コンテンツマーケティングの事例:継続的に事例を作る23のポイント

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B2Bマーケティングの手法は、ホワイトペーパー、イベント、カタログ、ウェブサイト、技術資料、ソーシャルメディア、マーケティングオートメーションと数多くありますが、その根幹をなす情報として、ケーススタディ(事例)は新規顧客や新サービスを売り込むためにもっとも効果的な方法のひとつです。同時に、ケーススタディを継続的に一定のクオリティで作り続けるには大きな投資が必要となります。継続的なコンテンツ作成を実現する方法を紹介します。

 

 

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ケーススタディ(事例)の重要性

デジタル・マーケティングの手法がおおきく発展する最近でも、Content Marketing Instituteの調査では、ケーススタディと実際に人と会うイベントがもっとも効果的な手法と言われています。購買の意思決定においても、ホワイトペーパー(技術白書)、製品情報やパフレットなどに続いて重要視されているのは、ケーススタディとなります。興味深いのは、調査では大きな企業ほどケーススタディを重要視していることがわかります。意思決定においてステークホルダーが多いほど、ケーススタディが効果的になると考えられます。加えて、社内意思決定という用途においては、動画、音声、インフォグラフィックもしくは1ページだけのケーススタディよりも、古典的なしっかりと文字で書かれたケーススタディが効果的に活用できると答えていることでも、ケーススタディの質がマーケティングにおいて非常に重要だと考えられます。

 

実際、コンテンツ・マーケティングやマーケティングオートメーションのプロジェクトでは、ケーススタディの質と量を用意することがプロジェクトの成功において非常に大きなマイルストーンになります。先進的なツールを導入したり、優秀なコピーライターを雇ったりしたとしても、最終的に伝えるべきケーススタディがしっかりそろっていることが重要となります。また、外部のコピーライターは、フォーマットとオーディエンスにあわせて、最適化することは得意ですが、製品や顧客をしっかりと理解しているわけではないため、社内で優れたケーススタディを用意することは、サードパーティの能力を活用する上でも重要となります。

 

  • ケーススタディは効果的なマーケティングツール
  • 大企業などリスク回避指向の強い会社ほどケーススタディは有効
  • デジタル・マーケティングを行うにもケーススタディの整備は必須

 

 

魅力的なケーススタディを書く方法

 

ケーススタディがマーケティングツールとして有効なことは理解してもらったと思います。注意深く書かれたケーススタディは、自社の製品について説明すること、自社のサービスや製品の信頼度を向上させること、潜在的な導入時のリスクを軽減すること、自社の経験を伝えるとともに、競合優位性を伝えることができる自社の資産となります。ただし、書き方によっては、顧客に興味をもってもらうのではなく、つまらないよくある内容として興味を引かない可能性があります。最悪の場合はケーススタディによって、潜在顧客の離反を起こす可能性さえあります。そこで、効果的で魅力的なケーススタディの書き方について、コンテンツ・マーケティングの事例集から23のポイントを整理しました。

 

  • ケーススタディのフォーマット
  • ケーススタディで取り上げる顧客
  • ケーススタディで取り上げるソリューション
  • サービス・製品のもたらす結果

 

ケーススタディのフォーマット

 

1.ケーススタディの長さを決める

 

コンテンツの制作においては、ロングフォームとショートフォームの議論は尽きることがありません。ケーススタディもコンテンツのひとつですから、この議論から逃れることはできません。同時に、今後の作業をする上でケーススタディの長さは取材や情報の粒度を決める大きな要素です。読んだ人が簡易にポイントを理解できなければ、すべての努力はむだになるので簡潔な内容をすすめる人も多いです。一方で、ウェブサイトやブログなどで顕著ですがロングフォームの方が、ソーシャルメディアで共有される、サーチエンジンに表示される可能性は高くなります。

 

結果として正解はありませんが、文字数にして300−500文字が理解しやすい量と考えています。これは最低限、製品や顧客の名前などの断片的な情報ではなく、ストーリーとして伝えるために最低限必要なボリュームとして300文字と考えています。

 

 

2.ストーリーを作る

 

世の中にある多くのケーススタディと呼ばれているものが、商品名、商品特性、顧客名程度で書かれています。ケーススタディの目的は、商品について伝えることではなく、顧客の直面する課題とそれを解決するソリューションがどのような効果をもたらしたのかを伝えることです。したがって、ケーススタディには論理的な物語の流れが必要になります。日本では起承転結という物語の骨子が有名ですが、「転」を意識すると文字面から奇をてらった内容になってしまうので、多くの古典的なハリウッド映画のフローを使うことをおすすめします。典型的なスクリプトライティングの手法を、ケーススタディに応用すると、

