大きな調達を成功させた23andMe,KiK, Apttus:最新技術のトレンドをみる

Fund Raisingビジネス

2017年9月に50億円以上の資金調達に成功したスタートアップが3社ありました。3社ともあまり聞き慣れない会社だったので、ここまでのサイズになっている企業がどのような領域なのかトレンドをみるには良い機会かもしれないと調べてみました。

シリーズFで250億円を調達した23andMe, 50億円を調達したKiK Interactive,55億円を調達したApttusと景気の良い数字が並んでいるものの、日本ではほとんど聞くことのない会社ばかりです。まだ、同じ週にIPOが受理された中国のオンライン保険、衆安保険の方がニュースになっている気がします(僕が無知なだけかもしれません・・・)。

 

 

スポンサーリンク

23andMe

23 and me

 

23andMeは、遺伝子検査サービスを行っている会社です。DeNAの南部さんが遺伝子検査に参入する時に少し比較されていたのを調べて思い出しました。唾液を郵送すると、自分の祖先や健康についてDNA解析してくれるというサービスで、送られてきた箱に唾液を入れて送ると2週間後に検査結果が帰ってきます。

 

DNA検査でわかることは、お酒を分解する酵素があるかどうかとか、筋肉のタイプとか体の基礎的な体質、ガンや糖尿病にかかるリスクを分析する遺伝子キャリア、肌の色、味覚のタイプなどの人種的なものの3種類です。TechCrunchで受診結果が記事になっているのが2008年で、$1000ドル程度かかっていたのが、今は200ドル程度でできるようで、健康面よりも自分のルーツを調べるというところに重きがおかれているようです。

 

先祖やルーツにお金をかけるという100%日本人には理解できないのですが、混血が進んだアメリカやヨーロッパでは自分のルーツを知るという意味でとても意味があるもののようです。

LetsOpenOurWorldというMomondoという旅行会社がやっているキャンペーンがあり、この動画シリーズを見るとよくわかります。

 

momondo – The DNA Journey feat. Ellaha

 

67人のアングロサクソン、アメリカンアフリカンやアラビアなど様々な人種が集められて、DNAのルーツを調べていく企画です。いかにもな白人とアラブ人が数世代前で血がつながっていた。スペインの侵攻を受けたと信じていたキューバ人が、スペインはたった22%で、ネイティブアメリカン17%・アフリカ16%・イタリア12%・ナイジェリア8%・イギリス8%と超混血していたり。

ひとりひとりが世界を代表しているということをDNA調査から明らかにしています。アイデンティティの喪失というのは、現代的な課題なので、今後日本も混血が進んでいく(行ってほしいです)中で、意味があるサービスなのかもしれません。

 

まあ、日本人がうけてもほとんどが100%東アジアとでるだけのようです。

 

 

KiK Interactive

Kik

KiKはKiKメッセンジャーというLINEのようなメッセンジャーアプリを展開しているカナダの会社です。メッセージ、写真、動画、ステッカーなどを送れるというところは同じなのですが、完全匿名性というところが特徴です。 携帯電話の番号が登録時に必要なLINEのように、なんらかのセキュリティがはかられているのですが、KiKはユーザー名とパスワードのみ。時間によって制限をつけるなど親がコントロールする機能もありません。

現在300万人のユーザーがいて、そのうち40%が10代の男女。なぜ、KiKが10代に人気かというと、誰とでも匿名でつながれる手軽さと、年齢で検索する機能のようです。10代のころの1−2歳の違いは大きいので、同年代に興味を持つにしても、少し上の人に興味を持つにしても、年齢で検索できるというのは大きな要素ですよね。

一方で、チャイルドプロティションという視点から問題になっているようです。実際、2016年には18歳の男の子が、13歳の少女を誘拐して殺害するプラットフォームとしてKiKは利用されました。コドモのポルノ写真を送らせるなどの問題も頻出しているようです。

 

そしてなぜか、暗号通貨KinのICOを予定中で、KiKと統合されるとのこと。うーん、メッセージだけでこれだけ問題になっていて、そこにお金がからんで余計混沌とそうです。

 

 

 

Apttus

apttus

Quote-To-Cashソフトウェアのリーディングプロバイダー。日本でも展開していますが、あまりなじみのない製品ですが、文字通り見積作成をマネージメントしてくれるツールです。より端的に言うと、いろいろな機能がついた見積システム。

大企業の商品というのは、取り扱う商品数も多ければ、オプションも多く、とかく膨大で複雑なものになりがちで、それぞれのオプションが排他的な場合なども存在するので、見積ひとつつくるのに非常に時間がかかります。

私が前に務めていた会社は、オンプレミス向けのサーバー群が自社製品、他社導入品など複数ラインありました。そして、それぞれにオプションが設定されているのですが、自社製品のオプションが他社導入品では同じOSを使っていたとしても動かない場合もある。加えて、直接・リセラー経由・グループ会社経由など販売ルートによって、値段の出し方が違う。

ということで、スペックシートの注意書きとにらめっこするか1日がかりで作るか、社内のわかっている人のところに行って教えてもらうかという状態でした。流石に未だにそんなことはしていないと思いますが、Quote-To-Cashというソフトウェアはこれをシステム化して効率化しますというソフトウェアです。

Apttusは、自社で取り扱う商品やオプションの構成を登録しておけば、複雑な見積作業をワークフローにそって行うだけでスピーディーに顧客へ回答することができるソフトウェアで、Salesforceなどと連携することで、顧客情報によって価格の調整を行うなど、統合された営業管理が可能になるようです。

この見積関連の機能は、日系企業の場合はほとんどの会社がフルスクラッチで作っているのではないかと思います。ルールベースの仕組みをもとにフルスクラッチのシステムがあって、SAPに流し込みという感じでしょうか。価格帯がよくわらかないのですが、SaaSなので初乗りがそれほど高くないとしたら、日本の中小企業はどんどん入れるべきだと思います。

 

まとめ

トレンドを知ろう!と思って調べていたら、健康文脈からDNA検査を始めた会社が自分のルーツさがしのための会社になっていたり、メッセージアップの会社が暗号通貨に参入というカオスながら、予想以上に変化が楽しい調べ物でした。

Apttusは日本でもがんばってほしいです。