有名アーティストの世界ツアーから、ローカルなライブハウスでのイベント、巨大な野外フェス、EDMやメタルなどジャンル特化型のフェスまで世界最大のイベントプロモーション企業ライブ・ネイション。そんなライブ・ネーションがイベント中の観客の脳波などを測定するという実験をシスコ、TBDラボと共同で行ったとFast Companyの記事がありました。
ライブ・ネーションの実験
ウェアラブルの計測ツールは、スポーツやダイエットなどヘルスケア領域では一般的になってきていますが、ライブ・ネーションはミュージックイベントで観客に脳波計とスキンセンサーをヘッドバンドとして装着してデータを取得するという実験を行いました。
ヘッドバンドをつけた人たちの写真が、まるでSF映画で洗脳を受けている人のようで見た目は微妙ですね。ライブ・ネーションは収集したデータをカンヌで行われている広告のイベントで紹介しました。結果は、コンサートが始まると平均53%情動強度が向上、集中力は5倍向上して90%に達するとのこと。そして90%以上の観客はアルファ波がより強く検出されたとのこと。チケットを買って足を運んでいるので興奮するのはあたりまえと思うものの、自宅で音楽を聞くよりも3倍高い数字というデータも同時に発表されていて、量的に把握できるのは面白いです。
ライブ・ネーション
ライブ・ネーションは世界最大のイベントプロモーション企業。2017年の売上は前年比24%増加して約1兆1040億円と7期連続で過去最高の売上を更新と成長を続けています。ライブ・ネーションが主催するイベントの延べ動員人数は8000万人以上という影響力を持っています。
大型のイベントとしては、アメリカ「ボナルー(Bonnaroo)」、イギリス「ダウンロード・フェスティバル(Download Festival)」、オーストラリア「スプレンダー・イン・ザ・グラス(Splendour in The Grass Festival)」、ブラジル「ロック・イン・リオ(Rock in Rio)」などを主催しています。
収益は音楽ライブの主催だけでなく、ライブを起点に高利益率のグッズ販売や飲食販売、スポンサーシップ、チケットビジネスと広がっています。マスメディアでのマーケティングが機能しなくなったと言われる中で、ブランドとの関係構築ができる媒体としての注目が集まり成長を続けています。
この急拡大は2005年にマイケル・ラピーノCEOが着任後始まり、2009年にチケット販売最大手の「チケットマスター」(Ticketmaster)を買収、2018年6月に競合のScoreMore Showsの音楽イベントビジネスを買収とM&Aを活用。アーティストのマネージメントでは、マドンナやU2、ジェイ・Zといったアーティストたちと巨額の契約金で契約しています。彼らとの契約は、ライブやツアーだけでなくグッズ販売や、マドンナの著作権とアーティストの活動のマネジメントも順調に拡大しています。
ブラインウェーブの活用が進む
イベントでのウェアラブル・デバイスの利用はSWSXでも行われていますし、脳波計の計測結果によってストーリーが変わる映画というのも発表されました。
脳波データはデータの分析方法、脳波計による測定への影響などまだまだ発展途上の部分もあるようですが、非言語での調査などでの活用が進んでいます。脳波のリアルタイム計測結果で演出が変わるライブ、イベントやプレゼンテーションのコンテンツを聞き手の脳波計測結果によって変更するなど、体験を最適化するような使い方は増えそうです。