 

・主人公が悪者や問題点に直面する(問題点の提起)

・主人公が解決のために立ち上がるが負ける(過去や競合の商品での解決を試みる)

・主人公は旅にでて仲間や武器を手に入れる(自社の製品・サービスの紹介)

・主人公が悪者を倒し問題点を解決する(自社の製品・サービスで問題を解決)

・主人公が人々や仲間に褒め称えられる(製品・サービスのもたらした効果を伝える)

 

スターウォーズ、スタートレック、アイアンマンなど、多くのハリウッド映画のストーリーの構成を効果的に使うことで、より記憶に残る内容となります。自社の商品に集中するあまり、「主人公が解決のために立ち上がるが負ける」という部分が書かれていないケーススタディが多いですが、読者は今まさに自社の提供しているサービスのカテゴリーの課題に直面していることや、すでになんらかの製品やサービスを活用している場合が多いため、「主人公が解決のために立ち上がるが負ける」を入れることで、強い共感をえることができます。

 

 

3.ケーススタディの要素を整理する

 

ケーススタディにはその目的を果たす上で必ず必要な要素があります。IBMを始めとした巨大なマーケティング投資を行っている会社では、専門のテクニカルライターや技術的な素養を持った著名なコピーライターが広告会社からアサインされています。彼らの長い努力の結果、ケーススタディのシーケンスは以下のように整理されています。

 

顧客

日本の場合顧客の名前をケースに出せない場合が多く、商品やサービスから始まるケースも多いです。ケーススタディでは、必ずしも誰もが知っている企業である必要はありません、同時にケースで取り上げる企業やカテゴリーに誰もが知っているわけではありません。匿名であったとしても、顧客にしっかりとスポットライトをあげて紹介することは重要です。

 

チャンレジ

企業が求める変化や効率向上についてです、顧客の声を入れるのであれば、このセクションにいれることが読者の共感を獲得できます。

 

過去のトライアル

前節でも述べましたが、「主人公が解決のために立ち上がるが負ける」という部分がないケーススタディは多いですが、競合優位性を商品特性ではない部分で明確化するためには、非常に効果的な手法です。必ずしも、競合の商品を貶める必要はなく、すべてが解決されたわけではなかったという文脈で、課題と優位性を浮き彫りにすることができるセクションです。

 

製品・サービスとの出会い

顧客がどのように自社の製品やサービスに出会ったのかを説明します。多くのB2Bの製品・サービスでは、複数の機能や効果をうたっていますが、すべてを書き出すと結果的にポイントが把握しづらく、一方で内容を絞りすぎるとアピールする読者の数が少なくなってしまいます。そこで、顧客がどこに注目して、自社とのコンタクトを始めたのかを伝えるセクションを設けることで、アピールする部分を分散させつつ、商品紹介の内容を絞り込むことが可能となります。

 

ソリューション

いよいよ商品・サービスの紹介です。ケーススタディでは取り上げる顧客のことも考えてあまり強くプロモーションしないケーススタディが多いのですが、ここまで読んできた人であれば、商品について興味を持っているのですから、しっかりとアピールをするべきです。

 

導入プロセス

顧客がどのように商品・サービスを導入して活用したのかを導入スケジュール、プロジェクトの障害、チーム体制などを記述します。ここでのポイントは、プロジェクトの遅延などが発生したとしても率直にそれを書くことが重要です。B2Bでは商品やサービスだけでなく、提供されるサポートも判断基準となります。自社のサポート体制をアピールするために、導入時のトラブルと解決をアピールしましょう。

 

結果と効果

顧客の課題を解決したことを具体的な数字で書いていきます。金銭的な削減、時間的な削減、利益の向上、売上の向上、ROIなどを提示します。数字については具体的な顧客の数字を提示することは難しい場合が多いので、前年比、業界平均値に対しての比較、自社の他の顧客の場合と比較など、使える手法はなんでも利用して、具体的な数字にすることが重要です。ここで、ぼんやりと「大きな効果を生みました」というまとめをすることは絶対に避けるべきです。

 

 

4.トップライン化

ここまでは大きな構成について説明しましたが、世の中には、熟読する人と、流し読みをする人がいます。初期的なソリューション・リサーチにおいては、多くの情報を処理することが求められるため、流し読みを行うことが多く、トップライン化に対応したケーススタディにする必要があります。流し読みをする人のためには、以下の要素を意識することが重要です、

