プレゼンテーションやセールスのミーティングに際して、ボディーランゲージを効果的に使うことは重要です。コミュニケーション学で著名なUCLAの心理学教授、アルバート・H・ヘラビアンによる7%—38%—55%ルールというのが参考になります。研究の結果、聞き手が情報をどこから受け取っているのかという区分は、以下のようになります。
- 話した内容や言葉:7%
- 口調や話の仕方:38%
- ボディーランゲージ:55%
この数字が示すように、どれだけ準備をして、完璧なスライドを作ったとしても、ボディーランゲージが妥当でなければ、伝わる内容は限定されるということになります。ガチガチに緊張してプレゼンしている人と、自信にあふれている人がいたら、自信がある人に依頼したくなりますよね。
一方で、日本のビジネスシーンでは過剰なボディーランゲージは、胡散臭さと同義になってしまうため、アメリカ人のように話をすると、オーバージェスチャーということで、信頼をなくしてしまいます。日本でプレゼンをする際に気をつけるべきボディーランゲージを5つのポイントで説明します。
- 自然な微笑みで自信を表現
- アイコンタクトを忘れない
- 手と腕を適度に動かす
- 手と腕を開放する
- 自然に動く3ステップ理論
自然な微笑みで自信を表現
表情は良いファーストインプレッションを作る上で、もっとも重要な要素です。不謹慎な笑みを浮かべるのではなく、自然な笑みで自信を表現することが効果的です。
人によって似合う笑みというのは違いますが、作った笑顔は不信感を生みます、笑っているつもりなのに怒っていると勘違いされる人もいます。自然な笑顔は、口元を少しだけ上げると、軽く目元の筋肉が動くことが認識できるでしょうか。この状態を維持することで、自然で自信にあふれる表情を作れます。表情の作り方は多くのTIPSが検索するとあります、参考にしましょう。
私は自分ひとりでは、どうしても笑みが不自然な気がして、なにが自然な笑みなのかわからなくなりました。そこで、 ポートレートを撮ってくれるカメラマンに写真撮影を依頼しました。今時の撮影では、大量の写真を撮りながら、それをパソコン上に表示して、カメラマンと確認しながら撮影していきます。少しの投資で専門家にアドバイスをもらい、笑みの種類ごとに写真が用意されてどう見えるのか確認できる上に、自己紹介ページに使える写真が手に入ります。
アイコンタクトを忘れない
自分に向けて話をされているという認識を持ってもらうことは、内容を確実に伝える上で重要です。見られているという意識は、内容への集中を誘導します。スライドや手元を見るのではなく、オーディエンスとスライドを交互に見ることで、話をするプレゼンテーターに興味を持てもらう、ポイントについてはスライドに視線を誘導するなど、視線を誘導することができます。
手と腕を適度に動かす
プレゼンテーション中ずっと手を前で組んでいませんか? 手を目の前にだす、スライドを示す、ぐっと拳を握るなど、3つのポイントというと気に3本手を広げるなど、手と腕を効果的に使うことでメッセージに強弱をつけることができます。
同時に、手と腕は癖が最も出やすい部分になります。神経質になると髪やメガネを触る、頭の後ろに持ってくるなど、ネガティブなシグナルを出すボディーランゲージほど、癖になりやすいです。自分では意識していないことも多いので、プレゼンテーションをスマホで録画して見直すなどして、ネガティブ・シグナルを発する癖を防止しましょう。
手と腕を開放する
ビジネス雑誌のインタビューの写真で、「ろくろを回す」ポーズというのが有名です。なぜ、みんな同じようなジェスチャーをしているのかというと、腕を広げていると、オープンでリラックスした雰囲気に見えるからです。
アメリカ人のように腕を振り回す必要はありません。指を握りしめるのではなく、手を開く。腕をぐっと組むのではなく、すこし広げる。この程度で、リラックスして自信があるシグナルを伝えることができます。
自然に動く3ステップ理論
固まってプレゼンテーションをすることは自信を感じませんが、動き回るプレゼンテーションも邪魔です。ただし、動きながら歩きながらプレゼンテーションをすることは、リラックスして、自信にあふれていることを伝えてくれます。
ただし、自然な動き方というのを身につけるには、場数が必要になってきますし、かならずしもスペースやマイクなど動き回ることができない環境もあります。そこで、3ステップ理論というのを最初に試してもらい、自分にとってやりやすい自然な動き方へ慣れていってもらうということをすすめています。
3ステップ理論は、以下の3つの動きを繰り返すことで成り立ちます。
ベースポジション
オーディエンスを見ながら、少し体をスライドの方向に傾けたスタンスです。プレゼンテーションは基本的にこのポジションで行います。
一歩前にでて正面を向く
質問へ回答する、オーディエンスに問いかけるなど、なんらかのインタラクションをする時です。オーディエンスを正面に体を向けて、ベースポジションよりも少し前に出て、オーディエンスとコネクションがあることを表現します。
スライドを振り向く
スライドを振り向きます。ポイントをしっかり理解してもらうなど、スライドを読んでほしいタイミングで、スライドを振り向いて視線をコントロールします。逆に言うと、これ以外では前を向いて話をするべきです。
まとめ
以上の5つの簡単なポイントに気をつけるだけで、プレゼンテーションは劇的にわかりやすくなります。プレゼンテーションは、なにを言うのではなく、どう伝えるのかも重要です。
人は誰かの行動にリアクションをする動物です。微笑まれれば微笑み返す、うなずかれたらうなずき返す、見られたら見返すなど、細かなインタラクションを積み上げることで、オーディエンスとの間にコネクションを作ることができます。
オーバージェスチャーにならない、自然で自信に溢れたプレゼンテーションを目指してください。