英語スキル向上のための「おすすめ短編小説」2018年度

英語学習

英会話で一定のスキルに達した後に効果的な英語学習の方法ととしてシャドウイングや多読が進められること多いです。多読はネットのニュースで読めば無料です。ただせっかく外国語を習得するのであれば、その言語の文化や知識も吸収したいところです。とはいえ、聖書やシェークスピアのような古典は文章が複雑、最近の本でも厚いペーパーバックは苦行に感じると、継続が難しい方法です。そこで、現代短編小説のおすすめ5冊を紹介します。長くても1−2時間で読める分量なので気軽に楽しめますし、何度か読み直して理解を深めることもできます。

 

紹介する5冊はCarmen Maria Machado, Ottessa Moshfeghなど5人の作家が2017年に発表した短編集。アメリカ人、イギリス人、カナダ生まれ、アルゼンチンなど出身の国もさまざまなので、様々な国の現代小説を楽しめます。どれもフィクションの小説ですが、それぞれの国がかかえる文化的な問題が背景にあることも多く、物語を読みながら異国の地を想像するのも楽しいです。

 

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Her Body and Other Parties by Carmen Maria Machado

Carmen Marioのデビュー作の短編集です。8つの短編が収録されていますが、ジャンル分けするとSF、ホラー、コメディ、ファンタジー、心理劇、レズビアンと笑い、恐怖、現代の性的テーマまで幅広いストーリーが収録されていて、自分が英語でどのようなジャンルの本が読みたいのかわからないという方にもおすすめできる短編集です。男性と家族にすべてを捧げた女性が受ける社会からのアンフェアな選択、ある女性が30年間で出会ったセクシャルな関係や出会いなど、欧米の現代的フェミニストの立ち位置をストーリーの中から理解することができる本です。

 

Things We Lost in the Fire by Mariana Enríquez

12編の短編からなる短編集です。Mariana Enriquezは現代ラテンアメリカの小説家です。どのストーリーもブエノスアイレス、コリエンテスなどアルゼンチンの何処かの街でのなにげない日常からスタートしますが、超自然的現象により主人公たちは追い詰められ、多くの死を経験し、アンフェアな環境に追い込まれていきます。すっかり手垢がついてしまったアメリカやヨーロッパの都市もしくは仮想の異世界ではない、アルゼンチンという未だ未知が多い国やその文化の中で起きる超常的な物語が、実際にあったかのように感じる短編がおさめられています。

 

Madame Zero by Sarah Hall

マダムゼロのイギリス出身のSarah Hallが出版した2冊めの短編集で、9つのストーリーのコレクションです。ソーシャルワーカー(社会福祉士)の女性がコミューンで育った子供との関係を綴ったCase Study 2、子供を生んだばかりの女性が昔の恋人との時間を過ごすLuxury Hourなど、現代的な職業や課題に直面する女性を描いているため、とてもリアリスティックなストーリーに感じます。欧米の現代小説はセクシャルな描写が多いように感じますが、前作に比べるとセクシャルな描写は少ないので、エロティックな世界観が苦手な人でも楽しめるかと思います。

 

All the Beloved Ghosts by Alison MacLeod

15の短編からなる短編集、独立した物語もあれば同じ主人公の連作もありますが、どれも短い物語です。テーマとなっているのは、生と死です。正直あまり盛り上がりの無いストーリーが続くので、退屈だなと思う人も多いかもしれないのですが、この作品は文体がエッセイ、メモワール、バイオグラフィーなどそれぞれ違う表現方法が使われているので、1冊でいろいろな小説の表現が楽しめるというのがおすすめの理由です。

 

 

Homesick for Another World by Ottessa Moshfegh

現代的な小説の典型と紹介されて読んだ短編集なのですが、鬱な人、変わった人がいかれた行動をとっているストーリーが並んでいるというような感覚でして・・とはいえ、この手のダークエナジーを感じる小説が主流ということで読んでみました。欧米現代小説の知識として読むには意味があるのでしょうけど、正直暗くて食傷という文章が続きます。ネット上の書評では評価が2分されているものの、強い共感を示す人が多いのも確かで病んでるな現代社会というのを認識できる短編集です。