  • ヘッドライン:もっとも強調したいこと
  • サブヘッドライン:ストーリーのメインポイント
  • 顧客の言葉:チャレンジと期待するベネフィットを強調
  • サマリー:チャレンジ、ソリューション、ベネフィットをまとめたコラム

顧客はひとつだけのケーススタディを読む場合もありますが、流し読みの人ほど複数の自社ケーススタディを読む場合が多いので、同じ構成と同じトップラインの仕組みを利用しておくことは重要です。 負荷をかけずにできるだけ多くのケースを読んでもらいましょう。

 

 

5.サポートコンテンツの仕組みを考える

ケーススタディを一人の人間やグループが書き、レビューして編集できれば理想的ですが、実際には多くの人の手を経て、用途に応じて改変されていきます。結果として、用語やソリューションの効果などが様々な言葉で表されることが多くあります。ケースライティングのルールを定めることも効果的ですが、ルールは守らせる強制力があってこそ効果がありますが、そこまで費用や人月をかけられない場合が多いと思います。そこでサポートコンテンツを作ることで、一貫性を担保していきます。

 

Q&A

商品について社内のすべての人が理解していると期待せず、発生しそうなQ&Aを用意することで、商品特性や効果の一貫性を保つ効果が期待できます。

 

用語集

社内やカテゴリー独特の言語というのは企業であれば必ずあります。 専門家でなくとも誰にでもわかる文章を書くことを求めるガイドブックもありますが、B2Bにおいて一般的となっている知識や定義を理解せずに導入が進むことはトラブルの温床になります。用語集を用意することで、専門用語を使うことでシンプルな文章にしながら、共通理解を構築し、非専門家へのサポートもすることが可能となります。

 

 

6.カテゴリー名を決定する

ケーススタディは蓄積される資産です、資産を死蔵せず有効活用するためには社内外で検索性が高いことが必要となります。業界、企業のサイズ、ソリューションなどケーススタディのカテゴリーを事前に設定することで、資産の有効活用をはかります。

 

 

7.リード文を書く

ウェブサイトに格納する、いくつかのケーススタディを連続してプレゼンするなど、複数のケーススタディを活用する場合も多くあります。多くの場合、最初のページは企業名と簡単な紹介文、次のページで具体的なケース、最後のページに商品説明などのように複数のレイヤーを用意することで、情報の受け手が理解しやすい構造を取ることが必要です。40文字程度で簡単にケースの内容を紹介するリード文を用意することで、ケーススタディが使われやすい環境を作ります。

 

 

8.タイトルの調整

導入事例のタイトルは「企業名様導入事例」のようなものが多いです、著名な企業へ導入したケーススタディの場合は、社名だけで受けての興味を引くことができます。一方で、知られていない企業への導入事例では知らない中小企業や違う業界というだけで興味を引かないこととなってしまいます。その場合には、「導入により売上を3倍にした事例」、「コストを20%削減した事例」などのように、受け手の興味にあわせたヘッドラインにすると効果的です。

 

 

 

ケーススタディで取り上げる顧客

 

 

9.顧客の声のレベルを規定する

顧客の声というのは強力な効果があります。多くの場合、売り手の声ではなく、使い手の声の方に人は信頼をおきます。同時に、B2B企業は競合優位性を担保する重要な機能では独自性を求めますが、ノンコアの機能には競合他社で効果が保証されている製品やサービスを求める傾向が強くなり、競合他社がどのような製品・サービスを使っているのか、どう利用しているのか強い興味を持っています。

 

顧客の声を記載するにあたって、顧客であれば誰でも良いのかというとそうではありませんし、CEOなど偉い人であればあるほど良いというわけではありません。対象としている商品・サービスの購買において意思決定をする役職やタイトルの言葉を使うのが最も効果的です。意思決定者や評価を下す人の言葉が、リサーチをしている人が利害関係者に導入成功時に言ってほしい言葉となっている場合、自分が導入した場合に置き換えやすく、共感を得やすくなります。

 

マーケティングのツールであればマーケティング・ディレクター、装置であれば技術者、セールス管理やCRMツールであれば販売の前線にいる営業というように、意思決定や評価をする人を選定する必要があります。ケースにおいて、顧客の取材を再度することもあれば、プロジェクト関係者に聞く場合もあると思いますが、どの役職の人が言っている言葉を明確にしてお願いをしなければ、効果的な顧客の声を獲得することはできません。

 

 

