アメリカの個別株投資の人気が高くなる中で、アメリカの長期投資家の象徴であるウォーレン・バフェットへの注目も集まっているようです。ウォーレン・バフェットはバークシャー・ハサウェイの創業者で、自動車保険のGEICO、バーリントン・ノーザン・サンファ鉄道など毎年20%以上のリターンを継続して提供する株式に投資してきたことで、大きな資産を構築してきました。
一方で、ウォーレン・バフェットは、わからないものには投資しないという方針のもとでIT領域などあまり好まないセクターの株式もあります。
しかし、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオでは伝統的にウォーレン・バフェットが対象としてこなかったヘルスケア、航空、自動車などの領域でポートフォリオを確立しています。どのような銘柄が好まれて、なぜ投資をしているのか整理してみます。
ヘルスケア領域:ジョンソン・エンド・ジョンソン
ウォーレン・バフェットのヘルスケア領域への投資は限定的で、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにはサノフィ、Teva、DaVitaとジョンソン・エンド・ジョンソンの4社しかありません。バフェットがヘルスケア領域への投資をあまり積極的ではないのは、非常に激しいセクター内の競合、イノベーションの速度の速さ、政治の方向性による影響を強く受けることの3つをあげています。つまり、ヘルスケア領域は企業の長期的な収益性を予測しにくいため長期投資家のウォーレン・バフェットにとって魅力的なセクターではないとされています。
その中で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは過去30年にわたって投資家の予想を超える成長を実現してきた会社のひとつです。しかも56年にわたって増配を繰り返えしており、この長期的な株主へのコミットしていることはヘルスケア領域の企業としては特筆すべき実績です。ウォーレン・バフェットが13年にわたってジョンソン・エンド・ジョンソンの株式を維持している理由と思われます。
航空領域:サウスウェスト航空
ウォーレン・バフェットは航空会社のことを好んでいません。常にどこかの航空会社は破産している、こんな危険な業界に投資することはありえないと過去言ってきました。その中で、格安航空会社の雄であるサウスウェスト航空については株式の10%以上をバークシャー・ハサウェイが買い進めるというほどコミットしています。
サウスウェスト航空は、強いマネージメントチーム、強いブランド、LCCで最高の顧客満足度とコカ・コーラのように確実な投資先としてウォーレン・バフェットのお眼鏡にかなったようです。サウスウェスト航空の株価はそれほど大きな変動はしていませんが、株主への配当を重視しており、過去5年で配当を4倍に引き上げています。
自動車領域:ジェネラル・モータース
ウォーレン・バフェットが自動車株をポートフォリオに加えたのは2012年とごく最近のことです。その中でもバークシャー・ハサウェイのポートフォリオにはGM(ジェネラル・モータース)がもっともあっているようです。GMはシボレー、キャデラックといった強いブランド資産を持ち、ビュイックはアメリカでは人気はありませんが中国では人気ブランドです。市場がテスラ、Uberなどユニコーンブランドを好むのに対して、GMは大きな成長をしているわけではありませんが、安定してキャッシュを稼いでいます。
将来の自動車業界への変化についても、Liftの株式の10%を保持し、Bolt・Volt EVといった電気自動車を既存の自動車工場で生産できる仕組みを構築するなど、派手さはまったくないものの継続した利益を確保する可能性の高い銘柄です。