拡大するシェアードサービス・BPRの世界的トレンド

Administrative to Connection Hubビジネス

シェアードサービスとは、受発注の処理、経費処理などバックオフィスの定型化したプロセスを社外の専門的な会社に外注したり、グループ会社の機能を統合して管理したりという仕組みのことで1990年移行一般的になり、オフショア(海外のシェアードサービス)の活用も拡大してきました。このシェアードサービスも他の業界と同じくAI化の波が押し寄せているということで、2018年およびそれ移行のトレンドを確認してみました。

 

 

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シェアードサービスの変革を後押しする環境変化

ビジネスと企業を取り巻く環境が変わることで企業内のプロセスを担当するシェアードサービスも変化の波に対応していかなければなりません。同時に企業は変化にアダプとしたシェアードサービスを自社のプロセスとして有効活用することが可能となります。近年大きな影響を及ぼしているのは

  • Amazon AMSを代表とするクラウドコンピューティングが安価になることでコンピューティングパワーを安価に利用することができるようになった
  • コンピューティングパワーの拡大を背景にデータ処理のスピードがあがり、データサイエンスの活用範囲が拡大
  • Salesforceを代表とするソフトウェアアズサービスの利用がSFA, CRMだけでなくHR、Finance、Marketingなど拡大
  • AIを活用したロボットによって不定形のプロセスの処理が可能となる

さらに今後、AIやFinTechといった最新技術がプロセスに与えていく、企業プロセスに関係がありそうな事象だけをマイルストーンとしてあげてもこれから10年でさらに変化が訪れる。

  • 2020年:1兆個のセンサーがネットにコネクテッドの状態で設置される
  • 2023年:ブロックチェーンを利用した税金の申告・徴収が行われる
  • 2025年:企業監査の過半数がAIによって行われる
  • 2030年:基軸通貨がブロックチェーンによりデジタル通貨化

 

2018年のトレンド

大きな環境変化に対応してサービス内容の変革をシェアードサービスがすすめています。この変化に投資できないトラディショナルな「単純作業の外注先」のみ提供するサービサーは統廃合の対象となると考えられています。サービス内容の変革は以下の4つの大きなトレンドの中にあります。

 

1.シェアードサービスがアナリティクスの原動力となる

データの重要性が高まるとともに、シェアードサービスが担当してきた会計・財務情報の重要性もCFOの権限拡大というトレンドもあり高くなっています。シェアードサービス各社はデータアナリティクスの機能を自社のサービスに加えることで、この需要に対応しとうとしています。財務情報をより前線の社員まで利用する環境を提供することが可能となります。

2.シェアードサービスの中の人のスキルアップ

単純なデータ処理やプロセス管理が主たるケーパビリティだったシェアードサービスですが、環境変化に対応して、チームのケーパビリティ向上に力をいれています。企業は新たなケーパビリティをどのように自社のプロセスに組み込むのかレビューするタイミングになっています。

3.ロボティックスの波への対応

Robotics Process Automation(RPA)が急速に導入されている中で、現在企業内で導入が進むRPAの運営・管理・適用範囲拡大までをスコープにしてシェアードサービスで実施するサービスを立ち上げるようになっています。

4.セービングからバリュークリエーションへ

シェアードサービスは社外へのプロセスの外注、統合管理によるスケールメリットなど、コストセービングを目的としたサービスでした。2018年移行、シェアードサービスがアナリティクス・ロボティックスを利用してバリューを創造する機能を提案する役割を担おうとしています。

 

バックオフィスからコネクションハブへ

シェアードサービスはバックオフィスの外注化・統合化から始まったこともあり、トランザクションのサポート、書類などアドミン業務、会計・人事の外注先というバックオフィスにフォーカスしてきました。その後、企業内のプロセスのデジタル化が進むに連れて、受注から請求までの書類仕事を担当してきたシェアードサービスが、請求から回収までを担当するようになりました。

そして、さらにアナリティクスとロボティックスをケーパビリティに加えることで、財務・人事・総務などファンクションとセールス、マーケティングといったビジネスをブリッジする役目を担うこととなります。

 

シェアードサービスがベストプラクティス適用のビークルに

シェアードサービスはコンサルティングファームにとっては稼ぐ仕組みではあるものの、プロセスのアウトソースというあまりエキサイティングなビジネスではありませんでした。

アナリティクス、ロボティックスがシェアードサービスのサービス範囲と役割を拡大することがこの数年続いていくと予想されています。さらに2020年代後半にはブロックチェーンとスマートコントラクトを利用した決済が一般的になることで、リアルタイムでファイナンスの処理を行い、ビジネスにフィードすることが実現されていきます。

AIやアナリティクスを企業が利用するための導入コストは安価になったとはいえ安いものではありません。1990年代からSAPなどのERPと言われるITシステムが企業のプロセスにベストプラクティスを適用するバックボーンとなっていたように、2020年台は、シェアードサービスがAI・アナリティクス・スマートコントラクトの時代のベストプラクティスを適用するビークルとなるかもしれません。

変化に関する情報源