10.ケースとして活用できる顧客を発掘する

ケーススタディを書く際に一番の壁は社内にあり、そもそもケースとするべきネタが誰もが知っている大型案件しかないということが往々にしてあります。マーケティングや広報担当者が、ケーススタディを集めるためにヒアリングをしようとしても、販売代理店に売るメーカーで自社が最終顧客と接点がない、余分な仕事を増やしたくないというプロジェクトマネージャーや営業担当者が協力をしないなどの事情でケーススタディのネタが収集できないことは多々あります。

 

ケースの発掘を定常的な活動とすることで上記のような障害をさけて、さまざまな事例を集めていくことができます。たとえば、 顧客にケーススタディとして御社の取り組みを紹介しませんかという依頼を定期的に送付する顧客向けのメールに記載することは有効な手段のひとつです。導入前後は綿密に効果をレビューすることが多いですが、しばらく時間が立った後で、再度レビューをするということは顧客社内の取り組みとして重要ですが、コストがかかる作業でもあります。レビューによって、導入からその後の中期的な効果までまとめませんかと提案すると協力してくれる会社が現れます。サービスの企業であれば、定期的な顧客満足度調査を実施して、そこでケーススタディのネタとなる情報を取得する設問を入れることで、ネタの収集を行うことができます。

 

もう一つの手法としては、社内アワードを開催することで、インセンティブをネタにしてケーススタディを集めることです。社内コンテストなどを従業員満足度向上のために実施している企業は多いと思いますが、そこで集めたさまざまな取り組みを、アワードだけでなくケーススタディに利用することで、効果的にケースの収集をすることが可能となります。

 

 

11.顧客への依頼文の統一

ケーススタディの候補となるリストからケーススタディ化をする顧客を選定した後、ヒアリングやアンケートなどを通じて具体的な内容を理解してくことが必要になります。その際、顧客への依頼は、営業担当者やプロジェクトマネージャーを介して行うことが多いと思います。たとえ協力的な営業だとしても、必ずしもケーススタディを書くマーケティング担当者が必要な情報すべてを顧客に伝えられるわけではありません。五月雨に何度も顧客にヒアリングすることは自社の評価を落としかねず、できるだけ避けたいものです。

 

したがって、統一されたケーススタディにおいて依頼する文章を用意して、それを元に依頼をしてもらうことで思い違いや意識の違いをなくすことが可能となります。すべての情報を開示することができるというケーススタディの方が多く、どこまで協力をしてもらえるかということを把握する意味でも、統一的された依頼文は有効です。内容としては、以下の5項目があれば良いと思います。

  • ケーススタディ作成協力のお願い
  • ケーススタディに含まれる情報の一覧
  • ケーススタディがどのように使われる予定なのか開示
  • 過去のケーススタディの例示
  • 次のステップ

 

 

12.顧客の許可を記録に残す

リファレンスやケーススタディについて理解のある欧米社会と違い、日本企業においてケーススタディに協力することは社内外のリスクがあることが多いです。後々トラブルに発展するケースもあります。顧客の理解と協力をメールでも文章でもかまいませんが、記録として残すことは重要です。

 

 

13.企業名のないケーススタディを避ける

ケーススタディの依頼をする場合、ウェブサイトに掲載するなど多くの人の目に触れる場合は協力を断られることも多いです。ただし、用途を限定することでできるだけ企業名のないケーススタディを避ける努力をするべきです。

 

潜在顧客にケーススタディを紹介することができなくとも、大企業の場合、他の部門、子会社、関係会社に限って企業名を公表して共有することが許可されることがあります。他にも、自社内の教育に限定して利用するとした場合協力してもらえる可能性はさらに上がります。自社内だけだったとしても、新しく入社した社員や部門間異動で担当が変わった従業員にとっては、非常に効果的なリソースになります。

 

いずれにしても、たとえ著名な企業でなかったとしても、企業名を公表することでケーススタディに一定の信頼を確立することができるため、「上場企業A社」といったケーススタディは避けるべきです。

 

 

14.顧客の競争優位性や有名な部分を理解する

どんな企業であっても、カテゴリーでナンバー1、有名な顧客、有名なプロジェクトなど、なんらかビジネスの根幹となる事実や競争優位性を示す事実があります。たとえ、その事実がケーススタディの内容と関係なかったとしても、確認した事実ケーススタディの顧客紹介の部分に盛り込むことで、顧客をより身近な存在として理解しやすくなります。たとえ、自社の製品やサービスが、顧客の競争優位の源泉と関係がなくとも、読み手はラベルとして貼られた顧客企業の特色に自社の製品やサービスが貢献していると考えやすいものです。優良誤認は避けなければなりませんが、ケーススタディは顧客の事例を通して自社のプロモーションをするのですから、顧客が成功している企業であるという事実を理解してもらうことは 、自社の信頼向上に効果的な方法です。

