オウンドメディア・コンテンツマーケティング国内成功事例

ビジネス

自社でオウンドメディアやコンテンツマーケティングをして、本当にうまくいくのかと悩んでいますよね。オウンドメディアを活用していくには、戦略をもって実施していく必要がありますが、同時に成果を出している企業の事例を見て、自社との違いや戦略のフィットを理解することも重要です。国内の成功事例をまとめました。

 

 

 

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コンテンツマーケティングとは

企業が運営するデジタルメディアのことです。その中でオウンドメディアと言われる場合は宣伝をメインとしないサイトをコーポレートサイトと別に持つこと、コンテンツマーケティングの場合にはより広く自社サイトやソーシャルメディアで広くプル型のメディアです。どちらの場合も、自社や自社の商品を直接宣伝するのではなく、潜在顧客・消費者の課題解決を行うことで自社ブランドへと誘導する、興味を持ってもらうプル型のマーケティングのことをコンテンツマーケティングといいます。

 

 

コンテンツマーケティングの事例

 

サイボウズ式

 

2012年にサイボウズのことを知らない人に知ってもらうことを目的に設置されたオウンドメディア。経営、ビジネス、仕事や働き方についての記事を作成している。

自社の宣伝は行わないという方針で年間500以上の記事を社内に編集部体制を引いて構築。 ページビューよりも、ソーシャルメディアなどで記事やサイボウズのコンテンツが共有されることを目指していることもあり、トップページ・記事を含めて自社サイトや商品バナーなどは存在しない。

効果としては、サイボウズの最初の認知をサイボウズ式で作ってもらうことのため、商品購入者の認知経路を最終的な効果として測定している。

 

 

リスクル

 

地方企業や中小・ベンチャー企業に特化したデジタルマーケティング支援ビジネスをおこなっているソウルドアウト社のコンテンツマーケティングサイトで、当初はサイト名のもととなったリスティング広告のTIPS紹介、現在はより幅広いデジタルマーケティングの手法を紹介している。開始から半年で50万アクセスを超えるなど急成長をした。

話題のあるトピックやシーズナリティは追わず、ニッチなニーズながら確実な読者層を確保することで継続的にビジターを確保するとともに、検索順で高い順位を確保しサーチ流入を確保している。自社サイトへの流入を意図した仕組みがないわけではないが、媒体化した上で記事風広告などサイトでの収益化施策が進んでいる。

 

経営ハッカー

 

中小企業向けの会計・人事のクラウド型サービスを提供するFreee社のコンテンツマーケティングサイト。元々は創業者の個人ブログで、フリーランサーやスタートアップが知識がなくトラブルになりやすい会計などの基礎的な情報について共有していく活動から始まった。現在も2−3日に1件程度の更新が行われているが、当初は毎日更新をしていた。

SEOのお手本のように「スタートアップ向けの財務・・・」などのようにターゲットとメインキーワードを必ず入れるなどタイトルがしっかりと管理されている。記事は文字だけの記事が多く、会計士・税理士など専門家がドラフトをしていることもあり必要な情報がしっかりと書かれており、自社サービスを紹介されるような記事は限定的。

一方で、必ず目の入るところにFreeeのバナーが表示されているなど、検索から自社サイトへの誘導は仕組みとして徹底されている。

 

ニキペディア

 

ニキビをはじめとする肌荒れの悩みをもつ10代~20代女性をターゲットに、スキンケアに関するコラム200程度でできたサイト。ニキビケアのプロアクティブを販売するガシー・レンカー・ジャパンが運営している。

検索されるキーワードから悩み、原因、解決策という3点セットをコンテンツとして制作し、グーグルの検索順位をKPIとしている。

顧客の課題解決を最優先するため自社商品や皮膚科の受診だけでなく競合商品の紹介もしている。ただし、必ず目の入るところにProactiveのバナーが表示されているなど、検索から自社サイトへの誘導は仕組みとして徹底されている。

 

ファッションヘッドライン

 

2012年にスタートした伊勢丹が自社とは距離をおいたニュースサービスとして立ち上げたコンテンツサイト。日本発、世界発のファッションニュースで規模も大きなサイトで、運営はファッションヘッドライン社、三越伊勢丹ホールディングスとIT系メディア企業イードのジョイントベンチャー。

