シェアリングエコノミーの交通サービス(TNC)と今後の交通機能

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TNC(Transportation Network Companies)と言われるUBERやLyftなどと言われるサービスと公共交通機関の今後について、法制度・サービスレベルなど多くの領域での議論が深まっています。TNCがあくまでも既存公共交通の補助になるのか、公共交通機関を超える存在になるのか、ネット上の議論をピックアップしてみます。

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交通不毛地帯とラストマイル

多くの議論の焦点のひとつとして、スタートアップであるTNCの成長機会であるとともに限界として語られるのが「交通不毛地帯」と「ラストマイル」になります。交通不毛地帯は地方など公共交通機関を維持できなくなった環境においてのTNCの価値を評価する議論。ラストマイルとは、ファーストマイル・ラストマイルと言われる空港や大型駅までの交通機関のことで、こちらもTNCの価値を評価する議論です。

ラストマイル実験

日本ではコンパクトシティを標榜する富山市などが旧来型の公共交通機関と市電により効率的な公共交通機関を目指していました。一方で、公共機関だけではカバーできないエリアがあるという前提で、Lyftをファーストマイル・ラストマイルとして公共交通機関に統合しようと米国デンバーで行われたパイロットプログラム(実験)の結果が注目されています。LyftはCall&Rideと呼ばれるクルマを家の前まで呼んで使う交通機関で、Lyftが家の前から環状線の電車などまで運んでいくという仕組みです。仕組みの詳細と結果については、YouTubeにビデオがあがっていますが、TNCが非常に効果的な保管機能になりえるという結論になっています。

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一方で補完するのではなく、既存公共交通のリプレースとして注目されているのは、同じくLyftが米国シカゴでスタートしたLyft Shuttleです。TNCの利用も結局は朝6−9時、4−6時に集中することから、Lyftを利用したデータをもとに定期的なルートを作り、スマホ上で登録することで自由に乗り降りできるバスのように使うという実験がスタートしています。

同じくフォード参加のChariotという会社も同様のサービスをサンフランシスコで提供しています。Chariotはさらにバスのような定期便の仕組みだけでなく、クラウドソーシングの仕組みを取り入れており、交通不毛地帯となってしまった町の住民やサービスを提供する会社がクラウドソーシングとしてインターネット上で投資をすることで、50人以上の投資家と一定以上の投資を集めるとルートを開発するという仕組みを用意しています。

これまで政治家への陳情など、赤字だったとしても補助金で行われてきた公共交通機関の維持が、住民の意思と投資で行われるというのは、よりフェアな仕組みかもしれません。

自動化TNCサービス

スマートシティ構想の中で、Automated Transit Network(ATN)と言われる無人自動運転化されたバスによるラストマイル・ファーストマイルおよび交通不毛地帯の解消という取り組みも始まっています。ヨーロッパで展開されている2getthereというTNCやイギリスのVectusなどの企業がサービスを提供しています。

2getthere

2getthere


Vectus

vectus

ATNは定期的なルートを少人数ながら高頻度で運行することで、多くのルートや生活にかかせない病院、大学、空港、ビジネスエリアなどを結んでいくという考え方です。この小回りが効くというのと、設置コストの安さから、これまでの高コストな公共交通機関を代替することを目指しています。

特にイギリスはUberやLyftでは交通交通機関としてのクオリティを維持できないと免許を停止することを意図しているようなので、ATNへの注目は高まっているようです。

イギリスのタクシーはたしかに素晴らしいものの、いつ来るのかわからず本数も少ない地下鉄や鉄道を温存するというのもどうかと思いますが。

まとめ

既存の自動車を想定した自動運転やイーロン・マスクが長距離高速移動機関として企画しているハイパーループが注目を集めがちですが、社会インフラとしてみた時に自動化によってもたらされる低コストでの交通機関という存在が、既存の交通機関を大きく変えていくことは間違いがありません。

TNCが既存公共交通機関を補完するのか、代替するのかは都市の規模や考え方によって違う方向をとると思います。ただし、世界中で都市に人が集まる傾向にあり、大都市の人口が増えるということは、公共交通機関を維持できない地域が増えていくことを意味します。

クルマがないと生きていけない地方都市という環境がかわると、生活の選択肢が増えるという意味では、これから10年で変わるであろう仕組みが興味深いです。一方で安定していると言われていた電鉄などのビジネスへの影響も多いと思われ、大きな社会実験の推移と結果には注目して行きたいですね。