3C+Customizeの時代

ビジネス
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マーケティングの3C(Customer, Company, Competitor)や4P(Product, Price, Place, Promotion)ほど使われていませんが、消費者の消費財の判断基準としての3Cという概念があります。

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消費者購買基準の3C

Comfort, Convenience, Costからなる3Cは、日本だと早い、安い、うまいに近い概念です。

家の購入、自動車などの耐久財や牛丼、マクドナルドのハンバーガーまで、消費者が自分の生活やそのモーメントで快適で(Comfort), 便利で(Convenience), 経済的に合理的(Cost)があれば商品を選択するという消費者が商品を選考・選定する際の基準を示したモデルです。

そして、時代にあわせて3Cを実現するためのキーとなる単語が加えられてきました。2000年代にはCustomer ServiceがComfort, Convenienceと主張されることが多く、2010年代に入りChannelが主張されてOmni Channel化・オンライン化が主張されました。その中で、コンサルティング会社、広告会社などが常に主張しつつ、経済合理性の面から実現されなかったCがCustomizeやPersonalizeです。そして、このCustomizeを実際に提供する企業が増えています。

Industory4.0と3C+Customize

インダストリー4.0という大量生産モデルの次の仕組みに注目が集まっています。IoT, Ai, 3Dプリンターなど技術的な側面に注目が集まりますが、目標の一つは一品一様のカスタム製品を大量生産と同じような効率性で生産することです。つまり、Customizeを提供できるバックエンドの仕組みを用意していくことになります。B2Bの生産技術の多くを生み出す日本企業も、オムロンの自動運搬車を利用した柔軟な生産ラインなどCusotmize, PersonalizeとEconomy Of Scaleで両立する仕組みの開発が進んでいます。

外食での3C+Customize

外食産業はチェーンオペレーションをしているブランドでも、追加のショットなどオプションを提供するスターバックスな一定のカスタマイズを提供してきました。一方で、ハッピーセットのようにパッケージ化によって定型化をして効率や利益率を高める手法も一般的です。

この中で、オンラインでの注文では、パッケージの中で量を増やしたり、減らしたり、変更したりということが自由にできるサービスが一般的になってきました。外食産業はここにさらなるCusomizeを加えることで、OnlineとOfflineの垣根を超えたり、より高い店内での体験を提供しようとしています。

具体的には、店舗ごとに地域性のある商品、グッズを企画し、そのローカルでなければ提供できないものを提供したり、近くの店舗で提供できる商品に限ってカスタムを提示するなど、よりカスタマイズの柔軟性を高める試みが進んでいます。

ファッション

多品種少量生産で商品提供をしてきたファッションの中で、靴やスポーツ用品は例外的に大量生産モデルをとっていました。この領域にCustomの波が押し寄せています。アディダスが新たに立ち上げた工場では、グローバルサプライチェーン上では18ヶ月かかっていたデザインから完成までを数日で実施できる能力を作りました。

Customizeの企業の利用方法

Customizeを全ての商品で全方位的に提供するということはコスト面から現実味がありません。単に消費者に選択肢を与えるためにカスタマイズできるようにするのではなく、目的を持ったCusomizeの利用方法が企業側で進んでいるようです。

新商品、新しいフレーバーなどのエクステンションをする際に、マスプロダクトでは一定量の規格化された商品でローンチするのではなく、カスタマイズを提供することで当初の利益率は低いものの顧客のニーズに合致する可能性を高め、徐々に選択肢を減らしていきコスト効率を高めることで新商品開発のリスクを減らす市場創造のためのカスタマイズ。この場合は、提供される選択肢は商品の成熟とともに減っていくこととなります。

一方で、評価の定まった商品では、顧客が持ちたい選択肢はある程度明確になっているので、一定の選択を当初から提供し、大きな要素の変更はあまり行われないかわりに、一定の利益率を確保しながらカスタマイズという価値を提供します。

このように、カスタマイズを自社の商品においてどのように利用するのかという目的を明確にすることが、これから変化していく中で重要だと言われています。

Customizationの時代

外食、ファッションだけでなく、保険などの金融商品、家具、農業、自動車など多くの領域でCustomizeの提供が生産設備や計算能力の向上とともに実現されていっていますし、今後も一歩一歩進んでいくと思われます。

一方で、顧客ニーズにより細かくフィットした商品が増えていく中で、現在のマスプロダクトと比べて、どのように選考されるのか、なにが重視されるのか消費者の選考要因は明確な定説がなく不透明な状態です。

ブランドの強さ、カスタマイズの柔軟性と言われる人も多いですが、自分の嗜好が完全に反映できるのであればブランド力は安心の源泉になれるのか疑問ですし、選択肢が多すぎると消費者が混乱して忌避されることもあります。

ブロックのおもちゃで有名なレゴは、多くの消費者にとって入口となっていた赤いバケツに入ったレゴブロックを廃止しています。赤いバケツにたっぷりのブロックは、子供の想像力によってできること、組み合わせは無限ですが、多くの子供にとって、どう遊んでいいのかわからない難しいものと思われてしまい、潜在的なレゴ嫌いも多く生む結果になっていました。そこで、赤いバケツを廃止して、自動車など具体的にイメージできる、わかりやすい商品群を増やし、選択肢を狭めることで、身近な存在へと変化を目指しています。

このように、機能偏重で進みがちなCustomやPersonalizeに対して、消費者の商品選定の基軸となるComfort, Convenience, Costをベースに+Customを提供していくことが必要ということで、4Cではなく、3C+Customと定義されているようです。