ターゲットがファッション感度の高い女性ということもあり、当初からスマートフォンに最適化されている。記事はリリースの集中する日は300近い記事がアップされることがあるモバイル雑誌という運営方法で、ソーシャル内での広がりも工夫されている。伊勢丹に関わる記事は10%程度のみとなっている。

 

ベルリッツブログ

 

2013年立ち上がった、語学レッスンを提供するベルリッツ・ジャパンが提供するコンテンツサイト。ビジネスの環境での多言語コミュニケーションの事例を外国語サイトということもあり、週に1エントリーながらもMP3の音声データを豊富に使いながら記事としている。

検索数の多いキーワードを季節ごとに記事化しており、検索順位をKPIとして運用。オウンドメディアながら、1週間に1回という頻度で更新される情報を短期で広めるためにペイドの広告も活用している。月間200程度のリードが本ブログから発生している。

 

 

各サイトをアクセスデータから分析

SimilarWebを使って、アクセス数・流入元・自社サイトへの流入比率を調べてみました。

サイト名URLアクセス数ダイレ
クト
リファラルサーチソーシャル自社サイトへ流出
サイボウズ式cybozushiki.cybozu.co.jp 306,32015.2%19.4%23.4%41.5%21.70%
リスクルliskul.com/ 1,201,00017.0%1.6%80.8%0.6%n/a
経営ハッカーkeiei.freee.co.jp 989,81010.7%1.9%86.8%0.6%15.70%
ニキペディアnikipedia.jp 1,080,0009.5%2.5%88.8%0.0%44.80%
ファッションヘッドラインfashion-headline.com 204,90036.7%6.0%49.8%74.6%n/a
ベルリッツブログberlitz-blog.com 1,020,00019.7%2.1%78.1%0.0%83.67%

 

アクセス数は関心度の高いテーマもあればニッチのテーマもありますので単純比較はできませんが、ある程度のサイズは必要です。

流入元については、同じビジネステーマでも、サーチからの流入を主体としている経営ハッカー、ソーシャルでの流入を主体としたサイボウズ式などサイトごとに目的が明確に違いそれが結果に現れていることです。

一般的にサーチからの流入は情報を求める比率が高いため、コンバージョンしやすいと言われていますが、経営ハッカー、サイボウズ式ともに自社サイトへ15%以上流入させています。

 

成功事例の分析

ビジネスの目的が違うため一概に成功事例を設定することはできませんが、アクセス状況から比較するとベルリッツブログの高い効果というのが目立ちます。

更新頻度

ソーシャルの影響もあり高頻度への更新を行うサイトもありますが、ベリリッツの更新は週1回のみ:無理に高頻度に更新するよりもクオリティを維持

89%をベルリッツホームページへ送客

バナーは最小限ながら記事の最後から、ソーシャル・メール登録・バナーと導線が確実に次のステップにつながる設計

流入経路はサーチ

サーチを主たる新規顧客のルートとしつつ、定期的な高品質な更新を知らせることでダイレクトの読者を維持

トラディショナルなブログという手法

フェースブック・ツイッターなどと統合されているわけではないシンプルなブログながら1年前に比べて20%ほどアクセス数が増えている

 

まとめ

成功事例を理解することは大切です。そのためにも、設計としては流入・流出をどのように設計するのかによってサイトのデザインが変化することを理解し、自社の目的にあった手法を選択すること。

流入元一般的なビジターの性質
サーチ目的意識が高い顧客のため、コンバージョンさせやすい
ソーシャルカジュアルな情報収集が多くコンバージョンは難しいが広がりやすい
ダイレクト定期的に訪問する客数はテーマによる、競合サイトなどから比率を想定できる

 

そして、SEOのテクニックに従って更新頻度、文字数を追い求めるよりも、定期的にクオリティの高い情報を提供することが成功事例の共通点のようです。

 

コンテンツマーケティングは、これまでのマーケティングと使うリソースや時間軸が違うため、取り組みの失敗も多いです。以下の成功事例はどれもよくプランされていますが、失敗事例も参考になります。失敗にはかならず明確な理由がありますので、そちらも参照ください。