 

 

ケーススタディで取り上げるソリューション

 

15.具体的な事実を記述する

ケーススタディを読む人は、最低限その領域の製品やサービスのウェブサイトやパンフレットに触れている場合が多いです。ミーティングで自社のセールススタッフが説明する場合もケーススタディより前に、製品・サービスについて説明を終えています。

 

「弊社のSFAパッケージソフトによって、以下のような結果を残しました」といった、パンフレットに書かれているような文章ではなく、「3ヶ月の短期の導入期間とトレーニングにも関わらず、弊社のSFAパッケージのドリリング機能を有効活用することで、潜在顧客へ競合他社に比べて具体的な提案をすることが簡易に実施することが可能となり、以下のような結果を残しました」と記述するべきです。

 

 

16.プロジェクト・パートナーを隠さない

顧客のチャレンジに対して、100%自社だけで解決するサービスを提供することができれば、それは素晴らしいことですが、多くの場合にパートナーとなる企業が同時に参加していることが多いと思います。ケーススタディを書いていると、プロジェクトのすべての実績を自社のものとしたい誘惑に駆られますが、あなたの潜在顧客はそれほど無知でも無能でもありません。

 

導入にあたって、コンサルティング会社やその他のサービス提供会社、販売代理店、メンテナンスを担当する会社、検査機関、素材を共有する会社など、多くの企業が関わっている場合には、その企業をパートナーとして正直に伝えることが効果的な場合が多いです。自社が行ったこと以上のことをケーススタディ化することは、潜在顧客の過去のプロジェクトと比較において不信を呼ぶ結果になることもあります。

 

ケーススタディにおいて重要なことは、顧客のチャレンジを解消するために、自社の製品やサービスが貢献したことであり、すべてを自社で実施したことではありません。真摯であることは、長期的な関係を構築する上で重要となります。

 

また、パートナーを紹介することは、ケーススタディを通して獲得したプロジェクトにおいて再度パートナーとすることで円滑な導入をすることが可能となりますし、パートナーから顧客を紹介される機会も増加します。

 

 

17.マーケティング・キーワードの数を絞る

世の中には流行している手法などがマーケティング上のキーワードやバズワードとして多用されています。プロモーションにおいては、このようなキーワードを活用することで、興味関心を引くことや、カテゴリー内の選択肢の中に入りやすくなります。

 

ケーススタディにおいては、コンセプチャルなマーケティング・キーワードを使うよりも、具体的で顧客のビジネスに寄り添った言葉を使うことで、リアリティをケーススタディに与えることができます。キーワードがカテゴリーそのものを指す場合も多いため利用を禁止する必要はありませんが、バズワードが連なったような文章は避けるべきです。

 

 

 

サービス・製品のもたらす結果

 

 

18.具体的な数字を使って効果を示す

多くのケーススタディーで成果を、前年比2倍、コストは半分になどという定義の曖昧な数字で終わっている場合が多いです。再度強調しますが、あなたの潜在顧客はそれほど馬鹿でも無能でもありません。そもそも前年の数字が低く伸び率が高かっただけなどの事情を、必ず疑問に思います。したがって、具体的な数字を表示することが効果的です。

 

ただし、顧客企業内の数字を社外に公開することが許可されることはあまり多くありません。その場合、前年比など比率の数字を利用することとなりますが、ベースとなる数字が想定できるように記述するべきです。「ウェブサイトのアクセス数が前年比2倍になった」と書くのではなく、「同規模の会社の中で最下位に甘んじていたウェブサイトへのアクセス数が前年比2倍になった」など基準を提供する記述にしましょう。

 

19.平均的な成果も記載する

ケーススタディは、大きな成果を残した成功事例を取り上げるものとなります。その大きな成功が実現できた理由や背景を理解することは必要ですが、大きな成功だけを取り上げることは結果的にケーススタディの現実性を失わせる場合があります。

 

企業や導入を推進する人は、導入する製品やサービスにベンチマークとなる数字を明確にしていなくとも持っています。ベンチマークから大きくはずれた成果は、導入プロジェクト推進においてトラブルの原因となることもあります。したがって、自社の製品・サービスによって「平均的に実現される効果」を大きな成果のケースとともに記述することで、潜在顧客の期待値をコントロールすることが可能となります。

