumbtacks, Earwax, Lipstick, Dipstick: What Is a Compound Word?といった題名からわかるように、言葉遊びと絵を見ていると文法が頭に入っていくという仕組みです。
受験英語を学習してきた僕たちは単語や構文、英語の構成を日本語訳として記憶してしまっています。結果的に、リスニングの時には日本語訳をしてしまい英語で聞くのを邪魔したり、ライティングの時に日本語は浮かぶけど単語がでてこない・・・ということになりがちです。大人の英語学習をしている人にとっては単語を日本語の訳語を記憶するのではなく、英単語を感覚として憶えるのに最適な本だと思います。
かわいくて短い本なのでセットでお子さんの誕生日にプレゼントとしても活躍してくれます。
MacMillan English School Books
外国語として英語を学ぶ人にはまず最初に勧められるベーシックなシリーズというだけあって、誰にもわかる教科書っぽいテキストブックです。英語は日本語ほどではないにしても、フランス語、ドイツ語など複数の言語から成立したこともあり複雑な言語です。アメリカで英語を話す、書く、聞くという環境下にないとわからないニュアンスが多いため、正しい意味や意図を理解するのは時間がかかります。
では、帰国子女や留学生でなければ無理なのかというと、マクミランシリーズはこの文化的なニュアンスをできるだけ伝えようという外国語として英語を学ぶ人専用の設計になっています。1〜6までレベル別になっていっますが、初心者向けだと思っているとレベル5あたりからはそれなりに複雑な説明があります。目を通していくだけでも発見が多いシリーズです。
中級者向け
Eats, Shoots & Leaves: The Zero Tolerance Approach to Punctuation by Lynne Truss
英語にの句読点(punctuation)といえばこの本です。コロン、カンマだけでも用法やルールが多い上に、セミコロンなど他の句読点まであり、正しい使い方を完全に把握するのは難易度が高いです。このややこしいいかにも「文法」という領域を、間違った使い方などをシニカルに紹介するのがEats, Shoots & Leavesです。
鏡の国のアリスなどを読んで楽しめるイギリス趣味の方は、構成・文章含めて楽しめると思います。テキストではないので、読書で楽しむ感じ軽い気持ちで読む読み物。高校生、大学生以上の中級者で、英語の文法のベーシックが理解できている方に。
アメリカンなダイレクトなテキストブックを期待されている方は読まないほうが良いです。
The Big Book of Words You Should Know, by David Olsen, Michelle Bevilacqua, and Justin Cord Hayes
ボキャブラリーを増やしたいという方に向けたテキスト、と紹介された本のなかで、もっとも役に立たなかったテキストです。どんなボキャブラリーが掲載されているかというと、halcyon、sagagious、schlimazelとかthaumaturgyなんて単語が紹介されているのですが、まず一生使わないと思います。
ハルシオン(halcyon)を鎮痛剤以外の意味で初めて知り、ギリシャ神話にハルシオンなんて名前の神様いるんだなどと知るというムダ知識構築のバイブル。
それは章立てを読むだけでも明白なのですが、「絶対に知るべき単語」「ほとんどの人が知らない語」「知っているべきだが多分知らない単語」「知っているべき外来熟語」「知っているべき人名・地名」「教養がを誇るための単語」「多分知るべきでない単語」の7章からなっていて、3000語が紹介されていますが、90%以上は知らなくてもまったく困らない単語です。
この本のすごいところは、すべての単語に例文が書いてあるのです。そして、とにかくすべて知らない単語の例文なので、注意深く読みます。結果、例文で使われている普通の単語をしっかり記憶しました。
The Mother Tongue – English, and How It Got That Way by Bill Bryson
世の中にはトンデモ本とか疑似科学とか言われるジャンルがあって、真面目に3月11日の東北大震災は人工地震だったとか、ユダヤ資本が支配しているとか、本気とは思えない内容の本がたくさん出版されています。この手の本はその無理矢理な論理やひねり出したロジックなど楽しく読める本です。
そして、英語の語源を書いたこの本なのですが、たぶん英文科などで本気で英語を勉強している方などが読むと発狂するような適当理論で、どのように各国言語から英語が成り立ったのかを書いています。Amazonoの批評でもドイツ語やフランス語ではそんな意味ではないし・・といった指摘がたくさんされています。
