プレゼンテーションは、生まれ持っての能力や環境によって構築された正確と違って技術です。技術は、すぐに習得できる人もいれば、時間がかかる人もいますが、習得できないわけではないので、ボーディーランゲージ、伝え方・言葉の選び方、視線のコントロールなどひとつひとつ簡単なことから技術を学んで行けば良いと思います。
プレゼンテーションを改善する10のポイント
このような技術だけで良し悪しが決まるわけではありません。技術を習熟するとともに、伝えることをクリアにすることで、たとえ拙いプレゼンテーションでもわかりやすいプレゼンテーションになります。ということで、伝えたいことをクリアにするための10個のポイントです。
- 目的を明確にする
- タイトルを明確にする
- コミットすることを明確にする
- 情熱と思いを込めるポイントを決める
- ペインポイントを理解する
- 「3」の法則にあてはめる
- 残したい言葉、数字を決める
- シンプルなスライドを用意する
- 切迫感のための正しい言葉を使う
- ベネフィットを伝える
目的を明確にする
プレゼンテーションの目的を具体的にすることが重要です。プレゼンテーションの結果として期待するアクション、気づいてほしい課題などを具体的にします。
具体的な目的が設定されると、そのためになにを伝えなければいけないのか浮き彫りにすることができます。
ベンダーのプレゼンテーションや社内での報告会で、
いろいろなトピックをばらばらと説明する、
参加者の興味・関心と関係なく自分が言いたいことを一方的に伝える、
参加者がわかりきっていることを延々と話す、
キーポイントを説明する前段が長い、
など、苦痛なプレゼンテーションを受けたことがあると思います。
このようなプレゼンテーションは、自分が話をしたいトピックはAで、そのために過去の資料からスライドを幾つかピックアップして、その場にあわせて話をしよう。という準備を経ている場合が多いです。つまり、自分が話したいことを話しているだけです。
プレゼンテーションの対象が、なにを求めているのか、興味を持っているのか理解した上で、具体的なプレゼンテーションの目的を設定することが重要です。
社内報告会などで粗い準備でもうまくやってしまう人もいますよね。そういう人も、出席する上司の性格や好み、今の興味を実務上の会話などで理解しているから興味を引くことができています。
タイトルを明確にする
具体的なした目的は、タイトルに反映させましょう。「Aに関する報告」ではなく、「Aを通して導入できる施策」など具体的な目的にあわせた行動を反映するタイトルにします。
タイトルを事務的な内容にするのではなく、すこし時間をつかって、どういうタイトルにするのか考えるのはとても効果的です。
エレベーターピッチという、30秒程度でプレゼンをするという手法がありますが、30秒など時間をベースにすると時間が許す限りの量を盛り込むなど副作用が多いです。タイトルは、シンプルで短い文章がもとめられるので、タイトルを考えることは、シンプルに伝えたいことを整理する方法として使えます。
日本企業の場合、報告のタイトルが事務的な「Aの定期報告」などと決まっている場合もありますが、その場合も副題を考えてください。同じ効果が期待できます。
コミットすることを明確にする
プレゼンテーションで課題の背景、分析、アイディア、まとめなどを整理していくと、個人や会社としてコミットすることが抜け落ちてしまう場合が往々にしてあります。
最後のページにまとめを書くのではなく、コミットすることを書くことで、プレゼンテーションに迫力や情熱を組み込めます。ビジネスにおいて、ファクトやソリューションは重要ですが、最終的には個人やチームを信じられるのかという判断が大きく次の行動に寄与します。なにを約束するのか明確にすることを必ず記述しましょう。
情熱と思いを込めるポイントを決める
実は、情熱、思い、パッションを込めようというトレーニングをすると、独り善がりなプレゼンテーションになりがちです。情熱先行の結果、参加者のリアクションが確認できていない、Q&Aで質問の意図を把握できないなど、多くの場合バッククラッシュが発生します。
とはいえ、発表者の情熱や興味を伝えることは重要ですし、次のアクションに向けての原動力や信頼につながります。したがって、プレゼンテーションのアジェンダにおいて、どこで思いを込めるのか明確にしておくことが重要です。そして、その部分では思いっきり個人的な思いを語りましょう。
ペインポイントを理解する
参会者に興味をもって聞いてもらうためには、プレゼンテーションに共感を持ってもらうことが重要です。ストーリーで興味を引く、数字で興味を引くなど多くの手法がありますが、聞き手が課題と思っていること、問題と考えていることを共有することが、効果的な手法です。
聴き手が否定できない問題点をつくり、その分析をしていくことで、あなたが提案していることがソリューションとなる正解でなかったとしても、ポジティブな議論をすることができます。
ペインポイントに触れるにあたっては、聞き手が使うことが、使う方向性で語ることが重要です。例えば、同じ生産性の低下という課題に対しても、人事的な視点で考えている人もいれば、設備として考えている人もいます。聞き手がペインとして感じているアングルでなければ、設定する課題が同じだったとしても共感をえることができません。
「3」の法則にあてはめる
よく言われていることですが、すべてを3つに区分する、3つで説明するというトレーニングをしてみてください。
3つにまとめることは知的に見せる手法として語られる場合が多いですが、メッセージのヒエラルキーを整理しやすいのでおすすめしています。3つの事象が同じレイヤーにあるのか、順番が正しいのかなどをチェックすることで、ロジックの確認が簡単にできます。
残したい言葉、数字を決める
1点、記憶させたい言葉、数字を決めてください。そして、プレゼンテーションで背景、現状分析、課題、解決方法と話をするに時に、残したい言葉や数字に関するようにリンクしていきます。
プレゼンテーションは洗脳なので同じことを何度でも言うという方法を言う方もいますが、伝え方がよほどうまくないと、くどいと感じます。何度も同じことを言うのではなく、それぞれのトピックと残したい言葉、数字をつなげていく作業を続けていくことで、確実に伝えたいことを伝えることができます。
シンプルなスライドを用意する
プレゼンテーション資料は、受け手が理解するためのガイドです。ガイドですから、すべてが書き込まれていては情報伝達に時間がかかります、一方で写真1枚だけで5分も10分も話すと、聞き手がトピックをロストします。シンプルな内容を維持しましょう。
プレゼンテーション資料の書き方については、課題によっても方法が違います。以下ののエントリーも参考にしてください。
アル・ゴアの不都合な真実のプレゼンを制作した会社のCEOが書いたプレゼン術
コンテンツ・マーケティング:ケーススタディを魅力的にする23のポイントと参考書籍
切迫感のための正しい言葉を使う
「限定」「あなただけ」「今だけ」など、広告を見ていると、頻出する言葉がよくありますよね。あまりに使われすぎているのに、なぜ使われるかというと、効果的だからです。
プレゼンテーションが行動を起こすことを目的とする以上、今なにをしなければならないのか、という切迫感(sense of urgency)を作ることが必要です。
ベネフィットを伝える
行動によって得られるベネフィット、成果をクリアに伝えましょう。書きづらかい場合もあると思います、口頭でも構いません、今行動をすれば得られるベネフィットを伝えることで受け手にとって施策と行動に関係性が高くなります。
まとめ
10のポイントは、時間をかけずにプレゼンテーションを効果的にするために整理された、とてもシンプルなものです。 最低限、「1.目的の明確化」と「2.タイトルを考える」の2点を毎回行うだけでも、大きな変化がでます。是非、試してみてください。