 

 

20.数字以外の成果を検討する

ぼんやりとした結果ではなく、成果を数字で記述することはケーススタディにおいては基本的な要素になります。数字を押さえた上で、数字を超えた成果について検討・確認していくことで、ケーススタディのストーリーをよりリッチなものとすることができます。

 

例えば、企業文化が変わった、削減したスペースによって新たな設備を導入することができたなど、自社の商品・サービス導入後に企業が行う次のプロジェクトを想起させることで、導入効果により説得力のある大きな成果を作ることができます。潜在顧客のプロジェクト担当者や自社のセールススタッフは、目の前のことに集中している場合が多いですが、プロジェクト単体では投資の回収に時間がかかる場合もありますが、次の一手を効果に計上することで、回収までの時間を短くすることができます。

 

 

21.顧客の声を活用する

顧客の声はケーススタディに信頼あたえる重要な要素です。どのような部分で顧客の声を使うのかはストーリーによりますが、効果的な顧客の声の利用用途は以下の3点になります。

 

チャレンジ

企業が直面する課題や問題は、読み手の共感をもっとも獲得できる顧客の声になります。結果に対しての顧客の声を記載しているケーススタディが多いですが、潜在顧客は商品・サービス選択も成果も経験していませんが、課題や問題は経験しているため、経験したことのあることには共感することができます。

選択理由

なぜ顧客が自社の製品・サービスを選んだのか決め手を顧客の声として紹介します。多くの企業が同じような商品・サービスを提供している環境では、自社の競合優位性を具体的に語ることができます。

成果

顧客の主たる成果についての声を紹介する手法です。成果に関する顧客の声は、ケーススタディのリード文や複数のケースを並べて成果のみを強調するなど、利用用途が広いことが特徴となります。

 

 

22.顧客の声を無駄にしない

顧客にインタビューをして、アンケートをして、許可をもらいと時間と労力をかけて集めた顧客の声を無駄につかわないように気をつけましょう。記載する顧客の声がPRやテクニカルライターがパンフレットに書くような一般的でジェネラルな内容の場合、共感や信頼につながりません。その顧客特有の内容や口語のようなそのまま顧客が言っていると読み手が感じる言葉でなければいけません。

 

 

23.CTA(コール・トゥー・アクション)の記載

B2Bの意思決定においてフェーストゥーフェイスのミーティング、電話会議などは欠かせません。ケーススタディには連絡先や問合せ先は記載されていますが、営業担当者にすぐに連絡するなどのアクションを取るのはハードルが高いと思う人も多いかと思います。ケーススタディの次のステップを誘発することでハードルを徐々に下げていく必要があります。他の事例を格納している場所や最新ケーススタディを共有する方法の告知、スペックシートを紹介するなど具体的な次の行動を記載しましょう。

 

 

まとめ

ケーススタディの書き方とその注意点を紹介してきました。非常に基本的な内容のため、面白みがないと思う方もいるのではないかと思います。ケーススタディを使った広告をする場合は、このような典型的なケーススタディのフォーマットを使わないことで、注目を引く方法を取ったほうが効果的な場合もあると思います。一点もの広告ではなく、一方で企業の活動によって拡大していく採用実績や活用方法を確実に蓄積していくためには、誰が書いたとしても一定の水準に達していることが求められます。長期的に資産を蓄積していくための手法として上記の方法が参考になればと思います。

 

同時に、読みやすい、魅力的な文章で書かれたケーススタディと、読みにくいケーススタディの文章では、当然前者の効果が高いです。では、どうやってコピーのクオリティを向上させるかというと、多くのケースを書いてレビューを受けてフィードバックを反映していくのが、個人ではなく企業活動の一環としてケーススタディ・ライティングにおいては効率が良いと思います。

 

とはいえ、基礎的な書き方について理解したいという方には、テクニカルライティングのハウツー本は多くないため、広告コピーの書き方の本を1冊読むと良いと思います。おすすめとしては、「広告コピーってこう書くんだ!読本」です、とても短く、考え方をコンパクトに整理しているので、テクニカルライティングにも応用が聞くと思います。

 

パワーポイント上でのデザインやストラクチャーについては、効果的なパワーポイント資料を紹介した記事を参考にしてください。

コンテンツマーケティングの戦略フレームワークとして、シンプルな4つのステップを紹介しています。

 

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広告コピーってこう書くんだ!読本 谷山 雅計