なんですが、下手なテキストよりもストーリー感はあるので面白く英語の成り立ちの嘘くさいストーリーを読めるのです。日本語や中国語のあたりを読むとどれだけトンデモか理解できると思うのです、この手の本はそんな野暮な指摘をして真面目に読んではいけないです。
The Art of Fiction: Notes on Craft for Young Writers by John Gardner
The Gregg Reference Manual, by William Sabin
もっとも有名な文法の本というわけではないですが、ひたすら難しくなりがちな文法の本と、あまり詳しくないライトな文法のリファレンスのちょうど中間に位置する本です。
ビジネスであれば実際のライティングによったElements Of Styleの方がいいと思いますが、大学院に通った時に友人に勸められて買いました。文法のTIPSや、すべての文法に関する疑問は解消すると思いますし、エッセイに関してもこれ1冊で充分です。
個人的にもっとも楽しく読んだのは、国会議員、聖職者、職業軍人などタイプ別にフォーマルレターを書く方法を説明した部分です。一生使わないと思いますが、英語らしい文化に触れることができます。
最近はライティング支援ツールがあるので、リファレンスを見ることは無いですが、支援ツールがなぜ修正するように指摘しているのか理解するためには、1冊エディティングの本を読むのが良いと思っています。
読みたくない方はこちらにざっくりまとめてあります。
上級者向け
The Curious Case of the Misplaced Modifier by Bonnie Trenga
ネイティブ向けにはプロの編集者向けに書かれた本と紹介されているが、文法にうるさい日本人にはちょうどよいレベル感と紹介されたのですが、僕があまり文法の勉強をしておらず適当にしゃべれればいいというタイプなこともあってか、個人的には・・・。ですが、評価は高いです。
わかりやすい文章に編集していくための例文が豊富で、編集前・編集後がたくさん掲載されています。とはいえ、強い単語・弱い単語などのコンセプトを感覚的に理解することは助けてくれました。
The Chicago Manual of Style
いわゆる文筆業とか編集者とかいう人の本棚には必ずあるThe resource for fiction editors and writersと評される書籍です。文章の書き方、文法、リファレンスの付け方などから出版においてのリーガルクリアランスまですべて網羅しています。
実は僕は買っていない本です。博士論文を書く人の手伝いをしている時に、困ったときにはこの本でリファレンスを取るように言われたのですが、実際には僕の英語力ではリサーチ程度しか手伝えなかったので、活用したことはなかったです。ということで、妙に極北的な位置付けで記憶に残っています。
そこまでの上級者じゃない僕でも、ウェブサイトのコンテンツは参考になります。ユーザーフォーラムに書き込めば、コアな文筆関係の人や教師の人が答えてくれます。ほんとにハードコアに学びたい人へ。
まとめ
10冊紹介しようとメモを見直していたら9冊しか紹介できず・・・記事内でEnglish Grammar In Useを紹介しているので合計で10冊と思ってください。
一番のおすすめは、Words are Categoricalシリーズです。初心者でも上級者でも読んで楽しい絵本です。イラストとタイポグラフィー、色の使い方を見ているだけで楽しいです。
中級者のところには役に立たなかったけど記憶に残っている本を2冊紹介しました。中級は伸び悩みの時期だとは思います。いままで書けていたのに、自分の英文がわかりにくいと気づいていままで以上に時間がかかるようになったり、リスニングも聞けるセンテンスが増えるもののかえって理解が追いつかなくなったり。その時には、少し横道にそれてみるのもよいかもと思っています。
ダイレクトに役に立たなくても記憶に残っていることは、誰かと会話する時のネタになることを積み上げているということですし。横道という意味では、日本語の文化を英語で紹介する方法を説明した本などもこの時期に読みました。海外で暮らす際には、日本文化を紹介することを求められますので、本当に役に立ちます。
この頃は日本文化を英語で紹介する本もたくさん出ていますが、買うのはもったいないという方は、四谷3丁目にある日本政府観光局の1階に図書館があり、日本文化を多言語で紹介する系の書籍が借りられます。