アマゾンが次に買うべきはノードストロームという話

ビジネス

Recode誌のイベントで、ニューヨーク大学のスコット・ギャロウェイ教授(L2 Brand Surveyを運営するブランドやマーケティングの専門家)が、アマゾンが次に買うべきなのはノードストローム、それが自然な選択だと答えています。ノードストロームとその背景について調べてみました。

 

 

 

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ノードストロームとは

ノードストロームは、創業以来、顧客満足度を高く維持する経営方針で知られています。1901年、ワシントン州シアトルのダウンタウンで、スウェーデン移民の創業者ジョン・W・ノードストロームがカール・ワリンと共同で開いた小さな靴店が始まりです。当初は、全米最大の靴チェーンとして発展していきます。

1978年のロサンゼルスオレンジ郡の高級ショッピング・センター「サウスコースト・プラザ」にキーストアとして進出、当時の百貨店では満足できなかった高学歴かつ高感度の女性たちの消費者心理にあった時代感性と質の高い接客サービスを伴ったファッション・デパートメント・ストアとして大きくビジネスを拡大。現在は200店舗以上を北米中心に展開しています。

ディズニーなどすぐれた顧客サービスを持ったブランドはなんらかの伝説を持っていますが、ノードストロームも顧客サービスの逸話にこと欠きません。有名なものとしては、ノードストロームが、タイヤを扱っていた店舗の跡地に進出したところ、服と靴しか販売していないノードストロームにタイヤを返品しに訪れたお客がおり、顧客満足のために返金したという逸話があります。

 

ノードストロームのオムニチャネル戦略

ノードストロームは、オムニチャネルをはじめデジタル戦略に秀でる企業として知られています。2017年、ノードストローム・ローカルという試験店舗をオープンしました。新店舗は、280平方メートルと小さいものの、在庫を持たず、その代わりにファッションアドバイザーがスタイルを提案し、多くの試着室が用意されています。

これまでも2014年にメンズカジュアルウェアのオンラインストア「トランククラブ」を買収して自社に統合、アウトレットやカジュアルをメインに扱うノードストローム・ラックの展開と、ノードストローム・ラックのオンライン販売を強化するなど、メイシーズなど百貨店が苦境におちいる中でも着実に顧客の販売体験を維持するべく手を打ってきています。

 

なぜアマゾンが買うべきなのか?

スコット・ギャロウェイ教授は、アマゾンのホールフードという高級スーパーの買収を予言しており、実際にそれは起こりました。では、なぜギャロウェイ教授は、次はノードストロームと考えているのでしょうか?

 

ノードストロームは割安

ひとつめの理由として、ノードストロームは割安だ、買い時だと言っています。株価を見てみみると、年々売り上げは減少するものの過去5年間のCAGR6.1%と利益面では順調な成長を示しています。ただし、リテールの平均PEが17.7なのに対して、ノードストロームは13.7、マルチプルも0.5とたしかに買い時という状態です。加えて、ギャロウェイ教授はアマゾンの特殊な立ち位置を強調しています。アマゾンは、ある特定の業界に進出するとジェフ・ベゾズが言うだけで、その領域のプレイヤーの株価を10−20%程度押し下げることができる力を持っていると言います。したがって、プレミアムファッションへの参入発表、ノードストローム含む高級リテールの株価下がる、ノードストローム買収というさらに割安で買収することができます。

 

アマゾンとノードストロームのシナジー

2つ目に、ノードストロームはシアトルに本社がありシアトルベースのアマゾンと統合しやすいという点です。3つ目に、ノードストロームとアマゾンは顧客第1主義という同じDNAを持っているということ。最後に、アマゾンが高級ブランドのラインアップやセールスを増やそうとすると、アマゾンと高級ブランドの関係は良くない中で、ノードストロームを介して関係を構築できると指摘しています。

 

特にノードストロームは、小売業の中でもオンライン販売に比較的成功しており、2010年に8%だったオンライン販売比率は2016年には23%と拡大しており、イン通販にも乗り出しており、現在オンラインアパレル販売ランキングでは米国3位に位置している。プレミアムファッションのオンライン販売というノウハウやプラットフォームを確立しているということになります。ホールフーズのプライベートがアマゾンで売られることで販売を拡大しているように、ノードストロームの商品をアマゾンでも売ることで、大きなトラフィックを発生させることができます。

 

まとめ

ノードストロームは、顧客サービスをDNAとしつつ靴のチェーン、高級ファッションチェーンとビジネスの形態を進化させてきました。次のモデルを目指してデジタル化を進めつつ、業態開発にも積極的に行っているにもかかわらず、株主から減少する売上だけを根拠に責められていることもあり、非公開化も検討しているというニュースがありました。そういう意味でも、アマゾンの買収を受け入れる素地はあるのかもしれません。

 

時系列でまとまっていますね。

https://matome.naver.jp/odai/2150575231082741501