持続可能な養殖業を目指してスタートアップが1.5億円を調達

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11月27日にイスラエルのスタートアップAquiNovoが1.5億円を、農業・養殖会社のNeoviaから調達しました。AquiNovoは、成長ホルモン剤を含まない魚の養殖むけの餌の開発をしている会社です。AquiNovoの餌は、成長を促進し効率・利益率を向上させる養殖を実現することを目標としていて、ティラピアでの試験に成功しています。今回調達した資金を使って、鮭や他の魚への応用を進める予定です。

aquaculture

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魚の養殖への期待値

魚の乱獲、環境悪化により持続的で効率的な魚の養殖は、和食が広がったことなどにより魚を食べる人口が増えたこと、中国など魚を食べる文化圏が成長していることなどにより関心が高まっているとのこと。2016年、10億人が魚を主たるタンパク質とした食生活をおくっており、それ以外の30億人が消費するタンパク質の20%程度を魚が担っているとのこと。

2050年に世界の人口は90億人を超えることが予想されています。結果的に持続的な漁業や魚由来のタンパク質の確保は重要な課題となっています。

需要が拡大する中で、ヨーロッパだけでも、養殖業は総漁獲高の49%、85000人を現在雇用しています。世界の水産物消費量が増加している中、世界の漁船漁業による生産量
は9,000万トン前後で頭打ちの状況にあり、養殖業の生産の増加が伸び続ける消費量を
支えています。養殖業による雇用の多くは、地方で発生しており、今後世界中に養殖業が広がっていくことは人口拡大の主たるソースとなるアフリカ・アジアの国々での養殖業拡大が想定されます。

世界銀行は、2030年では漁業・養殖業を通した総漁獲高に占める養殖業の割合は60%を超えると予想しており、養殖業は今後大きな産業になることが予想されています。

AquiNovoの優位性

AquiNovoの技術を使った餌は、魚が成長期になるまでの間、栄養を成長に集中することを可能と技術で、より早く生育し、稚魚から出荷までの成長サイクルを短くすることが可能となります。そして、成長ホルモン剤の量を削減もしくはなくすることができます。

aquinovo-fish comparison

魚を含む養殖には、抗生物質で病気を予防し、成長ホルモン剤を利用して肥育を行うことがあり、結果として残留したホルモン剤が人体(特に子供)に悪い影響を与える可能性があると言われています。

AquiNovo’s CEOのNissim Chenはインタビューに応えて次のように語っています。「AquiNovoの技術はグローバルの魚の養殖において大きな変化をもたらすと信じています。養殖の効率向上と、長期間の養殖により病気やホルモン残留などの副作用によって、養殖のリスク管理を実現できること、同時に収益性を改善できます。世界中で養殖ビジネスを行い安全で持続可能な養殖に関わる技術に投資続けるNeoviaがAquiNovoへ投資したことは、AquiNovoの技術、ビジョンと現在までのテスト結果を証明するものです。」

短期間で養殖することで、摂取するホルモン剤や遺伝子調整された餌や汚染された水など、さまざまな魚の体内に残留する汚染物質のリスクを減らすという考え方は、なるほどと思いました。

日本の養殖業

日本の漁業については、以下のエントリーで現状と今後について整理しています。

絶望的な日本の漁業、10年でどこまで変われるのか?
次の改革は漁業!という農水大臣が言っているという記事を読んで、現状はどうなのだろう?と調べてみると、暗澹たる状況。改革の方向は見えているらしい。

日本では、近畿大学によるまぐろの完全養殖が話題になるなどニュースは増えていますが、実は養殖業による漁獲量は緩やかな減少傾向にあります。ただし、漁業による漁獲高が減っている中で、養殖は総漁獲高の30%を占めるようになっています。

とはいえ、世界の養殖生産の比率では、60%を占める中国、11%を占めるインドネシア、インド・ベトナムなどの大きな国から大きく遅れており、日本のシェアは1%程度です。とはいえ、中国やインドネシアなどはコイなど淡水魚、ブラックタイガーなどエビの養殖が多くを占めており、今後拡大が期待されるサケなどについては日本に技術的な優位性がありそうです。

注目されていることもあり、多くのレポートが出ています。

http://www.dbj.jp/ja/topics/report/2014/files/0000016843_file3.pdf

https://www.was.org/_documents/kagoshima/Sushi%203%20Sano.pdf

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