海外の大学ではプレゼンテーションをする機会も多いですし、たくさんの聴衆の前でプレゼンテーションをするパブリック・スピーキングの練習などもあります。超有名校はどのようにプレゼンテーションを教えているのでしょうか。
スタンフォード大学のプレゼンテーションレッスン
世界トップクラスの大学で最難関校の1つに数えられ、スティーブ・ジョブズの卒業生向けに行った感動的なスピーチでも有名なスタンフォード大学。この世界最高峰の授業は、YouTube上に授業の録画したものを公開されていて、日本にいながら授業を受けることができます。
ビジネススクールは常にトップ5にランクし、起業家育成において世界最高をすることで有名なMBAスクール(Stanford Graduate School of Business)。グーグル、ヤフー、シスコ、サン・マイクロシステムズなどの創業者を排出した工学大学院(School of Engineering)など各学部・大学院の授業を撮影したビデオが掲載されています。
しかも、ほとんどの動画に英語字幕が表示ついています!英語学習をしながらプレゼンテーションも学べるコンテンツですね。YouTubeの字幕の出し方は検索すれば出てきますが、こちらなどを参考にしてみてください。
Think Fast, Talk Smart: Communication Techniques
プレゼンテーションは、事前に十分な準備時間のあるときばかりでなく、突然話をしなければならなという時がありますよね。
上司のお供で行ったミーティングで、準備なしに報告を求められる。ベンダーの提案を聞いた時に上司命令で突然現状と課題を説明するように求められる。宴会の席で乾杯前に一言を求められるなど、ビジネスをしていればよくある場面ではないでしょうか。
準備期間がないプレゼンテーションはより難しくなります。たとえあなたがスマートで、知識があり、伝えたい事があっても、突然ふられた結果来る緊張とストレスで、言葉がまとまらず充分伝えることは難しい、そんな経験は皆さんなんらかしたことがあるのではないでしょうか?
スタンフォード大学でコミュニケーションを教えているMatt Abrahamsさんが、このような突然のプレゼンテーションにおいて、大きな差がでるちょっとしたテクニックやライフハックを教えてくれるワークショップです。
- 準備されたプレゼンテーションのように役割を演じるのではなく、会話する意識を持つこと。プレゼンテーションを質問からスタートすると、一方的に伝えるだけでなく、2方向の会話になるため、自然な雰囲気を作ることができる
- カンバセーショナル(会話を誘発するよう)な言葉を使う。フォーマルなプレゼンテーションで使う「本日はプレゼンテーションの機会を頂いて・・・」などの定型的な挨拶や、「3つのポイントを説明します」といった定型句は避けて、「この部屋にいる全員が考えなければいけないことを話をしますね、まずひとつ目の課題は・・」など議論・会話・応答をする言葉使いを使うこと
- 上司や同僚から指名されたら、ゲッと思うのではなく、いい機会だ!とポジティブに考えて話をすること。前向きに考えれば、前向きな言葉で聞き手をぐっと引きつける話をするようい脳が動いていく
他にも声の出し方などテクニックを紹介しています。
Matt Abrahamsさんは、コミュニケーションを教えているせいか、とても聞きやすい英語です。英語のレベルによっては、少し早口に感じるかもしれませんが、同じピッチできれいな発音なので聞き取りやすいと思います。チャンレンジしてみてください。
Make Body Language Your Superpower
次の講義は、ボディーランゲージについてです。GSMに在籍しているMatt Levyさんと同級生の学生が、優れたプレゼンテーションは計算されたボディーランゲージ、ジェスチャーや立ち振舞を有効に使っていること。メッセージを伝えるボディーランゲージのテクニックを具体的に説明しているビデオです。
まず映画監督のマイケル・ベイがサムソンのイベントでプレゼンテーションをしている場面からスタートします。うろうろと歩き回り、手をぐっと握り、下を向いて話す姿は、誰が見ても神経質になっていることがわかる状態です。自信なさそうだな・・とは思われたくないですよね?
- 手をどこに置くのがいいのか?ポケットに手を入れたり、腰にあてたりと神経質に見えてしまいます。自分が快適な姿勢と、人が見て快適そうだなと思う姿勢は違うことを理解して、自然に見えるベースポジションを持つことが重要
- メッセージを強調するジェスチャーは深い関係をオーディエンスと作ることができる。メッセージ自体は忘れてしまったとしても、強いメッセージと合わさったジェスチャーは記憶に残る
- オーディエンスがプレゼンテーションの主役、オーディエンスが聞いていないことを文句をいうのではなく、聞いてもらうようにするのがプレゼンテーターの責任。アイコンコンタクトやコールドコールなどを使って、オーディエンスが興味を持つように方向づけていく。
学生が講義をしているということもあり、スタンダードな方法を紹介しています。その分、まるで自分がそこにいて、一緒に同級生として聞いているような気分になれませんか?プレゼン中に言い間違いなども起きるのですが、それをどうカバーするのかなど英語プレゼンの必要になる方には共感できて参考になると思います。もう少し具体的な方法についてはこちらのエントリーでもボディーランゲージの使い方を書いています。
SMのストラテジック・コミュニケーションの授業で行われるチーム・プレゼンテーション・シリーズを僕はとても好きです。たどたどしいプレゼンですが、良いところも悪いところも参考になりますし、同じテーマを別のチームがやることで比較をすることができます。
例えば、ボディーランゲージをテーマに先ほどとは違う年の2016/17年のMBA学生がプレゼンテーションをしているビデオもあります。ベタな三文芝居から始まるこのビデオを見ると、同じテーマであってもメッセージを伝える方法はいろいろあるなと勉強になります。
Creating effective slides: Design, Construction, and Use in Science
最後に紹介するのはわかりやすいプレゼンテーションのスライドについてです。エンジニアリングや化学に関したプレゼンテーションはどうしても難しい、細かい、読めないなどの問題がついてまわります。多くの失敗例をもとに、シンプルに記述していく方法を説明しています。
授業以外の参考となるビデオ
スタンフォード大学は多くの授業やセミナーを公開しています。
あまりプレゼンが得意ではないと言われる理系の人向けにエンジニア大学院で行われた、科学者向けのプレゼン・レッスンやTIPSというビデオも面白いです。
スタンフォード大学は、アントレプレナーに強みを持っていることもあり、ベンチャーキャピタルのセコイアCEOがビジネスピッチについて語っているビデオ、プレゼンテーションで有名なガイ・カワサキのビジネスピッチなどプレゼンテーションのヒントになるビデオが多く掲載されています。
セコイアCEOはプレゼンテーションのオーディエンスとして、ガイ・カワサキはプレゼンテーターとしてのポイントを説明しています。プレゼンテーションのテクニックの書籍やトレーニングは、「外資系コンサルが教えるパワーポイント」のようにプレゼンテーター側から書かれたものが多い中で、オーディエンス側としての意見を知れるというのは価値があるかなと。
最後にスタンフォードと言えばということで、2005年に行われたスティーブ・ジョブスのコメンスメント(卒業式)でのスピーチです。なんど見ても励まされるスピーチです。
英語の勉強をしながら、プレゼンテーションについて学んでみてはいかがでしょうか?