Eコマース全盛の中で業績を伸ばす小売店セフォラ

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世界中でオンライン・コマースが拡大し、アマゾンの影響でスーパーマーケット、デパートなど既存小売店・流通業が店舗を縮小、統廃合、廃業をする中で、世界中に店舗網を広げる流通業があります。ラグジュアリーブランドで有名なLVMHグループ傘下の化粧品流通セフォラ(Sephora)です。海外のショッピングモールなどで白と黒のユニークなファサードをみたことがある方もいるかも知れません。日本では1999年に進出したものの2001年に撤退していますが、2017年には全世界に2000以上の店舗網を広げています。

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セフォラ(Sephora)の拡大

1970年にアメリカで創業したセフォラは try-before-you-buy(購入前に試用できる)という現在の化粧品小売では当たり前となったコンセプトを最初に大規模に活用したブランドと言われ、香水、化粧品などビューティー関連の小売業として一定の成功を治めていました。

LVMHがセフォラを買収したのは1997年に遡ります、LVMHが傘下にもつ香水、化粧品の流通拡大を目指しての買収でした。この時点でセフォラは54店舗、1500人の従業員という流通業としては中小規模でした。2017年末時点で2300の店舗、30,000人の従業員を33カ国にわたって運営しています。この間、オンラインコマースの拡大などにより全世界で7000以上店舗が閉鎖されていることを考えると驚くべき成長です。

LVMH-full-year-revenue-by-business-groupそして、サイズだけでなく売上・利益面でも大きなプレゼンスを示しています。セフォラはLVMHのSelective Retailingという部門に属しており、単体での売上や利益は発表されていませんが、Selective RetailingがFashion & Leather goodsグループについで2番めに大きな売上を計上しています。セフォラ単独に関して2016年の発表された情報では、セフォラはLVMHグループがアメリカで上げた売上の45%を占めているとしています。

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2017年以降も北米・アジアを中心に継続して成長しているとLVMHは公表しており、セフォラ店舗網のグローバルでの拡大は継続しています。2017年にドイツに1号店を開設しドイツ内のネットワーク整備を開始、インドでの店舗を2018年に開設し今後10店舗以上の開設を予定しています。また、ニュージーランドでも1号店開設の準備を始めていると年初に報道がありました。店舗を中心とした流通ながら、2015年にはシンガポールの美容オンラインコマースサイトLuxolaを買収、スカンジナビア、中東でオンライン・ストアを拡大するなど、オフライン・オンライン両面での拡大を続けています。

セフォラのデジタル戦略

セフォラの本社がサンフランシスコにあるということが、セフォラがシリコンバレーの影響や人材を吸収し確実にデジタル戦略を実現することを支えています。セフォラのマネージメントがたびたび言及するセフォラの考え方がデジタル戦略を象徴しています。

“小売業としてのクリティカルなコアはデジタルだ。デジタルは新しいテクノロジーを使うことではなく、顧客をサポートすることにある。顧客は我々のオフライン店舗をクリエーティブなスペースとして期待して来店している、その期待にこたえる顧客をサポートする体験を提供しなければならない。”

通常の店舗がオムニチャネルなど統合戦略やデジタル戦略を打ち出したとしても、コアがデジタルとまで言い切るのは難しいです。2000店舗以上を構える小売業のコアが「デジタル」と設定しているところがとてもユニークです。

化粧品流通のセフォラが取り扱う商品は、エスティーローダーやロレアルの商品も当然扱いはありますが、LVMH傘下にあることもありジバンシー、イブ・サンローラン、フレッシュ、自社PBなどグループの商品が多くを締めます。現時点ではセフォラはLVMHの香水・コスメティックスグループの商品を取り扱っていますが、ファッションや酒類などは取り扱っておらず、あくまでもビューティーの分野に絞っています。このポジションも、自由なデジタル戦略をとれるバックボーンになっているようです。

ウェブサイト

sephora-websiteセフォラがオンラインショップを解説したのは1998年と競合他社と比べて比較的初期になります。開始時は社外の会社に制作を依頼していましたが、顧客のデジタルエクスペリエンスをコントロールするためには自社制作が必要ということで、インハウスのデザイナー、制作などを担当するスタッフを社内に雇用してデジタルショップを運営する体制に切り替え、それ以降デジタルの体験は一貫して社内での制作を続けています。

インハウスチームの存在により、セフォラはより機動的に新しい技術に対応することができるとともに、より優れたビジュアル、商品情報、顧客との会話などをオンライン上で実現できているとCMOはインタビューで語っています。

マーケティング

マーケティングにおいても、トラディショナルとデジタルのマーケティング組織を2013年に統合し、CMOがChief Digital Officerを兼ねることでデジタル中心のマーケティングを志向しています。2015年にはサンフランシスコ本社内にセフォラ・イノベーション・ラボを設立し、テクノロジーを利用してオンライン・オフラインでの顧客エクスペリエンス向上を目指す研究をしています。

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セフォラは小売業とは思えないほど多くのデジタルアプリをモバイルで展開したり、店舗で展開しています。例えば、肌の色を分析するColor-IQは、店頭でスタッフで自分の肌にあった基礎化粧品を選ぶことを手伝うために作られたツールです。

セフォラの前CMO&CDOのJulie Bornsteinがセフォラがデジタルをコアにしたマーケティング戦略について語ったインタビューがYouTubeに掲載されています。

オムニチャネル

2017年にはインストアとデジタルリテールのチームもデジタル主導オムニチャネルチームとして統合をすることで、デジタルがリードしながら顧客体験を継続的に提供しています。統合後、データベースの統合などの施策に着手し、デジタルリードでの改革が進んでいます。

  • オンラインとオフラインの顧客データ、顧客行動データの統合
  • 管理指標をチャネルにかかわらず顧客ベースに統合(オンラインでもオフラインでも来店は来店として管理)
  • オンラインでの行動や登録情報をもとに商品レコメンデーションの仕組みをオフラインの店舗にも拡大
  • アレクサ、グーグルアシスタントを利用して音声でビューティーアドバイスや店舗でのコンサルティングを予約できるサービスの開始

アメリカで行われるデジタル体験のイベントSXSWで、前CMO&CDOのJulie Bornsteinが今後の流通店舗での体験についてのパネルディスカッションに参加しています。

セフォラの成功が示すもの

ソフォラの成功は化粧品領域だけでなく、流通のコアをデジタルにおき店舗で体験を希求することなど、他の流通にとっても参考になる戦略です。サンフランシスコというシリコンバレー至近に本社を構え、すべてのテクノロジー、顧客体験、商品が、顧客が持つコスメティックスの悩みを解消するようにデザインされていることでTechnology-enabled Retailというユニークな価値を維持しています。

これが、アマゾンを代表するオンラインコマースが伸長し、シアーズやJCペニーなどトラディショナルな流通が不調にあえぐ中で成功をおさめている要因となっています。

2018年時点で、セフォラはビューティー分野の流通業として世界最大の地位を確固たるものにしています。そして、セフォラは「Amazon Proofed」というアマゾンに対抗できるモデルとしてウルトラ(Ultra)とともに注目を集めています。

*ウルトラについては、別途整理してエントリーを書いてみようかと思っていますが、検索するといろいろな情報がでてきます。

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